見出し画像

Personalis $PSNL : pop SaaS ("Sequence"-as-a-Service)のパイオニア

こんにちは、ぴたごららです。今回はARK銘柄でもある遺伝子検査会社Personalisについてお勉強です。2020年10月9日時点でARKKには組み入れられていませんが、ARKGで組み入れ6位、全体に占める割合は3.82%と上位です。

Disclaimer:
本内容は非専門家である私がニュース記事等をまとめたもので、内容の正確性は保証できません。正確な内容に関しては原文をあたってください。本内容、またそれに基づいた投資判断につき、私はいかなる責任も取れません。
また、本記事は特定の医薬品の使用を推奨するものでもありません。

会社概要

Personalisは2011年にスタンフォード大学からスピンアウトして設立された遺伝子検査会社で、本社は米国カリフォルニアにあります。「患者一人ひとりの腫瘍について、より包括的な分子データを提供することで、次世代のがん治療の発展に変革をもたらす」ことをミッションとしています。

目玉となる製品は以下NeXTプラットフォームの2つです。製品説明から抜粋・意訳します。
ImmunoID NeXT
ユニバーサルな癌免疫ゲノミクスプラットフォーム。単一の検体から腫瘍とその微小環境の包括解析を可能にする最初のプラットフォーム。ImmunoID NeXTは、約20,000の全遺伝子ゲノム情報を提供することで、複数の癌領域のバイオマーカーアッセイを統合し、1つのサンプルから得られる生物学的洞察を最大化する。検体量が限られている場合、研究者はどのバイオマーカーを分析するか難しい決断を下さなければならないが、ImmunoID NeXTがあればこの問題は過去のものとなる。
NeXT Liquid Biopsy
血漿ベース解析で腫瘍組織のプロファイリングを補完。NeXT Liquid Biopsyは世界初の高性能な全ゲノム液性生検アッセイであり、腫瘍の遺伝子変異を包括的に把握することでImmunoID NeXTを補完する。NeXT Liquid Biopsyにより、治療抵抗性や癌の進行につながる可能性のある腫瘍生物学上の重要なポイントを、エクソーム全体の観点から追跡できるようになる。

腫瘍、血液の両方で遺伝子検査ができる製品を取り揃えており、血液だけにフォーカスしているGuardant Healthとはこの点で違いがみられます。また"comprehensiveness"にこだわっているところから、医療機関はもとより対製薬企業のビジネスを重視していることが伝わります。

画像1

↑動物実験から治験まで、バイオマーカーアッセイを手広く手助けできることをアピールしています

Pop SaaS

対製薬企業のビジネスの他に、現在Personalisは集団ゲノミクス(pop-gen)プログラム(Million Veteran Program)を回しています。このプログラムは米国退役軍人の遺伝情報を調べることで、遺伝子、ライフスタイル、軍事的な暴露が健康や病気にどのような影響を及ぼすかを調べる国家研究となっています。2020年8月に以下のニュースレターがARK Investから出ているので簡単にまとめます。

急成長中のPersonalisは、2Qに記録的な収益成長と新製品の発表を行い、新たなビジネスチャンスである集団ゲノミクス(pop-gen)を拡大しました。近年、多くの国や医療システムでは、重要なゲノム情報を明らかにするために、大規模集団でのシーケンスを開始しています。機械学習によって応用が進むpop-genデータは、病気を予防し、医療システムを効率化し、新しい治療法確立のための情報を医療専門家や政策立案者に提供することができます。
ARKは、現在のプロジェクトをベンチマークとして今後5年間で40億ドルの市場機会があると推定していますが、このようなプロジェクトの立ち上げには大きな障壁があります。多くの国では、これらの超大量処理プロジェクトを開始する意欲と資金がある一方で、ゲノミクスのインフラと技術的ノウハウが不足しています。すなわち、シーケンスのコストを下げるだけでは、pop-genの市場機会は開けないということです。臨床シーケンスのワークフローと同様に、広く普及するための主な障壁は、フロントエンドでの検体調製、検査室でのプロセス管理、バックエンドでの演算等です。
Personalisは、米国退役軍人省(VA)と共同で、米国最大規模のpop-genプロジェクトを実施しています。すでにVAとの契約では、11万6000本の全ヒトゲノムのうち7万5000本のシーケンスを実施しています。つまり、Personalisは世界各地にシーケンスセンターを設立するために必要なプロセス最適化の経験を有しているということです。
現在、PersonalisはBerry Genomics社と共同で中国にシーケンス子会社を設立しています。Personalisは、独自の技術と運用実績を持つことで、大規模のpop-gen解析を必要とする国や大型医療システムとの契約を獲得できる可能性があります。Personalisは現在、製薬企業向けの高度な癌プロファイリングツールに注力していますが、今後5年から10年の間に、分子情報に基づいたインフラを構築し、生物学的発見や医療介入を可能にするために、公衆衛生分野でもオポチュニティがあるかもしれません。

今後について

直近の会社説明資料をみてみると、このpop-genプログラム由来の収益が、2018年、2019年の収益とその成長を支えています(以下のMVPの部分です)。

画像2

年間で10万人ペースでシーケンスを回し、2020年8月時点で82.5万人が登録されているとのことです。最終的な目標は200万人とのことで、しばらくこのプログラムが収益の柱になるでしょうし、9月には$31M相当の追加契約が行われたとのグッドニュースがありました。しばらくは安定した収益が見込めそうですね。

国家プロジェクトに採択されるとやはり強いですよね。公衆衛生分野においては民族差を考慮する必要があるでしょうから、米国の退役軍人だけを対象にしている本プログラムから導かれた結果がそのまま他国には外挿できないでしょうし、ARK Investが期待するように他国(とくに中国?)でビッグディールが結ばれると嬉しいですね。このようなプログラムは残念ながら終わりがあるので、その前にプログラムを足掛かりとして、各国の対医療機関ビジネスに食い込めるとさらに夢が膨らみます。
@goldenpyreneesさんは対製薬企業向けのビジネスに期待をされています。たしかに臨床市場よりは小さいですが、ここでシェアを獲得できると持続的な収益が見込めますね。血液だけでなく、腫瘍、さらにはその微小環境まで包括的に解析できるというのは製薬企業にとっても魅力的に映るのではないでしょうか。

彼らの中で競合(潜在的なものも含む)と認識しているのは以下の企業とのことです。

Guardant Health $GH; ARKG銘柄
Foundation Medicine(Roche傘下)
Roche Molecular Systems(Roche傘下)
NanoString Technologies $NSTG; ARKG銘柄
Personal Genome Diagnostics(未上場)
Adaptive Biotechnologies $ADPT; ARKG銘柄
NeoGenomics $NEO
Tempus(未上場)
Caris Life Sciences(未上場)

参考:
Twitter @goldenpyreneesさん
Personalis Investor Presentation - August 2020
https://investors.personalis.com/static-files/4ccfb8f0-2bdf-48f8-bd6b-d74cd0c268b6

↓この記事が良かった、ぴたごららを応援したい、と思ったらサポートいただけると励みになります。

ぴたごららファンドへのサポートをいただけると助かります!