基本知識シリーズ:今年もお世話になりました!2023年を振り返ってみよう
今年も早いもので2023年大晦日
20日にサンワード貿易さんのZOOM配信でアルゴについて簡単なセミナーをやらせていただき、その資料作りの為にマーケットをじっくり考える事ができました。
配信後サンワード貿易経由で資料配布の選択肢もありましたが、その資料を分割してその内容の解説や元となった僕のnote記事へのガイドなど何回かに分けて投稿させていただいた最終回です。
因みに申し込みいただいた方はアーカイブ配信がご覧になれます。
申し込みいただいていない方も簡単な手続きで見られるようにサンワード貿易様に対応頂いております。年明けまでお待ちください🙇♂️
■2023年を振り返る(米国市場)
2023年2月:FRB政策金利を25bp引き上げ(4.75%へ)
2023年3月:FRB政策金利を25bp引き上げ(5%へ)
2023年3月:シリコンバレー銀行破綻
2023年3月:クレディ・スイスがUBSに救済買収
2023年5月:FRB政策金利を25bp引き上げ(5.25%へ)
2023年5月:ファーストリパブリックバンク破綻
2023年7月:FRB政策金利を25bp引き上げ(5.5%へ)
■2023年を振り返る(日本)
2023年1月:10年債クーポン0.5%(それまで0.2%)
2023年3月:プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象として、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請、PBR1倍割れ是正機運
2023年6月:ウォーレン・バフェットのバークシャーハサウェイ関連会社が商社株買い増し
2023年7月:日銀YCC運用柔軟化(1%まで容認)
2023年9月:アクティブETF上場
2023年10月:日銀YCC再修正
2023年10月:プライム市場からスタンダード市場への移行銘柄発表
■マーケットを動かしていたものとこれから動かすもの
米国に関しては今年に限ったことではなくここ数年インフレ対応的金融政策です。
2023年はインフレ上昇に対してFRBが物価上昇率を2%程度まで落とすという目標の中で金利を明らかに上昇フェーズから様子見フェーズへ移行したFRBの転換点
2022年半ばの9%近くから現状3.1%まで下落しておりFRBの目標(2%)に向けてかなり低下しているのがわかります。
低下の速度が速すぎるとすぐに景気後退といわれ、ハードランディングで米国経済自体に大きなダメージになってしまいますが、現状何とかコントロールが効いており、どのように着地できるかが今のポイント。景気を冷やしすぎずインフレ率を下げるという非常に難しい政策対応をしているのが米国
現状FedWatchによるとマーケットコンセンサスでは来年3月の利下げ予想が高くなってきています。
今の米国株上昇を支えているのはこの利下げ期待と時期。
Buy the rumour, Sell the fact
ってのも良くある話
12月FOMC後のパウエル議長のハト派的な発言やそれを受けて他の連銀総裁のコメントなど、今後の経済指標の内容次第ではこの予想も変わっていく可能性は十分にあります。
最近の米国経済指標は明らかに金融引き締め政策の効果が出ていると感じられるので、多少ブレはあるでしょうがトレンドとしては経済は冷やされていると見るのが妥当です。
2024年予想しうるリスクは
・中国経済の状況
・ウクライナ情勢
・中東情勢
それとサプライズ的な景気過熱感継続
もちろん米国大統領選挙が最大の関心事
様々なリスクは米国債の利回りに現れるので逆ザヤにあるこの10年債と2年債のスプレッドを見ながらの株式投資になると思われます。
逆ザヤ状態はやはりあまり正常ではないのでこれが正常化方向で動くと良いですね。
米国市場は利下げ期待はありますが紆余曲折ありながら3月まで推移するでしょう。
ボラ高そう💦
大統領選挙へ向けて各党リップサービスや過激な政策でショックもあるでしょう。
民主党なのか共和党なのかでそもそも全く違う、特に外交ではアプローチが異なります。特に対ロ、対中国、同盟国に対しても違います。
ですから好調な企業業績はありますが今一つ動きにくい、むしろ売りに押されながらも11月大統領選にむけて戻す、上昇基調に戻るというのが2024年の米国市場だと見ています。
アノマリーだけに頼ってないか?
少々心配ですがこのアノマリーは強いです。
一方日本に関して言うとこちらも日銀総裁が4月に植田さんに代わってその経済政策が黒田さんの時代から変化があるかどうかについて注目されていましたがこれまでのところYCCの変更に留まっています。
僕個人的には日銀政策決定会合2回程度は黒田路線、その後は植田色を出すと読んでいましたが確かにYCC変更は2度目の政策決定会合でしたが、それは植田色というよりは世界情勢を見ながらという感じでしたし、10月の再変更も円安状況にも配慮した感じだったのでまだ植田色が出せているかというとそうではありません。
完全に外しました
そんな中での『チャレンジング』発言でマーケットにはそれに過度な反応を見せる、つまり変化にベットする投資家が一定数いることが炙り出されました。
彼は学者肌なので当然ではありますが日本のマクロ状況を経済指標などで判断しながら行うタイプ、ですから日本のCPIが低下傾向鮮明になると特に大きな変更はし難いかもしれません(例えば緩和政策撤廃だとか)
日本経済はそもそもインフレに対する耐性が強く、日本国民はハイパーインフレで生活が困窮したことはそれこそオイルショックまで遡らないとないのではないでしょうか?
むしろバブル崩壊後はデフレに苦しんだ、と言うか慣れてしまった 笑
アベノミクスでようやくデフレ脱却の地ならしが出来、今数値だけ見ると目標である物価上昇率2%目標を超えていることがようやく経済が正常化ととらえられる傾向もあります。
確かに円安による原材料価格上昇の価格転嫁などは起きていますが、一方で株式市場は日米金利差に端を発する円安トレンドにものりバブル後最高値を更新する状況。
この日米金利差の行方こそ2024年日本株の鍵を握るのは間違いないです。
岸田総理の任期もやってきます。
政局なんて事があるかもしれません。
今年解散総選挙出来なかった…それくらい岸田さんの人気がない。
メディアを沸かしているキックバック問題で旧安倍派の重鎮が軒並み更迭されている今の状況は海外投資家からみるとあまり良くありません。
しかし不評だった減税効果や資本コストに対する企業の対応などまだ伸び代があると考えられ、2024年の日本株市場は見直し買いが入り、堅調に推移すると思っています。
総合して考えるといつものことながら世界のマクロ情勢と地政学的リスクがマーケットの流れを決め、鍵を握るのが誰が米国の時期大統領になるかです。
因みにあくまでも僕の勝手予想ですから内容に責任は持ちませんので悪しからず。
■まだまだ勉強
一つ今年のマーケットで学んだことがあります。
仮想通貨の実体経済に与える影響です。
ポイントは2つ
・仮想通貨は実体経済と少し別の存在→波及速度が限定的
・銀行に関してはリーマンの教訓
2022年11月に米国大手仮想通貨取引所FTXが経営破綻しました。
その後仮想通貨レンディング大手ブロックファイ、その後ジェネシス・グローバル・キャピタルなどが連鎖倒産していきます。
さらにSVB(シリコンバレー銀行)破綻の影響も仮想通貨市場に影響を与えました。
ステープルコインと言われるUSDC取り扱いのCircle社の資金が未処理滞留したためUSドルにペッグされているUSDCに信用不安が起きUSドルから乖離したのです(デペッグ)
また仮想通貨企業が資金調達していたシルバーゲート銀行やシグネチャー銀行が事業停止に追い込まれいよいよ仮想通貨に端を発するクラッシュ前夜の雰囲気が株式市場を覆いました。
しかし実際は多少の調整が入ったもののクラッシュまでにはいかず、もちろん同時期にクレディ・スイス破綻回避の為UBSが救済合併するという大事が起きましたが、これもリーマンショックの教訓なのか意外にスムーズに事が運んだことで大きなクラッシュにはつながりませんでした。
マーケットがクラッシュする原因は信用不安がほとんど。リーマンショックもLTCM危機もアジア通貨危機も全てそう。コロナショックは若干違いますが信用不安につながらない様に各国が強烈な資金供給を行った反動がいま来ています。
今年の3月にも一部そんな論調もありましたが、信用不安までなりませんでした。
2023年にビットコインETF承認が話題になりました。
仮想通貨ビジネスが金融ビジネスのように複雑化していく中で例えば僕レベルにもDeFIの話がやってくるそんな状況下の中、一旦一部仮想通貨ビジネスが淘汰され、指標銘柄ともいえるビットコインでETFが組成され一般化されていく流れは成熟していく過程での生みの苦しみ。
こうやって仮想通貨がさらに一般化していくわけですが、新たな商品の組成及び提供と合わせて新たなリスクの源になり得るとも言えます。
注視してみていく必要が有りますね。
それでは皆様良いお年をお迎えください
明日元旦は新年らしいポジティブな記事を投稿します!
お楽しみに〜
🐸
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?