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備忘録📝 映画『怪物』をみて感じた境界線と、高まったオムニバス熱

2024年8月の日記である。

わざわざ1年以上前公開の映画の
感想文を書く。

開幕前から気になっていた映画なのに
こんな時分になってしまっていた。

『怪物』

是枝裕和さん監督、坂元裕二さん脚本、
そして、坂本龍一さんが音楽を担当された作品。

お盆休みに実家のリビングで
録画していたのを鑑賞。

終わってから
しばらくソファの上で遠くを観ながら
小さなため息を何度もついていた。

お見事…とつぶやきながら。

映画『怪物』概要

ネタバレに気をつけながら書くつもりだが、
境目がわからないので、全く知りたくない方は
この先はお控えいただきたい。
(ネタバレ苦手人間ですが、その性格の上で
抽象度高めにいきたいと思います)


舞台は長野の諏訪湖を見おろせる、
山間の長閑な町。

突如起こった、駅近雑居ビルの火災。

少年たちの諍い。
片方だけの靴。
砂の入った水筒。
台風の中、消えた子ども。

学校と子どもを中心に
カメラが映し出すものとは、

子どもの闇?大人の不祥事?

視点を疑う


言い換えると、
自分がみえている世界以外の世界の存在を
信じる、とも近いかもしれない。


何を持ってネタバレとなるのか
人によって違うと思うので
とても抽象度高めに話を進めると、

自分の見えている世界は
人からみると全く異なる可能性がある

どころか、
そうである前提で生きるほうが
健全なのかもしれない
と思った。

例えば、
家族が部屋に篭りがちな期間が増えたとする。

それは、
心身が病んで気を塞いでいるのかもしれないし、
目標をみつけて、時間を忘れて没頭し、勉学に励んでいるかもしれないし、
或いは、
恋の沼にハマって好きな人とのコソコソ電話に明け暮れているのかもしれない。

また、

雨が降ったとして
それは誰かにとっては
楽しみにしていた予定を狂わすものかもしれないし、
大切な人の帰りを心配するものかもしれないし、
ソール・ライター風写真を撮るチャンスだとカメラを持ち外に出るきっかけになるかもしれないし、
畑や庭の水遣りをしなくて済むと安堵をもたらすかもしれない。

何が真実かはわからない。
いくつもの真実がある。
(コナンくんに怒られそうだが)

自分は、
元々は、境界線をひくのが下手だった。

所謂、真面目人間なところから
自分が思ってる正義に沿っていない人に対し
腹が立ってしまうこともあったし、

近しい人でこそ考え方が違う時に
極端に「わかってもらえないなら、いい」と
コミュニケーションを急に終了してしまっていたこともある。

逆に、同調できない環境において
自分肯定感が下がるような感覚もあった。

本能的には、自由に自分の声に従って生きたい
と思いながらも。

いまでこそ、境界線をしっかり
薄くしたり、濃くしたりのチューニングが
できるようになってきて
軽くなった、と思う。心が。


わたしはこう思うけど、
あなたはそう思うんだね。
それってとても興味深い。
あなたこともっと知りたい。


みたいなところまでこれたのは、
人文知としての文化人類学に出会って
みたいなところも大きいように思う。

そういった視点の違いを整理できる
アプリをインストールした、ような。

それができるまではしんどかった。

いまは、違いを知ること
そのいろんなパターンを知ること
に興味が年々高まっているように思う。

そうでいくと、視点の違い
見えているものの違いを知ることって
とっても楽しいものなんだっていまは思っている。

オムニバスへの興味


同じ日の同じ時間

別々の人の時点でみえる景色の違い、

それを映し出す表現といえば、オムニバス。

元々、映画『love acutually』が大好きで
言わずと知れた名作だと思うが、一応
リンクを貼っておく。

※何度も引用するが、紙芝居のシーンは本当に大好き。


あるクリスマスの夜の19人の視点、
出来事が映し出された作品だ。

あの時、こんなことが
裏で行われていたの?!

なんて裏側がみえるのは
映画など、オムニバス作品だからこそ。

日常生活でできることとすれば、
「あの時、こんな風に思っていたよ」と
告白し合うことくらい。
(その告白も、告白した同士での絆がグッと深まる可能性がある意味では、十分に味わいがある行為だと思うのだが。)

そう。

オムニバスで言うと、
最近面白いなぁと思うものがある。


以前のnoteでもご紹介したが、
flier book camp社会人向け講座で
4〜7月の4ヶ月間、ドミニク・チェンさんと
渡邉康太郎さんのお2人が
「拙い自分を観察するオートエスノグラフィー 」という講座をされていた。

オートエスノグラフィーは自己観察なのだが、

その卒業制作として、みんなで
同じ日の日記を書いてみないか?という呼びかけをし、
それを7月2日と設定して(偶然)
その日記を集めて1冊のZINEにする
という試みをしている。

只今、絶賛編集作業中なのだが
既に面白い。

目次で、参加者の日記を時系列順に並べて、
朝の時間の日記から、夕方、深夜
日付を超えても連なっていく。

同じ7月2日、
みんながどんな風に
過ごしていたのかをみていくのは
非常に面白い。
(課題を通して、何日分もの観察日記を
交わしていだのの、
とある1日で綴った時の味わいを感じた)

オムニバスの魅力は、
なかなか立ち入ることのできない
その人の日常や心のうちを垣間見れて
更に共時性から思いを馳せることができる
というところにあるのだろう。

影響を受けてしまった、からには


オムニバス映画、ZINEに連続して触れたことで
オムニバス熱が高まり、

何を思ったのか、
「オムニバス小説を書きたい!」
という思いが芽生えてしまった。

無論、小説など書いたことはない。

けれど、近くにいる人たちへの
「この人の小説を読んでみたい」
という思いと相まって

思ってしまった。

そして、
それをこの、noteに書いてしまった。

どうしようか。
期限は設けずに
いけるところまでいってみたいと思う。


失敗したり、頓挫したりするかもしれないが、
これを映画『怪物』の感想とする。

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