叫び

ある日の学校帰りのことだった。
道路を歩いていると、おばあさんが道路に占いの道具を広げて、大胆にやっていた。だが、誰も見向きもせず、占いをやる人はいない。その横で変な踊りをしているおじいさんもいた。すごい邪魔だと思い、こんなところさっさと通り過ぎようと思った。無視して通り過ぎると、そのおばあさんが、熱い眼差しで挨拶をしないといけないんだよとか変なことを言ってきた。なんだか怖い。通り過ぎる人みんなに言っている。
「何あいつw」
「怖いねーw」
道を行く人には無視されて笑われている。
私も無視して通り過ぎた。
すると、後ろから大きな声がした。
おばあさんの隣で踊っていたおじいさんの声だった。
「うちの妻はひきこもりで、死んじゃいそうだったんです!どうか生きる資格を!」
 私は全身の力が抜けてしまい、泣き崩れてしまった。
「なんだよそれ、
知らない
知らない、
そんなの知らない。」
私が無視して通り過ぎたものは、おばあさんの好きなものだったんだ。私が邪魔だと思ったものはおばあさんの生きがいだったんだ。
泣き崩れた私の横にサラリーマン達が通り過ぎる。
「これが、認められなかったら、死んじゃうのかなあ。
なんて、
そんなの、
知らない」

私は立ち上がり、もう一度、おじいさんとおばあさんの方へ振り返った。


#創作大賞2022

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