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社会人の難関試験合格を阻む「罠」② 「その場で理解」ではなく「一旦放置」のススメ(サウナとの相乗効果狙い)

私は、社会人生活を普通に送りながら(かつ同時に育児をしながら)公認会計士試験を合格しました。筆者が公認会計士試験と両立したものは、以下の通りです。

・フルタイムの勤務
・残業(毎日平均1~2時間、繁忙期は+3~4時間)
・週に2回程度の夜の会食(当時はコロナ前)
・毎週末の友人との草野球(移動時間込みで4~5時間程/週)
・人事異動
・結婚、新婚旅行、育児
・家族旅行(年4回程)

世間では難関といわれる公認会計士試験とこれらを両立できたのは、私が天才だからではなく、社会人受験生が陥りがちな「罠」を徹底的に回避・排除できたからと自負しています。私が感じた「罠」を一つ一つ解説していきます。

本日のテーマは、「理解を重視してしまう」という常識の顔をした罠についてです。その場で理解することに固執することは、試験対策上、実は非効率的であり、この記事では「一旦放置」のススメを説きます。この戦略はサウナとの相乗効果がある点についても同時に説明します。

ーそもそも社会人は理解重視に走りがち

社会人は勉強時間が限定されてしまうので、それを補う手段として「理解重視」で勉強するという手法がとられます。私自身も理解を重視して勉強しましたし、理解を重視することが、社会人が(時間的に優位である)学生に勝つ唯一の手段と考えた時期もありました。

自分は人生経験豊富な社会人であり、ものごとを理解するだけなら学生に負けない――そう考えていたのかもしれません。

しかし、この考えは危険性も孕んでいます。

ー理解したところで、試験の得点力はあがらない

そもそも論ですが、理解することは重要であるものの、試験という性質を考えた場合、理解だけでなく「得点力」を向上させなければ意味がないからです。

私の失敗談の一つはまさにここにあります。私は、短答式を2度失敗しているのですが、その時の敗因として

講義内容をすべて「理解」すれば、知識レベルでは負けることはない

と考えてしまったことにありました。その考えから、講義を何度も何度も繰り返し聞き、単元の一つ一つにつき講師が授業で説明した内容を完璧に理解する作戦をとっていました。

この勉強方法では確かに知識は増加するものの、投下した勉強時間の割に実際に試験問題を解くうえでの「得点力」は身につかず、結果、短答式試験の得点は伸び悩んでしまったのです。

サッカーで例えるなら、得点力は、実際に何本もシュートを打って、身につけなければななりません。試験においても同様です。合格した今となっては当たり前ですが、「試験は得点しないと意味がない」ことを肝に銘じ、そのためのOUTPUT重視の勉強をしていく必要があります。

ー子供が言葉を覚えるのにいちいち理解なんてしていない

私の息子は2才にになるのですが、J-POPや洋楽などの歌詞をときどき口ずさんでいます。おそらく意味は分かっていないでしょう。しかし、のちに、「あの時歌ったあの歌詞の意味はこうゆうことだったんだ」と理解が追いつくことになります。

このことは試験勉強にもつながります。試験勉強をしていくと、たびたび消化しきれない論点がでてきます。社会人で、理解重視をポリシーに取り組んでしまうと、つい何時間もその論点を考えることに頭を使ってしまうことがあります。

確かに考えることは思考力を鍛える面もあるので、全く無しとするのは望ましくありません。しかし、時間的制約を考慮すれば、何時間も一つの論点に留まることは効率的ではありません。むしろ、いったんざっくりとでもその論点をつかんだうえで、(理解できずとも)問題を通じてどんどん反復練習したり、次の論点に移っていくべきです。

ー「理解せず、いったん放置」は科学的にも有効説

ここが重要なのですが、なぜかと言うと、ふとした瞬間に「あの時わからなかったあの論点は、こうゆう意味だったんだ」と道が開けることがあるからです。このことを私は不思議に感じておりましたが、調べてみるとどうやら科学的な根拠があるようです。

ミシガン大学の心理学者ノーマン・マイヤーが行った実験を紹介します。彼は、被験者に対していくつかの作業課題を出しました。中には、全て自力で解決することができた人もいれば、全く歯がたたなかった人もいます。

マイヤーは、全く歯がたたなかった人に対して、それがヒントであると気づかれないように、ヒントを出しました。その後、何人かは作業課題をクリアできたのですが、この実験の肝はこの後にあります。マイヤーは、ヒントをあたえた後にクリアできた人々にたいして「どのように問題解決のアプローチを見つけたのか」とヒアリングしました。すると、ほとんどの人は「(ヒントをもらったことは自覚せず)ある時ぱっとひらめいた」と答えたとのことです。

彼の実験により、「孵化段階の知的活動は、無意識に行われることがほとんどである」ことが示唆されました。簡単にいうなら、意識レベルで考えまくるのではなく、いったん放置して無意識の働きにまかせると、無意識がひらめきを導き出すということです。
(詳しくは、脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実! ダイヤモンド社 (2015/12/11)を参照ください)

試験勉強を行う際には日々色々な論点に向きあいます。また、仕事や生活面で脳みそは毎時いろいろな情報を無意識下で処理しています。そのような無意識の処理が、なんらかの形で、問題解決に貢献する場合があるということです。

ー「一旦放置」はサウナと相性抜群の戦略

この「理解せず、いったん放置」の戦略は、サウナとの相性が抜群です。

拙者記事「【急がばととのえ】サウナに行けば難関試験に合格説 毎日サウナに通った社会人が公認会計士に合格した話 【前編】」における効果③ アイディアやひらめきが舞い降りる でも記載しましたが、

サウナに入ると、不思議とアイディアやひらめきが舞い降ります。実体験としても、勉強で理解しきれなかった部分が、サウナ中、サウナ後に「あ、そうゆうことだったのね」とあっけなく解決したことが多々ありました。

サウナに入ると、β波(これまた脳波の一種)が頭頂葉に増加し、感覚を司る領域が活発化することが要因とのことです。(科学者ではないので、詳しくは「医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか? 」(ダイヤモンド社)著者:加藤容崇に譲ります。

ーまとめ

社会人はとにかく時間がありません。そのような方が、いつまでも理解重視で一つの論点に留まることは、実は理解をする上で効率性が悪いという本末転倒な側面をもっていたということです。

無意識レベルの脳の活動がいつか起こるであろうひらめきを待ちながら、とりあえずその場では完全に理解はできなかったとしても、どんどん前に進むことが重要ということです。

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