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『二次創作童話』1等賞


あるところに、
うさぎさんと、かめさんがいました。
かめさんは、いいました。

「うさぎさん、うさぎさん。僕とあの丘まで勝負をしようよ!」

うさぎさんは、頷きながらいいました。

「うん、いいよ。でも僕は、かめさんよりとっても速いかもしれないよ?」

かめさんは考えながら、

「うーん。じゃあ、うさぎさんが僕よりも遅くスタートするっていうのはどうかな?」

うさぎさんも少し考えながら、

「わかった!じゃあ僕は、かめさんが半分過ぎた頃にスタートするね。」

うさぎさんとかめさんは、並んで立ちました。

「よぉーし!じゃあ、位置についてヨーイ・・・ドン!」

かめさんは、一生懸命走り出しました。
無我夢中で走り続けました。

「もうそろそろかな。よぉーし、負けないぞ!」

そして、うさぎさんがスタートしました。
うさぎさんも無我夢中で走りました。
一生懸命走って、気が付けばうさぎさんは、かめさんに追いついてしまいました。
うさぎさんは、思いました。

――これは勝負なんだ。抜いたっていいじゃないか。

でも、うさぎさんは、かめさんを追い抜くことができません。
かめさんは、後ろにうさぎさんが追いついていることも知らずに、夢中で走っていました。
うさぎさんは、思いました。

――ここで僕が抜いたら、かめさんは、絶対に追い抜くことができないんだ・・・。

うさぎさんは、悩みました。
丘まであと少しです。

――ここで手を抜いたら、かめさんは怒るだろうか・・・。

うさぎさんは、悩み続けました。

――そうだ!一緒にゴールすればいいんだ!

なんて名案なんだろう。
うさぎさんは、そう思いました。
うさぎさんは、かめさんの隣に並んでいいました。

「かめさんかめさん。一緒にゴールしよう!」

かめさんは、うさぎさんの方を見ずにいいました。

「うさぎさん。それでいいの?」

うさぎさんは、びっくりしました。
かめさんが喜んでくれるとばかり思っていたのです。
しかし、かめさんは喜んではくれませんでした。

「ねぇ、うさぎさん。僕は一生懸命走っているんだよ。」

それから、かめさんは一言も話さずに丘まで必死に走っていきました。
うさぎさんは、立ち止まってしまいました。

――僕の選択は間違っていたの?

うさぎさん悩みながらも最後、ラストスパートをかけて一生懸命全力で走り出しました。
知らず知らずのうちにうさぎさんは、泣いていました。
途中、かめさんを追い抜いていることもわからずに・・・。
丘の上に最初についたのは、うさぎさんでした。
かめさんは笑顔で、

「おめでとう!やっぱりうさぎさんにはかなわないなぁ。」

といいました。
うさぎさんは、なんだか複雑な気持ちでした。
かめさんは、いいました。

「うさぎさん。僕はね。うさぎさんに一生懸命がんばってほしかったんだ。だから、僕を追い越してでも一等賞になってほしかったんだよ。がんばるってことが大事なんだよ。」

うさぎさんは、かめさんの笑顔にとってもほっとしました。

「かめさん、僕間違っていたんだ・・・。」

かめさんはいいました。

「うさぎさんのいってくれたことは、必ずしも優しさにはならないんだよ。でも、うさぎさんの優しい心は、とってもよくわかったよ!ありがとう!」

うさぎさんは、コクンと頷きました。

「今日は、なんだかとっても楽しかったなぁ。」

うさぎさんは、いいました。
かめさんも笑顔で頷きました。
そして、二人は手をつないで一緒におうちへ帰っていきました。

「うさぎさん、また勝負しようね!今度は負けないぞー!」

そう、空に響いて。

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