見出し画像

考えたな徳川斉昭|水戸2015

大学時代に水戸に住んだことのある友人と、庭園好きな友人とともに、水戸偕楽園を訪れた。3月はじめ、偕楽園が一年で最も盛り上がる季節である。

偕楽園は、岡山の後楽園、金沢の兼六園と並ぶ、日本三名園の一つである。江戸時代末期、徳川慶喜の実父である徳川斉昭が造園した大名庭園で、本園で13ha、広域公園としての拡張部を合わせると300haという、広大な庭園である。

ただ、華やかなイメージのある後楽園・兼六園と比べると、地味な印象がいなめない。水戸は、水戸黄門と納豆のイメージが強すぎるせいだと思われる。

そんな偕楽園が、三名園の名に恥じない華やかさを見せるのが、2月から3月の梅の季節に開催される、水戸の梅まつりである。園内に3000本もの梅があり、120年の歴史を持つ梅まつりは、水戸に住んでいた友人曰く、それはそれは見応えのあるものだという。その見応えたるや、この梅まつりの時期だけ開業されるJR偕楽園駅というのが存在するぐらい壮大とのこと。

入園すると、早速満開の梅に迎えられる。満開の梅をあまり観る機会はないが、この物量と満開さは、確かに美しい。桜よりもぼってりと重そうな花が、立体感がある。

満開な梅、まだつぼみのもの、すでに終わったものがあるが、これは、品種によって咲くタイミングが少しずつズレがあるからとのこと。逆に言えば、長い期間、何かしらの梅が咲いているということだ。考えたな、徳川斉昭。

なお、偕楽園は梅だけではなく、好文亭(徳川斉昭が作った多目的施設)などの建物のほか、竹林などもある。これだけ広大な敷地があるので、数千本におよぶ竹が植えられている。梅より多い。

個人的な好みだが、僕は竹林が好きだ。緑一色の中、風によってサワサワとした音のみがある空間は、開放的で落ち着く場所に感じる。(余談ながら、翌週に竹林が有名な鎌倉の報国寺でお茶をいただいた。)

ちなみに、この偕楽園の竹林は孟宗竹という種類だそうで、弓の材料になることから徳川斉昭が命じて植えさせたとのこと。材料資源と観賞用の一石二鳥とは、考えたな、徳川斉昭。

園内を一周し、出口付近に着くと、五軒香梅ひな流しというイベントが行われていた。いわゆる流し雛ではあるが、京都以外で目にするとは思わなかった。

メインである、内裏人形・雛人形が乗った大きな船を中心に、観光客が流している小型の簡易的な船が流されていく様子は、旗艦を中心として駆逐艦が周囲を固める艦隊の様相である。

なお、駆逐艦の方は、途中で渋滞を起こしていた。

ちなみに偕楽園、梅の季節以外にも、桜まつり、萩まつり、水戸黄門まつりなどが開催されているらしい。やっぱり水戸黄門か。もっと考えろ、徳川斉昭。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?