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忠勇の物語(5)ライオン・エル・ジョンソン

「モータリオンを別にすれば、ライオン・エル・ジョンソンほど心の内が知れぬ者はいなかった。いついかなるときでも沈黙を保つその無口な性格ゆえだったのかもしれぬ。だがその貴族然とした外見の奥深くには、隠された何か・・・・・・もっと大きな何かがあるのだ。その育ちゆえなのかもしれぬ。怪物の跳梁するキャリバンの森でただひとり長じたというその育ちの。軍議の席にあってすら、ライオンは頂点捕食者のように動く。常に見定め、常に作戦を練り、常に狩猟している。それは兄弟の心すら騒がせるものであった」
マルカドールの回想

 〈第一者〉、〈獅子〉、〈死の天使長〉と呼ばれたる第一兵団総主長ライオン・エル・ジョンソン。寡黙にして勇猛なるこの〈皇帝の長子〉には、その息子たちたるダークエンジェル・スペースマリーンと同じように、赫々たる武勲と拭いがたい影がつきまとっている。〈大征戦〉、〈ホルスの大逆〉、その伝説の時代を駆けた彼の真意はいずこにあったのか。そして今も深奥にて眠りにつくライオンはいつ目覚め、どのように立ち上がるのか。その姿なき第41千年紀にあっても、彼の存在は不気味な陰翳となって〈人類の帝国〉にかかっている。

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辺境惑星の騎士

 地球よりかどわかされた赤子の生育ポッドが落ちたのは、渾沌に汚染された魔獣が群れ巣くう惑星キャリバンの森林であった。この星の住民は封建社会に後退していたが、〈帝国〉のパワーアーマーやボルトピストルに似た兵器をいまだ維持しており、騎士団を編制して巨獣らの脅威に立ち向かっていた。しかし総主長の落着した森は、そうした人びとの集落からは遠く離れていたという。

 野生児を発見したのは、騎士団の英傑サー・ルシエルであった。ルシエルによってライオン・エル・ジョンソン、すなわち“森の子”ライオンと名づけられた少年は、ごく短期間で成長を遂げ、ルシエルをしのいで騎士団の総長までのぼりつめた。ライオンは自らも数多くの魔獣を討伐したが、ルシエルとともに惑星全土の騎士団を糾合して、渾沌の巨獣を一掃する聖戦へと打って出た。この大遠征が可能になったのは、ルシエルの支援あってのことだった。ルシエルは総主長の父であり右腕でもあったのだ。そしてこれがこの星最後の聖戦となった。キャリバンから猛獣の最後の一頭が駆逐されたまさにそのとき、〈人類の皇帝〉が差し向けた偵察部隊が、この惑星の王者こそが総主長そのひとであることを発見したのである。

 皇帝の召喚によって〈帝国〉に帰参したライオンは、ただちに第一兵団の総指揮を任された。ルシエルと騎士団の面々もスペースマリーンに生まれ変わる試練を経てこの兵団に参加した。しかし、ライオンを迎えた兵団は、無鉄砲な作戦遂行によって大きな被害を受けていた上に、尊大とうぬぼれに耽溺していた。そんな息子たちに対するライオンの姿勢は峻厳なものだった。兵団と合流したライオンは、ターミネーター・アーマーを着用した中隊長に、装甲服なしで決闘を挑んで打ち負かすことで、互いへの敬意を学ばせた。そして、キャリバンのいにしえの神話にちなんで「ダークエンジェル」と兵団を改名したのである。

 未知の総主長の振る舞いに不安を覚えるダークエンジェルたちに、ライオンは新たな目的と展望をもたらした。キャリバンの教えと第一兵団の〈ヘキサグラマトン〉の伝統を統合し、新たな体制を作り上げると、自ら二万人のマリーンを引き連れて、銀河じゅうに散らばっていたダークエンジェルの諸中隊を探しだし、合流させていった。それぞれの中隊長はライオン自身によってその資質を試された。ライオンが求めたのは言葉や約束ではなく、行動と技であった。もし、総主長の指揮権に異論があれば、ライオンは自ら決闘によってそれを証明した。こうして数年のうちに十万人の兵団を集め、兵団の本拠惑星グラマリエに戻ったライオンは、そこでの大評議会の席で代表者であるピュルス・カラガットとの伝説に語られる熾烈な決闘の末、兵団総太守および〈ヘキサグラマトン〉の六つの翼、すなわち、デスウィング、レイブンウィング、ドレッドウィング、ファイアウィング、アイアンウィング、ストームウィングの太守号をすべて獲得した。そして、ライオンと兵団は互いに忠誠の誓約をかわし、六つの翼には新たな太守が任命された。

 こうして新体制成ったダークエンジェルは、勇躍、征戦へと赴いた。最初の戦いは、ウルトラマリーン兵団に対して反乱を起こした惑星の鎮圧任務であった。そこでの活躍は、かつての不名誉をすすぐ栄光に満ちたものだったという。

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秘された野心

 〈大征戦〉は総主長たちの合流とともに順調に進んでいった。ダークエンジェル兵団もまた数々の武勲に輝いたが、激しい戦いの中で苦戦も避けられなかった。そうした戦いのひとつが「ランダンの粛清」であった。ここの土着異種族を絶滅する作戦はライオン自身が総監したのだが、思わぬ死闘を強いられ、多大な犠牲を払うことになった。

 このランダン戦争が長引く中、ライオンのもとに第二十兵団から援軍がやってきた。その指揮官は“アルファリウス”と名乗った。この頃、まだ第二十兵団の総主長は(公式には)発見されていなかったため、ライオンは自分の話し相手が兄弟そのひとであることを知らなかった。アルファリウスはこう告げた。第二十兵団がライオンを助けるのは、やがてライオンがその資質ゆえに総軍の〈大元帥〉(ウォーマスター)となるべき人物であると見込んでいるからだと。グィリマンのような高らかな戦い方よりも、ライオンのように秘密と寡黙のうちに作成を遂行するやり方に共感するゆえだと。

 〈大元帥〉という地位はまだ存在していなかったが、そうした皇帝の代理たる名誉ある地位の誕生は噂されていた。そしてライオンもまた、心に期するところがあったのではないかと言われている。このアルファリウスの誘惑に対して、ライオンがどのような返答をしたのか、それは伝わってはいない。後年、ホルスが大元帥に任命されたとき、ライオンはごく冷静にそれを受け止め、ホルスの指揮権を認めている。ライオンは総軍司令となるには、あまりにも他者の感情に疎く、寡黙でありすぎたのだろう。

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ルシエルの恥辱

 それは当時では些細な事件であったのかもしれない。だが、後に大きな変化をもたらしたのは確かだったろう。異変は、惑星サロッシュにライオン率いる第四遠征艦隊が到着したときから始まった。

 サロッシュの人間たちは〈帝国〉への帰参に関心を寄せており、〈帝国〉政府もまた、この民が皇帝の推進する無神論的〈皇帝の真理〉に似た思想を持っていると判断して、その加入に意欲を示していた。だが実際には、サロッシュで信仰されていた「メラキム」という存在は、〈歪み〉の混沌の存在であり、おそらくは禍つ神々のしもべであった。サロッシュ人は〈皇帝の真理〉をひそかに邪教であると見なしていたのである。

 サロッシュとの交渉のため、その指導者がダークエンジェルの総旗艦に招待され、ライオンとの会談が行われた。だが、その席で指導者はライオンと皇帝を公然と罵倒したのである。激怒した総主長はこの狂信者を斬り伏せた。だがサロッシュ人が乗ってきたシャトルにはひそかに核爆弾が搭載されていたのである。ルシエルと司書官ザハリエルが間一髪、このシャトルを宇宙空間に放棄したことで、旗艦撃沈はかろうじて避けることができたが、総主長の乗艦にみすみす核爆弾を入れてしまったという不名誉は明らかだった。責任者であるルシエルとザハリエル、そして二百名のマリーンたちは咎められてキャリバンへと送り返された。以後、彼らはキャリバンで新兵を訓練する仕事に従事することになったのだった。

 年月が経っていった。ライオンと麾下のエンジェルたちが勝利をおさめたというニュースは、遠くキャリバンにも伝わるようになった。サロッシュの事件から五十年後、ルシエルとザハリエルはキャリバンでの反乱に直面した。その鎮圧に向かった二人が知ったのは、キャリバンにかつて討滅したはずの猛獣が復活し、さらに、ライオンが自分たちを見捨てたと怒る騎士たちの存在だった。

 叛徒たちの激情に触れたルシエルの心の中で、暗いものが膨らんでいった。それは、かつて若きライオン・エル・ジョンソンが、ルシエルら先達を超えて騎士団長に任命されたときに刺さった嫉妬という棘だった。子であり弟であり親友がはるかな宇宙で栄光を勝ち得ている間、辺境の惑星で不遇をかこっている自分。その自意識はやがて不名誉と恥辱の思いに取って代わられていった。さらに、混沌の猛獣らがキャリバンでよみがえった事実は、この星もろともルシエル自身が皇帝とライオンによって滅ぼされるのではないかという疑心を彼の中に生むことになった。

 ライオンとルシエル、父と子にも比すべきこの二人の疎隔は、やがて破滅を招来する。

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〈ホルスの大逆〉

 ホルス叛逆の報せをライオンが知ったのは、ゴルディアス同盟・シールドワールドと呼ばれる異種族と人類の連合国家を征伐するさなかであった。すでにイシュトヴァン第3惑星の虐殺は終わっており、ホルスの大軍は皇帝の息の根を止めるために破竹の進撃を開始していた。ライオンは、遠隔のシールドワールドにダークエンジェル兵団が派遣されたのは、この叛逆への対応が遅らせるためであることを悟った。

 幕僚たちの予測では、手早く攻撃作戦を完了して軍を地球方面に転じるためには、少なくとも八ヶ月もの時間が必要だった。そこでライオンは少数精鋭による急速展開を選んだ。向かう先はタナグラ星系の工業惑星ディアマット。そこを大逆軍に制圧されれば、大量の高度技術の物資が敵の手に渡ってしまう。逆に、大規模攻城兵器を確保できれば、後の戦いに役立つはずだった。ライオンは自ら小艦隊を率いて、この秘密作戦が敵に知れる前に急行し、ホルスに忠誠を誓う軍勢を撃破することに成功した。

 この勝利の直後、ライオンは同胞たる総主長パーチュラーボとその麾下のアイアンウォリアー兵団と合流した。パーチュラーボはイシュトヴァン星系に向かい、第五惑星の地表で大逆者ホルスと雌雄を決するつもりだとライオンに伝えた。そして、ディアマットに攻城兵器が貯蔵されていることを、なぜライオンが知っていたのかと尋ねた。ライオンはホルスがこの工業惑星に兵器を発注する書類を目にしていたのだ。しかしこの兵器群は結局、ホルスの手に渡ることはなく、惑星に保管されていたのである。

 イシュトヴァン第3惑星の虐殺が発生したことを知ったライオンは、ホルスは地球攻略のためにディアマットの攻城兵器に目をつけることにいち早く気づいたというわけである。パーチュラーボは、自分とともにイシュトヴァン星系に向かうことを勧めたが、ライオンは首を振った。いまだシールドワールドに残っているダークエンジェル兵団をまとめて地球に向かわなければならないからだ。そしてこのとき、ライオンはある恐れを抱いていた。それは、ディアマットの攻城兵器を許可無く接収したことで、皇帝そのひとから叛意を疑われるのではないかという恐れであった。ディアマットでの出来事は、自分とこの場にいるパーチュラーボ以外には漏れてはならない。ライオンはそう信じたのである。

 目の前で静かに立つパーチュラーボにライオンはこう吐露した。ホルスが大元帥に選ばれたのは運命がそう向いたという以外には理由はない。もしホルスがこの反乱で斃れた後、皇帝は再び大元帥を必要とするはずだ。そのときこそ自分が就くべきであると。そしてパーチュラーボにその折の支持を求めたのである。見返りは、このディアマットの大型攻城兵器群をアイアンウォリダー兵団に引き渡すことだった。パーチュラーボは重々しく頷き、こう言った。

「これは確実に役立ててみせよう」

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〈闇夜の幽鬼〉との因縁

 イストヴァン第五惑星が忠誠派の大敗北に終わった後、戦況は大きく大逆軍側にかたむいた。大逆の総主長たちのうち、〈闇夜の幽鬼〉と呼ばれるナイトロード兵団のコンラッド・カーズは、ライオン・エル・ジョンソンの転向を画策した。地球攻略の要所となるスラマス星系が両者の対決する舞台となった。

 ナイトロードとダークエンジェルは三年にわたってこの星系をめぐり、死闘を演じた。その中で、カーズはライオンをホルスの大義に従わせようと、直接の会談を申し込んだ。近衛兵とともに惑星上で出会った二人は、最初こそ礼儀正しかったが、やがてカーズからの罵詈雑言を皮切りに、恐るべき乱闘に発展した。この対決は両者とも辛くも死を逃れることになったが、まもなく、ダークエンジェルによる奇襲作戦が功を奏し、コンラッド・カーズはライオンの総旗艦で囚われの身となる。

 ダークエンジェル兵団を地球を目指して急行していたが、このころ、大規模な〈歪みの嵐〉が発生して、進軍の行く手を塞いでしまった。それはブラッドエンジェル、ウルトラマリーンの両兵団にとっても同じことだった。この危機に際して、総主長グィリマンは苦渋の決断を下した。地球救援をあきらめ、彼の領域であるウルトラマール宙域にて〈第二帝国〉を建設、皇帝をサングィニウスとするという決断である。ライオン・エル・ジョンソンもまた、この新体制の一翼を担うことになった。だが、〈第二帝国〉が惑星マクラーグを首府として成立してまもなく、コンラッド・カーズが牢獄を逃れて暴れ回り、大きな損害をもたらした。激怒したライオンは続く何年もの間、〈闇夜の幽鬼〉の追捕に力を集中させた。

 だが、このことが新国家の確立に尽力するグィリマンとの間に衝突を生んだ。ライオンが自らの感情を表現することも、他者の感情を忖度することにも乏しかったために、〈第二帝国〉の三者の間の不協和音は高まるばかりだった。惑星マクラーグを逃げ回っていたカーズが捕まり、三者の前で裁判にかけられたとき、それは決定的なものになった。カーズはライオンがグィリマンの許可を得ずに軌道爆撃を画策していたことを暴露。激怒したライオンがカーズを斬り殺そうとしたのをサングィニウスが止め、グィリマンがライオンの剣を追ったことで、ついに三者は袂を分かった。グィリマンとサングィニウスは、カーズの予言を信じて地球進軍を再開したが、ライオン・エル・ジョンソンは失意のうちに本拠惑星キャリバンへと帰ることを選んだのである。

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大いなる裏切り

 キャリバンに向かうライオンの胸中は、失意とともに後悔の念が満ちていた。はじめて、彼は自分のここ数十年の行動と選択に疑いを抱いたのである。親友ルシウスを追放し、兄弟たちと衝突し、そして何ごともなしえず故郷へと帰る自分に。

 惑星キャリバンの軌道上に到着したライオンとダークエンジェル兵団の艦隊は、突如、地表から猛烈な対空砲撃を浴びた。驚愕したライオンはただちに艦隊を退却させると、事態の真相を探り、そこで信じがたい事実に直面した。逃れてきた商船からの情報から、盟友ルシウスがキャリバンのマリーンや同胞に裏切りの声を吹き込み、ライオン・エル・ジョンソンへの叛逆をそそのかしているというのである。

 キャリバンで不満を募らせていたルシエルは、ひそかにこの惑星に潜伏していた渾沌の妖術師たちによる陰謀にからめとられていた。増大する渾沌の猛獣の脅威、〈帝国〉によってその地位を奪われた貴族たちの反乱に悩まされたルシウスは、キャリバンの奥深くに隠されていた禁断の魔道書に魅入られ、やがて渾沌のパワーに呑み込まれてしまったのである。彼にしたがっていたダークエンジェルたちもまた、その誘惑に堕ちていった。かつて総主長の信頼篤かった司書官ザハリエルもまた、異能者を弾圧する皇帝の方針への反発からルシエルにしたがい、最初の〈堕ちたるもの〉(フォールン)となったのである。

 親友の裏切りに絶望し、憤激したライオンは、艦隊に惑星総爆撃を命じた。すさまじい砲撃と破滅の炎の嵐が地表を叩き、あらゆるものを焼き尽くし、蒸発させていった。反逆者たちは要塞修道院にて籠城をはかったが、そこに怒りに燃える忠誠派ダークエンジェルたちが降下し、同胞どうしの死闘が始まった。

 かつての故郷における悲劇的な死闘のさなか、ライオンはルシエルを発見した。そして、ルシエルが渾沌の〈統べるもの〉となり果てていることを悟った。禍々しい力で総主長に匹敵する力を獲得したルシエルは、怨敵となったかつての息子、かつての親友に襲いかかった。

 二人の巨人が凄絶な決闘を繰り広げる中、要塞修道院は炎上、陥落した。圧倒的なエネルギーの奔流に叩かれ続けた惑星の地殻はついに亀裂を生じ、惑星キャリバンはゆっくりと崩壊を始めた。

 ライオンとルシエルの決闘は決着の時を迎えた。渾沌の魔将が放ったサイキックの一撃が、総主長ライオン・エル・ジョンソンの身をつらぬき、砕いたのである。だがこの決定的な瞬間、ルシエルの目に正気が戻ったという。かつての親友を助け起こそうとしたルシエルはしかし、それがすでに手遅れであることを知った。

 この裏切りに禍つ神々は激怒した。懲罰のすさまじい〈歪みの嵐〉が惑星キャリバンを覆い尽くした。すでに崩壊を始めていた星はひとたまりもなかった。大爆発が起こった。古き惑星は粉々の無数の岩塊となって宇宙空間に飛散した。さらに〈歪みの嵐〉は現実空間に巨大な裂け目をもたらし、生き残った叛逆のスペースマリーンたちを残らず呑み込んでいった。あたかも神々が自分の取り分をつかむかのように。

 四散したキャリバンの岩塊のうち、唯一無事を保ったのは、強固なシールドに守られていた要塞修道院の廃墟のみであった。大破壊が終わると、ダークエンジェルたちは残された廃墟に降り立ち、総主長と裏切り者の姿を探した。だが、両者はどこにも見つからなかった。残ったのは、決して余人に知られてはならない秘密だけだった。栄光ある第一兵団、〈獅子〉の息子たちであるダークエンジェルの実に半数が、大逆に与したという事実である。

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〈獅子〉戻るその日まで

 そして、闇色の天使たちは〈許されざるもの〉となった。キャリバン崩壊の時に消え失せた裏切り者の同胞〈堕ちたるもの〉たちを一人残らず狩りだすそのときまで、総主長を失い、名誉も失ったダークエンジェルたちの贖罪は終わることがないのだ。

 第41千年紀末の大変動の時代の今も、ダークエンジェルは絶対の秘密を守り、失われた総主長と狩りたてるべき怨敵を求めて銀河を転戦し続けている。

(了)

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