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投信ビジネスがアパレル業界の二の舞にならないために

日本株を投資対象とする投資信託が2本あり、運用担当者は同じ人、投資先企業も月次レポートの内容もほぼ同じ。だからこの2本を併合しようと検討しているのだが、メリットは・・・、デメリットは・・・で、どう思われますか?と問われて感じたこと。

自分たちの顧客が誰なのか、はっきりと位置づけができていないのでは?

投資信託の受益者である個人投資家の立場になれば、併合することにメリットしかない。そもそも違いのよく分からない小粒な投資信託が乱立している事態は異常だ。1人のファンドマネージャーが複数の投信に関わるというのも、能力が分散されてしまうような気がして嫌だ。

おそらく運用会社の立場になると、どうしても投信の販売会社(証券会社、銀行など)の存在がチラついて、個人投資家と販売会社のどちらを顧客と捉えるべきか、判断が鈍ってしまうのだろう。

私が個人投資家だからこっちに目を向けろ!と主張しているのではない。このままでは運用会社の投信ビジネスは、苦境にあえぐ大手アパレル業界の二の舞となる。とくに2000年以降、百貨店の顔色ばかりを伺って、わずかに商品構成や名前が違うだけのブランドを乱発。そして今、どうなったかはみなさんご存知の通り。

運用会社が受益者目線を取り戻すにはどうすればよいのか?

一番簡単なのは投資信託に関わる社内の関係者が、その投資信託を自らの資産形成の中心にそえることではないか。さらにそのことを公開すれば、個人投資家からの信頼も向上することだろう。これに関する好事例が、農林中金バリューインベストメントの「おおぶね」シリーズの月次レポート。

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運用会社の方々が受益者と同じく自らの資産を預ける身になること。それが受益者とともに長寿投信を育てる第一歩になるのではないだろうか。

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