見出し画像

サッカーのダイナミックトレーニング5 〜構造化トレーニングの導入〜

Writer

坂本 圭

坂本さん

●経歴
・スペインサッカーコーチングライセンス・レベル3(S級相当)取得
・2016-2017:CF Badalona(2B)(バルセロナ近郊のクラブ)で試合分析を担当
・2018-2019:東京・清瀬VALIANT で指導
・2019年4-12月:FCバルセロナアカデミー品川大井町校

●SNS
note:https://note.com/sakamotokei68
Twitter:https://twitter.com/ideailista


・・・・・・・・・・・・

〜PITTOCK ROOMの記事購入・購読の方法〜

【定期購読】
1000円/月で定期購読が可能です。15記事/月以上の記事が購読できます。
月に3〜4記事以上読みたい方はこちらの方がお得です!

【単記事購入】
290円/記事で購入可能です。
気になる記事だけ読みたい方やお試しで読みたい方はこちらからお願いします!

※ただし購読開始月以前に投稿された記事は別途購入が必要となります。
例)4月購読開始→3月以前の記事は別途購入が必要。
3月の記事を定期購読料金で読むためには3月中の購読開始が必要です!

画像2


・・・・・・・・・・・・


サッカーのダイナミックトレーニング5 〜構造化トレーニングの導入〜

坂本さんアイキャッチ


前回は、ダイナミックトレーニングの高強度のダイナミクス(アクション)について説明しました。


今回は、ダイナミックトレーニングに、どのようにして構造化トレーニングを導入するのかを説明します。


第1章で、述べたようにラフェル・ポルの「ダイナミックトレーニング」は、「戦術的ピリオダイゼーション」と「構造化トレーニング」をうまくミックスしており、「ダイナミックトレーニング」は、「戦術的ピリオダイゼーション」のミクロサイクル(モルフォサイクル):週間トレーニングパターンをベースとして考案されています。

セッションは全てSCP(優先コンディション状況)トレーニングで、フランシスコ・セイルーロのSSP(状況優先シミュレーション)トレーニングの中にあるSCP(優先コンディション状況)トレーニングのみを抜き出しています。

フランシスコ・セイルーロのトレーニング方法であるSSP(状況優先シミュレーション)には3つの柱があるのですが、それについては後ほど説明します。


第1章を読みたい方は、こちらからどうぞ。



構造化トレーニングとは何か?

ダイナミック・システムとして選手を理解する:

フランシスコ・セイルーロ(2002)は、選手をダイナミック・システムとして理解することを提案しました:

選手:
選手は、非常に複雑な構造をしており、構造間の相互作用とフィードバックによって構成されている。


ダイナミック・システムとは、選手がプレー中に自己組織化するという概念から始まります。

ダイナミックシステムについて素晴らしい本を書いているエスター・テーレンはこのように述べています:

私たちの行動は、文脈や個人の発達史に基づいて、瞬間瞬間に再構築されるという考え方です。エスター・セレンは、私たちに備わるこうした動的な特性を音楽家の即興演奏に喩え、私たちの活動は、常にその瞬間に立ち現れている様々な要素と相互に影響を与えながら再構築されると述べています。

サッカーに置き換えて考えます。なぜ選手がダイナミック・システムであるかというと、プレーをする瞬間、瞬間にプレーをする環境やチームメートと相互に影響を与え合いながら、ジャズミュージシャンの即興演奏のように、プレーを再構築、つまり新しいプレーを生み出しているからです。

サッカーのプレーには同じ状況は2度とありませんが、類似した状況が頻出します。選手はプレー中に状況を把握し自己組織化します。常に新しいプレー状況を学びながら、自分が持っている戦術メモリから直感で無意識的に、その類似したプレー状況に最適なプレーを選択します。

そのようなことからフランシスコ・セイルーロは、サッカー選手をダイナミックシステムであると考えるようになったのだと思います。


次に構造化トレーニングを理解するために、「システム思考」を詳しく説明します。

システム思考は、ピーター・M・センゲ(2011)が述べるように:

構造が挙動(立ち振る舞い)に影響を与える

これが、システム思考の根底にある中心的な原則になります。

ここから先は

9,847字 / 3画像

¥ 290

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?