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”今の時代に作るべき価値”のヒントをくれる「世界観をつくる」

【概要】

今までは「役に立つという価値」を作れば良かったが、今は「意味があるという価値」にシフトしていく必要がある。

※対話形式でお互いを褒め合いながら進行しており、若干気持ち悪い&胡散臭い。が、内容はおもしろい。

【詳細】

①時代によって求められる価値を、「役に立つこと=文明」と「意味があること=文化」の二項で整理。

②現代において求められている「意味があること」を創出するためにはどうしたらよいか。

日本企業は「役に立つもの」を作ることに長けており、高度経済成長の象徴とも言うべきメーカーはこの「役に立つ」という価値を作り続けることで発展していった。「役に立つ」とは、「今までにない薄さの液晶テレビ」とか「吸引力の強い掃除機」とかいう、”便利なもの”といった価値。ここで勝負することは本書では「アスリート的ビジネス」と表現しているように、模倣がしやすく、常に新しい機能を追求し続ける必要がある。そして現代では、あらゆるビジネスにおいて「コモディティ化」が進んでいると言われるようになってきている。「液晶テレビが〇ミリ薄くなりました」とか「吸引力が以前より1.2倍になりました」のような、どこも似たり寄ったりのプロダクトしか出てこなくなってきた。「文明が伸び切った」とも表現されている。

そこで次に求められる価値は「意味があるという価値=文化」であるという。どの商品も機能的価値が大して変わらない中で、選ばれるために「意味」を作る必要がある。どのTVも似たり寄ったりなのであれば何となくsonyが良い、とか、スマホはやっぱりipheneがいい、とか。「ブランド」と言い換えても良い。そのプロダクトには物語があり、提供したい世界観があり、それを表現するために、機能やデザインが存在する。ここの主従関係を逆転させてはいけない。何でもそろっているが見栄えがぐちゃぐちゃの車と、洗練されたデザインで必要最低限の機能がある車とが、機能面でそこまで大差がないのであれば、後者のほうに惹かれるだろう。

ではその世界観はどのように作るのかというと、徹底したコアターゲットを作ることが有用のようだ。コアターゲットを決めすぎるとパイが狭くなるという意見もあるが、そういうことではなく、”深い世界観を作るために”必要なのだ。性年代だけで語るような浅いペルソナでは到底、深い世界観・提供したい価値は生まれてこない。アップルは自分たちが提供する世界観を可視化するため、言葉ではなくショートムービーという形で表現している。それくらい、世界観は深く作りこむ必要がある。

センスを磨くことも大切だ。物語をうまく表現するためのデザイン的センスも求められる。また映画や小説を読むことで、コアターゲットになり切った深いインサイトを見つけることでき、より良い世界観を作ることが出来る。

【感想】

とはいえまだまだ「機能的価値」を重視する部分もあると思う。5GとかAIとかが進化したらまた「機能的価値」を追い求めるターンが来るとも思う。コモディティ化が進んでいる業界において、次のステップとして取り入れるべき考え方なのかなと思った。

「提供する世界観」が上位にあり、それを表現するための「機能」と「デザイン」が存在するという考え方はしっくり来る。提供する世界観をしっかりと体験してもらい、満足してもらい、ファンになってもらい、ブランドが醸成されていく。ただ売るだけの時代から、長期的なファンをいかに作っていくのかが大事であると語った「D2C」と親和性がある一冊だった。

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