お気に入り短歌:斎藤茂吉編
今日は母の日、ですがもうひとつ。
歌人の斎藤茂吉の誕生日です。
「赤光」からぼくの好きな短歌をふたつ紹介して自分なりの解釈も書いてみます。
(注:あくまで自分なりです)
白き華しろくかがやき赤き華あかき光を放ちゐるところ
地獄極楽図、と題されている歌です。
仏説阿弥陀経の一部に、
青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光
(しょうしきしょうこう、おうしきおうこう、しゃくしきしゃっこう、びゃくしきびゃっこう)
というものがあります。
「赤光」の元になった言葉ですね。
人間ひとりひとり、それぞれ違う色の輝きを持つという、「人間は誰でも平等である」との意味合いがある…と、これはぼくの解釈ですが、本来の意味からは外れてはいないと思います。
これを踏まえますとこのような見方が出来るのではないでしょうか。
地獄にも極楽にも華は咲き輝いている、そして罪人も善人も平等で同じ人間なのだ。
他にも、
現世と同じく常世でも白い華と赤い華は咲き、輝きを放っている。
そういった読みかたも出来るかと。
この歌に限らずですが、赤光には特に想像膨らませて考えられる、味わい深いものが多いようにぼくは感じます。
もうひとつ好きな歌を。
たまたまに手など触れつつ添ひ歩むからたち垣にほこりたまれり
この歌はあれこれ言う必要のない歌ですね。
なんともなしにからたちの生垣に手を触れながら歩き、手を見ると生垣にたまっていたほこりが手についている。
普通なら「ほこりがたまってたんだな」程度で済む些細なことですが、その「おや、ほこりがたまっていたのだな」という気持ちを短歌にするのが素晴らしい…
〈書いた人:交代人格のよさめ〉
余談:最近短歌の本を読んで楽しむようになり、ちょうど茂吉さんの誕生日ということで真面目に好きな短歌について書いてみました。
これからも時間があれば書くかもしれません。
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