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「共働き」が最強の老後対策である 書籍「35歳から創る自分の年金」感想

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「共働き」が最強の老後対策である

1985年生まれの著者、是枝俊悟氏が、同世代の(2020年時点で)「35歳」向けに、夫婦の年収、日本の経済動向などパラメータごとの「将来もらえる年収の試算」を紹介していく・・・という本。

本書の主張を最も代表する図表がこれだろう。

是枝俊吾(2020)35歳から創る自分の年金, 日本経済新聞出版社 p91

夫/妻の年収区分ごとに、夫婦世帯の年金額を試算した表。「モデル世帯」を上回る年金額をもらえる世帯には網掛けがついている。

著者曰く、政府は「モデル世帯」の年金額を年金支給の目安としている。(「モデル世帯」が最低限生活できる程度の年金額になっていることを目安に、年金の算出ロジックを決めている、ということだと思われれる。)この
「モデル世帯」は、夫が平均的な収入(20-60歳の40年間の平均年収が513万6000円)で妻は専業主婦という世帯だ。

しかし、1985年生まれ世代の多くは共働きであり、専業主婦は稀だ。個人の年収は減っているものの、夫婦世帯の年収は昔より増えている。それゆえ、仮にこの先日本の経済状況が上向かなかったとしても、多くの夫婦世帯では、2050年の年金支給額は、2019年現在のモデル世帯の年金よりもむしろ増えている・・・というのが本著の主な主張だ。

若い世代ほど、35歳時点までの女性の生涯賃金の平均が増えているために経済状況にかかわらず世帯の年金は増えていき、整った環境を味方に今後も共働きを続けることができればさらに大きく年金を増やすことができる、というのが私たちの先にある年金の未来なのです。

是枝俊吾(2020)35歳から創る自分の年金, 日本経済新聞出版社 p124

感想

ちょうどフィナンシャルプランナーにお金の計画を立ててもらう中で、老後の資金についてどう考えたらいいのか不安になっていたこともあり、これだけ具体的な数字と解説してもらえるのはとてもありがたかった。年金制度が崩壊するとか、将来の日本経済が失墜した時に公的年金はやばい、的な噂は耳にするものの、具体的にどう備えていいか全くわかっていなかったので、このように豊富な試算を元に考えられると、とても安心できる。

「逃げ恥」にみる結婚の経済学を読んだ時も同じことを思ったが、やはり妻の正社員ポジションの維持が非常に大きな金銭的なメリットになる、ということがよくわかった。

私の場合、夫の私がフリーランスで妻が正社員である。世帯の年金給付額という観点でみると、妻の厚生年金が非常に強烈な効果を持つようだ。妻が「中収入女性(生涯賃金1億7000万円程度)」に当てはまると仮定すると、(2019年度ならば)私と妻の基礎年金(国民年金)が78万円/年、妻の厚生年金が91万円/年。妻の厚生年金のおかげで生活可能圏内に入る・・・という印象。日本経済が衰退するシナリオだと考えても、2050年時点で約220万円/年(約18万円/月)といったところか。

改めてだが、厚生年金の強さを感じる。フリーランスは楽だけど、老後や育児のことを考えるなら、企業に就職した方がいいのかも・・・。

第4章「多様な生き方、ライフスタイルと年金」でフリーランスのケースなどについても記述があったので、この辺りを参考に老後の対策を考えていきたい。フリーランスなどの国民年金第1号被保険者は確定拠出年金の限度額が他の人より多い、というのも知らなかった。

老後に必要な資金や生活費のイメージはあまりまだ湧いていないので、そこはもう少し情報を調べたいなと思った。「70代の夫婦世帯の消費支出は50代の夫婦世帯の7割くらい」とのことだが、医療費や介護費などを踏まえて、いくら蓄えるのがいいのか・・・というのはこの本だけだと想像が難しい。

私は1994年生まれで、著者とは約10年のズレがある。別に読めないほどではないのだが、もし改訂版などを出すことがあれば、私のようなちょっと下の世代向けの試算を増やしてほしいなと思った。


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