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サッカーのダイナミックトレーニング6 〜低強度のダイナミクス〜

Writer

坂本 圭

坂本さん

●経歴
・スペインサッカーコーチングライセンス・レベル3(S級相当)取得
・2016-2017:CF Badalona(2B)(バルセロナ近郊のクラブ)で試合分析を担当
・2018-2019:東京・清瀬VALIANT で指導
・2019年4-12月:FCバルセロナアカデミー品川大井町校

●SNS
note:https://note.com/sakamotokei68
Twitter:https://twitter.com/ideailista

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6.低強度のダイナミクス:その日のチーム/選手間の調整

坂本さんアイキャッチ

前回記事
サッカーのダイナミックトレーニング5 〜構造化トレーニングの導入〜

持久力のコンセプト:

私にとって選手が良い状態か、そうでないかは存在しません。存在するのは、選手がプレースタイルに適応しているのか、適応していないかです。私にとって持久力とは、プレーのアイディアに適応しており、このプレースタイルの中で暗黙的に個人的および集団的なアクションを実行できることです。
                              ジョゼ・モウリーニョ (2004)


ダイナミックトレーニングの目的は、選手のパフォーマンスの最適化です。例えば、一般的な持久力トレーニングである持久走やエアロビクスダンスをしたからといってサッカーの試合で90分間、試合の状況に応じた最適なプレーを継続することができるようにはなりません。

もちろん、持久走やエアロビクスダンスはスポーツ選手としてのベースとなる一般的な持久力を向上させるには最適だと思います。

逆に、マラソン選手やエアロビクスダンスのインストラクターが、マラソンやエアロビクスダンスの持久力を向上させるためにサッカーの試合を90分間するでしょうか。

サッカーの試合で身につく持久力とは、サッカーの試合をするのに最適な持久力になります。

それはモウリーニョが述べたように、チームのプレースタイルに適応しているのかどうかです。個人のプレーのアイディアが、チームのプレースタイルに暗黙的に適応し個人的および集団的なアクションが実行できるかどうかなのです。

いくらドリブルがうまい、1対1が強いと言ってもチームのプレースタイルやゲームモデルに適応することができる選手でなければ試合には出場できません。

監督やコーチは、チームのプレースタイルやゲームモデルに基づいた個人的および集団的なアクションを選手が実行できるようになるためのトレーニングを構築しなければなりません。


ダイナミックトレーニングの考案者であるラフェル・ポル(2011)は持久力についてこのように述べています:

特定のゲームモデルのプレーの様々な行動/アクションに要求される様々な間欠的な取り組みの積み重ねを、ボールの有無にかかわらず最小限の疲労で持ちこたえることを可能にする生物的エネルギー能力。
                                  ラフェル・ポル (2011)

サッカーの試合中のプレーはアウトオブプレーを除き、審判が笛を鳴らして合図することはありません。試合中のプレーは間欠的であり、インターバルが何分あって、その後、笛の合図で走り出すスポーツではないのです。

そう言った意味で考えるとインターバルトレーニングもサッカー特有の持久力を向上させるのに最適なトレーニング方法ではありません。


次にマサフレットとコール(1999)はサッカーの持久力についてこのように述べています:

試合中、および全ての試合の特定のゲームモデルによって確立された身体的、技術的、戦術的(および心理的)要求に耐える能力。
                      Massafret y col. (1999)

これらのことから考えるとサッカー選手にとっての持久力とはプレーをする環境と持久力を切り離すことはできません。サッカーは集団スポーツであり、持久力を個人だけに留めることはできなく、他の選手や試合環境と相互作用することを考慮したトレーニングメニューを作成する必要があります。



低強度のダイナミクス:その日のチーム/選手間の調整


下記がサッカーの持久力のコンセプトになります。

坂本さん6-1

サッカーの持久力向上を目的としたトレーニングするのではなく、90分間の試合で選手のパフォーマンスを最適化し続けることを目的としたトレーニングをする必要があります。

個人の役割、チームとしての役割がサッカー選手にはあります。選手は個人としてもチームとしても試合に集中しなければなりません。

トレーニングメニューを作成する場合は、選手同士が相互依存の関係にあることを念頭に、試合環境の中で選手間の相互作用がある試合の文脈(状況)を設定したトレーニングメニューを構築する必要があります。



試合環境と相互作用する選手を条件付けるのは疲労である

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