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「ナホビノ」のスキル一覧

海外のSMTファンと話をしていた時、ナホビノの専用スキルの英語名は直訳すぎて意味が通じないという話になったので専用スキルの言葉の意味的なものをメモしようと思う。確かに英訳しづらく、自分にも難しかったため日本語が読める海外勢向けになってしまうが、ネタの一部として読んでもらえたら嬉しいです。
*JPスキル名の()内のものは実際は発音しない部分
*()がないスキル名は音声なしのため、漢字を想像で読んでいます
*Wrath Tempestのみ実際の音声あり

麁正連斬(JP:Aramasa (renzan)/ENG:Aramasa)

Aramasaとは日本書紀に登場する刀剣の「蛇之麁正(Orochi no aramasa)」が由来であろう。別名を天羽々斬(Ame no habakiri)。Shin Megami Tensei 4 apocalypseにも登場したヤマタノオロチを切り伏せたスサノオ所有の刀剣の名前。連続で斬るから連斬なのかな、特にそこには意味はない気がする。
ちなみにこの剣で切り伏せたヤマタノオロチから出てきたのが天叢雲剣(Ame no murakumo no tsurugi)であり、日本のemperor、天皇が現在も所有する刀剣となる。(後述)

神霊水(JP:Shinreisui/ENG:Miracle Water)

語源不明。霊水(reisui)や神霊(shinrei)という言葉から作った造語と思われる。霊水とは清らかで神聖な水のこと。神霊とは神々のこと。神聖で清らかな水であるということは確か。回復効果があるあたり、神であるナホビノが使用することでありがたーい効果を得ているものと考えられる。ちなみに本来は人間が神様に会い(お祈りし)に行く前に体を清めるために飲む水や人間が神から頂いた水のことであって神が使う水のことは霊水とは言わない。

逆薙(JP:Sakanagi/ENG:Sakanagi)

語源不明。「薙」という漢字は薙ぎ払うという意味があり、草木を刈って土地を平坦に切り開くなどの意味があることから神事では「(悪いものを)祓い、清める」という意味として使用することがしばしばある。払う=祓うという同音異義語であろう。同音異義語は、同じ発音で意味が違う言葉のこと。払うと祓うを掛けたある種のジョーク。ただし笑うジョークではなく、日本語にはこう言った「”本来は全く違う言葉”を”同じ発音だから”、”こういう意味に解釈しよう”という”言葉の意味付け”」が多い。
「逆」は字の通り、逆さまや逆(gyaku)を意味するので清めるというより、力技で相手を薙ぎ払う、という意味に近いかもしれない。スサノオらしい「豪胆」なスキルである。

轟雷(JP:Gourai/ENG:Ruinous Thunder)

日本語のセリフから「八色雷公(Yakusa no ikadzuchi)よ」と言っているのでイザナミの腐敗した遺体に成っていた8柱の雷の神のことと推測する。SMT4Aのイザナミが初期習得していた「八色雷公(JP:Yakusa no ikadzuchi/ENG:Thunder Gods)」と同じ神のこと。イザナミを追いかけて黄泉の国まで降りてきたイザナギを追い返す際に遣わせた危険な雷の神々。イザナミから産まれた雷の精霊ともされ、それを呼び出しているのが轟雷、のような気がする(演出を見る限り)。イザナミ(母親)に会いたくて駄々をこねてイザナギ(父親)に怒られたスサノオらしいかもしれない…(笑)
轟雷という言葉自体は「雷が激しく鳴り響く」という意味だと思うけど、造語だと思う。おそらく元の言葉は「雷轟電撃(Raigoudengeki)」。「勢いが非常に激しいこと」という意味。

神奈備ノ守(JP:Kannabi no mamori/ENG:Kannabi Vell)

Kannabiとは神のいらっしゃる場所のこと。日本の神は山や森に降りてこられると考えられていたので山や森そのものを神聖視する傾向がある(山岳信仰)神がおられる山々には不可侵であったり、儀式を行ってからでないと入れなかったりするので、その中に入る=守られるということにつながるのかもしれない。ナホビノにしか使えないあたり、自分の領地の中に入れることで守りを固めているということなのだろう。くれぐれも言うが本来は神奈備は人間が神がおられる場所のことを指すときに使う言葉で、神自身が使うような言葉ではない。その神が直々に「神奈備」と言う言葉を使うと言うことは異常事態である。ダメージ軽減からもわかるように緊急事態なのだ。

神矢来(JP:Kanyarai/ENG:Divine Arrowfall)

神逐(Kanyarai)の漢字違いと思われる。Kanyaraiはスサノオを高天原(Takamagahara)から追放した事件のこと。アマテラスにした数々の嫌がらせ(というかもはや暴行)の結果、アマテラスは天岩戸(Ama no iwato)に引きこもってしまい、太陽が天上から隠れてしまう大事件にまで発展してしまった。それを見かねた神々はスサノオに拷問をした後、神々の国を追放したのである。アオガミ=スサノオであることの証左であろう。
日本語に使われている「矢来」とは雨や泥よけなどの「柵」のことだったりするが、「矢が来る」という文にも変換できることから英語のスキル名の通り、大量の矢を落とすことの様子。神が使う矢を大量に降らせるスキル…確かに強そう。(実際メギドラの半分のMP消費で同等のダメージを与えられるのでかなり強いスキル)

荒神螺旋斬(JP:Koujin rasenzan/ENG:Wrath Tempest)
荒神(Koujin)とは猛々しく、不幸や災いをもたらす神のこと。スサノオのことを直接指すわけではないが、スサノオみたいな暴れ者もこの部類に入れられてもおかしくはない。荒神は牛頭天王(Gozu Tenno)もその一柱とされ、牛頭天王はスサノオと同一視されることもあるため、スサノオも荒神に分類される。
螺旋斬(rasenzan) には特に意味はない。螺旋=嵐のような演出になるので螺旋斬という漢字が当てられたものと考えられる。ちなみに日本では神様がいる場所/土地というのは災害の被害を免れることが多く、神がその土地を守ってくれていると考えられている。(神の怒りが災害を起こすという一部の宗教とは真逆の考え方だ)これが神奈備ノ守に繋がっていると考えてほしい。神がいる場所=安全な場所なのである。災害の多い日本では、自然災害から守ってもらうために神を祀ることも多い。そのため神がいる場所=安全(正確には安全な場所に神を祀る、だが)という考え方が根付いたのである。 余談だが、荒神は別名で牛神(牛の守護神)とも呼ばれる。バアルやモロクなんかが牛神の系譜だとかなんとか言っていたが、スサノオが荒神であると定義するとスサノオとバアル、モロクは似た存在の神であり、そうなれば、バアルやモロクが主人公の魂を欲しがった理由は明白だろう。


国津罪ノ穢レ(JP:Kunitsutsumi no kegare/ENG:Profaned Land)

天津罪(Amatsutsumi)と対になる罪のこと。天津罪はスサノオが犯した罪のことで国津罪とは反社会的な罪の総称。大きく分けると血の穢れ(ハンセン病などを指すとも言われている)殺人(殺人に至るような暴行)、他人の財産などを損なう呪い、反社会的な性行為および性的関係、雷や虫や鳥などによる農耕への被害(自然災害)のこと。スサノオは元々は天津神(Amatsukami)であったが、アマテラスへの嫌がらせの結果神々の国を追放され、天を降りて来てからは、国津神(Kunitsukami)と呼ばれることもあるため、地上に降りて来た後のスサノオの国津神としての側面を反映させたものと考えられる。ちなみにスサノオは国津罪とは関係ない。国津罪はあくまで人間や自然災害に適用される罪や穢れであり、スサノオ自体は関係してこない。演出で、黒い血のような表現がされるのは血に由来する穢れの現れだと思われる。むしろ国津神としてのスサノオは英雄的側面が強いことから裁く側のような気がする。スキルのセリフ中から「罪ごとよ」と言っているので祝詞(Norito)を読み上げていることが伺える。ナホビノは罪を犯した人間に対する罰を与える側のようだ。

滄海原ノ禍(JP:Aounabara no wazawai/ENG:Thalassic Calamity)

禍(wazawai)と読むのか謎。ただ一番語感はいい。Calamityと考えるとwazawaiでいい気がする。音声が存在しないため正しい読み方は不明。
海外勢と話していて一番問題になったスキル。このスキルをPVで見たとき自分は「なぜアオガミと言う悪魔なのにツクヨミのことが出て来るんだ?」と感じた。(ツクヨミが関係して来る理由は実際にプレイしてもらえればわかるので説明しない)滄海原とはイザナギがツクヨミに命令したツクヨミが支配する場所(海のことで日本国周辺の海域全般を指す)のことである。アオガミの研究を進める中でツクヨミに性能を寄せたナンバリングのアオガミがいたのかもしれない。主人公が出会うアオガミの性格は日本神話内で語られるスサノオとは全く違った印象を受けるので、相当力を入れてアオガミの性格の矯正/修正を行ったものと推測する。…そうでもしなければスサノオを制御することは不可能であるからだろう。スサノオは日本神話が誇る、力は強いがとてつもない「暴れ者」だ。人間ごときの話が通じる神ではない。主人公が出会うアオガミまで「スサノオとしての性質」を奪って初めて人並みに話を聞けるようになっているが、結局、最終的にアオガミが言うことを聞くのは半身たる主人公の意見のみと言うところがスサノオの恐ろしい部分である。

布留言霊(JP:Furukotodama/ENG:Revival Chant)

布留の言(Furu no koto)が元ネタ。日本のお祈り。「ひふみよいむなやここのたりふるべゆらゆらとふるべ(Hi fu mi yo i mu na ya kokonotari hurube yurayurato hurube)」が正式なお祈りの仕方。「死んだ人も蘇るほどの力が与えられるだろう」と神の子より伝えられた祈りの言葉。病気の人などのために唱えるもの。人間が使えば当然、「元気になーれ」くらいの力しかないが、神であるナホビノが使えば、それはもう生き返っちゃうでしょう、と言う話。日本人でも知っている人は限られるだろうけど、深呼吸しながらこれを唱えれば気持ちは落ち着くかもしれない。要は元気になれる、って思い込むことが大切。病は気から、なんて言うからね。でも神の子が教えてくれた言葉らしいので、めっちゃありがたい言葉であることは確か。

天剣叢雲(JP:(Ame no) murakumo/ENG:Murakumo)

実際はなんて読むのか不明。天叢雲剣(Ame no murakumo no tsurugi)とは書き方違うし。誤字の可能性も捨てきれない。刹那五月雨撃ちの再来かもしれない。ただMurakumoと言うので天叢雲剣のことを言いたいのは確かだと思う。一番最初のナホビノのスキルに麁正が登場して、最後に叢雲が出て来ると言うことは完全にスサノオのヤマタノオロチ退治の物語の流れを汲んだ結果。麁正の際に説明したが天叢雲剣は麁正が折れた後、ヤマタノオロチの体の中から出てきた剣であり、現代でも天皇が所有する神器の一つである。スサノオの所有する剣の中では最も強力であり、現存する神聖で有名な剣でもあることからナホビノの最終専用スキルとなったのだろう。ちなみに天叢雲剣を含む三種の神器(Sansyu no jingi)は歴代の天皇本人しか目にすることはできず、天皇も儀式の際に手にする程度で、天皇以外は誰一人として実物を見ることはできない、見てはいけない。でもなんかすごい特殊そうな箱に入れられて物々しい雰囲気で運ばれるのだが、天皇陛下と一緒に新幹線に乗る姿はなんとも可愛らしいものがある。日本ではその様子が生中継される。日本の宗教の最高位である天皇陛下とその神器が、現代の科学の結晶である新幹線に乗るって…。そう言うところが日本人はなぜか好きな人が多い。


以上、ナホビノの専用スキルまとめでした。
何かの参考になればいいなぁと思います。
6/20追記:誤字脱字、一部加筆修正
6/26追記:ローマ字表記が間違っていたため修正
7/7追記:荒神の説明が勉強不足で間違っていたため修正、国津罪ノ穢レに追記