染まり、偏り、戻り。

 人は何かに染まる生き物だと思う。信じるものであったり、当たり前に目の前にあるものであったり、よく耳にする言葉であったり。影響されるものは様々ある。その日々見聞きするもの、感じるものの総量が大きくなった大人は、何かしらに偏っているのかもしれない。
そんな大人の偏りを真ん中に戻してくれるのが、世代を超えた子どもの言葉だったりする。ふと我に返らせてくれる言葉を発することがある。その時、子どもへの感謝の気持ちが沸くと同時に、自分を覆う皮が一枚取れたような気持ちになる。清々しい気持ちになる。
 言霊という言葉がある。言葉は発する人の感性だったり、思考だったり、置かれている状況だったりを表すと思う。偏りが良いか悪いかは別として、大人の言葉には偏りがあると思う。しかし子どものそれは、いつでもどこへでも好奇心を持っていけるように、真ん中に置かれていることが多いと思う。
以前、小学3年生の子と、将来の夢について話したことがある。僕が「Yさんは将来(仕事は)何がしたいの?人のためになる仕事とか向いてそうだよね」と、大の大人である私が声をかけると、「人の為になっていない仕事ってあるの?」と返答があった。Yさん、僕を真ん中に戻してくれてありがとう。

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