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メチレーション分析とTwist Bioscience $TWST の立ち位置

こんにちは、ぴたごらら(@pitagorarara)です。
いきなり他の方の記事紹介ですみませんが、KJ(@Kevin999111222)さんのTwist Bioscienceのnoteが面白いので是非ご一読ください。

それでは本日はこの辺で…と終わりたいところですが、Twistの理解の足しにしていただければということで同社が強みを持つメチレーション分析とはなんぞや、というお題目で少しまとめます。KJさんの記事が素晴らしいので、分量的にも内容的にも完全に蛇足です、ご容赦ください。
例のごとくTwistはARK銘柄で、10月末時点でARKK 26位(1.35%)、ARKG 5位(4.61%)となっています。

ARK InvestのSimon Barnett氏の上のスレッドの引用・意訳です。

Disclaimer:
本内容はニュース等を引用・意訳・改変したもので、内容の正確性などは保証できません。本内容、またそれに基づいた投資判断などにつき、私はいかなる責任も取れません。

メチレーション(メチル化)分析とTwist Bioscience

メチル化とはDNAの“外”の化学変化です。ゲノムがPDFだとすると、メチル化はスペルミスではなく(それは突然変異です)、単語を太字やイタリック体にするようなものです。

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実際メチル化は、ヒトの体が自分のDNAの指示を読み取る方法を変えることができます。重度のメチル化は遺伝子の発現(つまりDNAの指示に基づいてタンパク質を作ること)を抑制したり、調節したりすることができます。メチル化はまた、DNAよりも環境に応じて変化しやすい性質を持ちます。ヒトではDNAの4つの塩基(シトシン、または「C」)のうちの1つだけがメチル化されます。通常、メチル化はCの後にGが続くCで起こります。これらはCpGサイトと呼ばれ、ヒトのゲノムには何百万ものCpGサイトが点在しています。

↑魔法のシーピージーiらんど

メチル化は、ゲノムの“外”の現象、エピゲノミクスと呼ばれるより大きな分野のサブセットにあたります。メチル化をシーケンスするには特殊なアプローチが必要です。ショートリード・シーケンサーでは、PCRのサンプル前処理に使用する化学物質がDNAからメチル化を外してしまう、つまり、メチル化の情報を失うことになります(ロングリードを使用することでメチレーションデータを劣化させないこともできます)。それを防ぐためにはサンプル前処理の間に、「メチル化キャプチャーパネル」と呼ばれるものを使用しなければなりません。
GRAILの検査では、何千ものCpG部位を調べて、メチル化されているかどうかを調べられます。その情報は、「がん」または「非がん」というリードアウトを吐き出すニューラルネットに供給されます。集合的に、これらの特定のサイトは 「ターゲット」として参照されます。理想的には、ターゲットのみをシーケンスしたいですが、特定のゲノム領域をターゲットにするには、メーカーからプローブを購入する必要があります。

プローブは、ターゲット領域に相補的な配列を持つ分子であり、プローブがターゲットと結合したり、溶液からターゲットを取り出してシーケンシングを行ったりすることができます。質の悪いプローブは、間違った領域に結合したり、結合に失敗したりして、結果的にターゲット外のシーケンシングになることがあります。

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メチル化はその方法論に複雑さをもたらし、効率的なプローブ設計を困難にしています。リキッドバイオプシーのように少量の DNA を使用する場合、僅かにターゲットが外れただけでも、運用上大きな問題を引き起こす可能性があります。プローブの良し悪しは、オンターゲット率、プローブの均一性、Fold-80ペナルティなど、いくつかの変数を用いて定量化することができます。

まとめると、このような小さな科学的なニュアンスが大きなビジネス上の問題や解決策を生み出す可能性があるため、詳細を深く掘り下げることが非常に重要になります。Twistの合成生物学プラットフォームは、GRAILのリキッドバイオプシー(Galleri)を可能にする高度に均一なメチル化キャプチャプローブを製造しています。

どのように「悪性度」を判断するか?
彼らの機械学習がどのように動いているかはわかりませんが、原理的にはあるメチル化部位からのシグナルをすべてのサイトにわたって合計し、異常の有無を確認します。乱暴な例になりますが、Aをメチル化、aを非メチル化とすると、「aaaaAaAaaAAAaaAaaaaaaa」の平均はaとなるので、そのサイトは「非がん」シグナルだと落とし込まれます。それを、10万箇所にわたって反復します。

Twist Bioscienceの優位性

なんとなくtwitterで情報収集をしているとキーワードだけが頭に残りやすいので、「Twistがメチレーション分析ですごい」のようなざっくりした認識しか持てていませんでした。実際そうなのかもしれませんが、正直技術ベースの優位性うんぬんという話になると判断により深い専門性が必要になりますし、そこまで勉強するつもりはありません。少なくともメチレーション分析能においてはTwistの技術がないとどうにもならない訳ではなく、あくまでTwistのキャプチャパネルはその民主化に働いている、ぐらいの理解でいます。ExactもBase Genomicsを買収して内製化に動いているようですし、Twistがこの分野において寡占状態になることはないのかもしれません。

さらに、同じ業種とも言える遺伝子解析用シーケンシングのソリューションを提供するIlluminaが6.5%程所有している。これはおそらくだけども、Illuminaは遺伝子機能の大規模解析するためのハード(設備)も製品として販売しているので、Twist BioscieinceもそういったハードはIllumina製のもの導入したりしてるのかもなあ、と思ったり。妄想です。
(KJさんの記事から引用)

これはその通りで、TwistのS-1には2017〜18年の間で年間$1-2mほどIlluminaから試薬・装置を購入していると記されています。きちんと調べていないので推論ですが、Illuminaのプラットフォームは広く普及していますのでこれはTwistに限った話ではないと思います。また、逆にGrailには年間$0.5mでNGS tool kits/NGS sequencing toolsを売っています。株を持たれていることもありますが、ある程度共依存の関係にはありますね(現在どの程度の売上をGrail/Illuminaから得ているかはわかりませんでした)。
NGS事業は底堅く推移するんじゃないかと思います。

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KJさんも指摘されていましたが、やはり注目すべきはdata storage事業がどれだけ化けるか、という点だと思います。これに関しては発想が天才過ぎて私には全くわかりません。

そう遠くない将来にGAFAM(あるいはそれに代わる企業)がヘルスケア全体を食ってしまうという未来もあると思っています。

参考:
Twist Bioscience Corporate Presentation - August 2020
https://investors.twistbioscience.com/static-files/2b6c4726-b0cb-41ed-b511-cb8d89978153

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