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快適空間黒部ダム|黒部2024

黒部ダム 快適

うだるような暑さのお盆に、涼しいところに行きたい友人と僕は、黒部ダムに行くことにした。

4:30に迎えに来てくれた友人の車に揺られ、黒部ダムの長野県側入口にある扇沢駅を目指す。車で行けるのはこの扇沢駅までで、そこからは電気バスに乗らなくてはいけない。

世はお盆の真っ只中。帰省するという概念が無いので気にしていなかったが、日本中でゲルマン民族大移動が起きる時期である。普段は余裕で駐車できる扇沢駅の巨大な駐車場もすでに満車で、数km離れた空き地に車をとめ、シャトルバスで扇沢駅に向かうことになった。

扇沢駅には軽妙な語り口の名物駅員がいて、電気バス待ちの観光客にお弁当を勧めている。バスを待っている列を整列させつつ、全ての話のオチに「お弁当いかがですか」と持っていくやりたい放題さが面白い。ネットで調べたところ、この名物駅員、駅員の格好をしているが実際のところは駅員ではなく販売員らしい。

電気バスで15分ほどで黒部ダムに到着。東京が35度の中、山の中にある黒部ダムは24度前後の快適空間だ。数ヶ月間忘れていた屋外の涼しさという感覚に身体中の喜びを隠せない。

早めの昼食ダムカレー。アーチダム形式。

黒部ダムはその高さが日本一で、実質的に日本最高最大最強という、男の子が喜びそうなスペックを誇る。

この時期は常に観光放水が行われており大量の水による虹が見放題だ。上から眺めるもよし、近くによって放水を感じるもよし、堤防の上を歩くもよし、ダムに捨てるところ無しである。

巨大なダムをみていると細かいことや語彙力が無くなる。

室堂 ライチョウ

黒部ダムの堤防を反対側に行くとそこは富山県。立山連峰に抜けられる。立山黒部アルペンルート最高地点に室堂という高原地帯がある。

黒部ダムからケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバス(トローリー!オー!)を乗り継いでようやく辿り着いた室堂は、2450mの登山レベルの高原だった。

室堂には天然記念物のライチョウが生息している。警戒心が薄く、ずんぐりむっくりした見た目通り飛ぶのもうまくないため絶滅危惧種である。この室堂でも観られたらラッキーという鳥である。

あっさりいた。

低木のある地面に巣を作るのだが、ライチョウは遊歩道の端でぼんやりしていた。観光客の観ている前で羽をバタバタさせて砂浴びしている様子は、愛らしくも心配になる。

あっさりライチョウを見つけてしまったが、室堂の遊歩道を散歩した後、もとのルートを戻り黒部ダムへ、さらに麓の扇沢駅まで戻ってきた。往復の乗り物の数は最多かもしれない。バスバスケーブルカーロープウェイバス、バスロープウェイケーブルカーバスバス。

この日の宿は白馬である。近くのスーパーで食料とお酒を買い込み、友人と宿で心ゆくまでダムトークだ。

白馬 二日酔い

翌朝、白馬五竜植物園へ。スキー場の夏仕様で、高山植物が見られる場所だ。軽い山登りをして遊歩道を見ながら高山植物を見て回るというものだが、こちとら絶賛二日酔いである。

往復リフトに乗ったあげく、遊歩道の最短ルートでみてまわるという、大人の力全力で高原を堪能した。コスパ最悪である。

その後、歴史バカの友人が観たいという飯山城に立ち寄る。飯山城址公園とされているが、若干の石垣と門の跡が残るほかは、小さな神社があるのみの公園である。

ただそれでも友人にとっては満足だったようで、飯山城で行われたという上杉氏と武田氏の戦いについて、まるで見てきたかのように語ってくれた。もしかしたら本当に見てきたかもしれない。

この時点ですでに黒部ダムの快適温度が懐かしい。

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