Mind scape


唇を触らして。

声の聞こえない懇願。

君の細い指が空を弄る。

掌が開く様は、芽吹きと似ていた。

僕はただそれに見惚れていた。

足はもう動かなかった。

凍てつく空は美しかった。

目の前で蝶が果てた。

柔らかな風が吹いて、彼女を優しく包んだ。

僕はただ満ち足りていた。

君の指が僕の唇を、そっと冷やしてくれたから。



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