見出し画像

サボテンとおじさんはなかなか変わらない

変わる時といえば。
学生や新社会人の頃は新年度を特別な区切りとし、次の1年の目標を決めて何かしら変わろうとしていたものだ。

40歳を超えると当然ながら新年度という時期を既に40回ほど迎えているわけで、その特別感というのもかなり薄れている。月が3月から4月に変わったり、季節が冬から春に変わったりするのと同程度の扱いである。

そうなると次の1年の目標を決めようという神聖な気持ちも生まれにくくなるのか、ここ数年はこの時期に目標を決めた記憶がない。

ではそんなおじさんがいつ変わろうと思うのかと言うと「しばらく変わっていない自分にふと気づいて怖くなった時」である。
ふとした拍子に、あらわたし去年も2年前も同じことしてなかった?と思って振り返り、2年どころか3年前も4年前も同じような1年を繰り返していたことに気づいて震え上がる。
そしてこれはいかんと慌てて何か新しいことを始めるのだ。

そんな「同じことを繰り返しているのでは?!」という気持ちは1年に1~2回くらいのペースでトラウマのように復活し、その度に何かしらまた新しいことを始める。

というのは私の話であるが、ある程度の年齢に達するとそばを打ち始めたりマラソンや山登りを始めたりする人が多いのはきっと同じような理由なのではないかと思っている。


それはさておきそんな私の生活の中での最近の変化として、サボテンを買って育て始めた。
小さな植木鉢に丸型とやや縦長の2つの玉サボテンが生えているもので、とてもかわいらしい。

何かを育てたいという衝動に駆り立てられたのが発端である。子供はいるのだけど、もうほとんど相手にされな…手がかからなくなったことが関係しているのかもしれない。

本当はハムスターのような小動物にも興味があったのだけど、その小さくて弱々しい姿を見ていると誤ってふんづけたり掃除機で吸い込んでしまったりと嫌な想像ばかり浮かんできたのでやめておいた。

その点サボテンは安心感がある。動き回らないし、トゲもあるし。

そんなわけでサボテンを買い、毎日愛でているのだけど。

サボテンというのは全然変化しない。
買ってから2ヶ月くらい経つのだけど、何一つ変わっていない。
買った当時のままの姿である。
寒い時期は水やりですら2週間に1回くらいで良いらしい。
すごい。手間はかからないけど全く育てている気がしない。

いや、自分の認識が間違えていただけで、植物を育てるというのはきっとこういうことなのだ。基本的に変わらないけど、ふと気づくとちょっとだけ変わっている。それを楽しむものなのだろう。

そう考えるとそれは年に1~2回だけ新しいことを始めるおじさん、もとい私と同じようなものだ。無意識でそんな親近感を感じて買いたい気持ちが生まれたのかもしれない。

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?