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忠勇の物語(3)レマン・ラス

 〈狼王〉または〈大狼〉と呼ばれる最強の戦士レマン・ラス。忠勇無比にして万夫不当の英傑である総主長の戦いは、数々の荒々しい偉業と悲愴なる献身に彩られている。皇帝陛下の容赦なき鉄斧たる狼の申し子の叙事詩を語ろう。

大狼の申し子

 渾沌の策謀により、皇帝の寵児たる総主長らが銀河に離散したとき、後のレマン・ラスである赤子を乗せた生育ポッドは、銀河極北にある凍てついた死地惑星フェンリスに落着した。赤子を見つけ、育てたのは何の奇跡か、この星土着の巨大な雌狼だった。たくさんの仔狼らとともに狼の巣で成長していった赤子は、やがて群狼の中の“一頭”として、凍りついた氷原へと狩りに出るようになった。

 惑星フェンリスの大王センギルのサガは語る。ある年の厳冬、運命の導きか、総主長の群狼はフェンリスの部族民たちと遭遇した。死闘の果てに、母たる雌狼は他の多くの仔らとともに殺戮され、残ったのは“少年”と二頭の仔狼だけだった。獰猛なフェンリス狼の群の中に人の子が混じっていたことにフェンリス人たちは驚いた。しかもこの少年は、徒手空拳で兄弟らを守るために何人もの屈強な部族戦士たちを斃すことまでやってのけていたのである。部族民たちは少年と二頭の狼を連れ帰り、ラス族のセンギル王のもとに差し出した。老王は少年の英才をすぐさま見て取ると、戦士として部族に迎えることにした。

 生まれてはじめて人の中で暮らすようになった少年はしかし、みるみるうちに言葉を覚え、武術の技を磨き、大声で笑い、調子外れの歌をうたうようになった。この優秀な少年にセンギル王は真の名前を与えた。ラス族のレマン、すなわち「レマン・ラス」と。正式に部族の戦士として認められた後のレマンの活躍は瞠目すべきものであった。〈狼王のサガ〉にいわく、王の軍勢をただひとりでかすり傷ひとつなくしりぞけた、樫の大木をもぎとるや両肩でまっぷたつに折ってのけた、巨大きわまるフェンリス・マンモスを独力で絞め殺した、などなど。数限りない武勇を打ちたて、周りを惹きつけてやまない豪放なカリスマをそなえたレマン・ラスが、老王センギルの崩御の後、部族の王の地位を受け継いだのは、至極当然のことであった。

 まもなく〈狼王〉の名はフェンリスの生ける伝説となった。そして、その伝説は星々を超えて、彼を捜し求める者の耳に届くことになる。

三つの試練

 ある日、長いローブをまとった人物が〈狼王〉の宮廷にやってきた。見る目のある者やフェンリス狼たちはその尋常ではない迫力に気圧されたが、ラスは動じなかった。〈狼王〉はこのさすらい人に三つの試練で挑戦した。

 ひとつめは、大食の試練。さすらい人は並の戦士の三倍も食べたが、ラスは三頭の大牛をたいらげて勝った。
 ふたつめは、大酒の試練。さすらい人はフェンリス酒を六樽飲んだが、ラスは大広間の全ての酒を飲み干して勝った。

 快活な大笑が広間を満たす中、さすらい人はレマン・ラスがただの大食らいの酒呑みでしかないと嘲った。場は静まりかえり、〈狼王〉は静かに剣を抜いた。最後の試練はまさに剣の腕比べをするのだと。

 その途端、さすらい人はローブをぬぎさった。まばゆい光とともにそこに現れたのは、ラスよりも大きな身の丈を黄金のパワーアーマーで包んだ〈人類の皇帝〉そのひとであった。皇帝は巨大なパワーグローブで〈狼王〉を打ち倒した。しばし後に目を覚ましたレマン・ラスは血まみれの唇に笑みを見せると、負けを認め、皇帝への忠誠を誓ったのである。

第六兵団の〈大狼〉

 レマン・ラスが皇帝の軍勢に合流したとき、すでに発見されていた総主長はホルス・ルペルカルただひとりだった。ホルスはラスの荒々しく野蛮な物腰に好意を抱かなかったという。それでもラスはホルスを高くかい、武芸を通じた親交を結んでいった。

 〈狼王〉が任された軍勢は、彼の遺伝種子から創造されたスペースマリーン第六兵団だった。その兵団は見いだされた総主長にちなんで新たに〈宇宙の狼〉(スペースウルフ)と名づけられた。第六兵団は勇躍、銀河統一の戦争〈大征戦〉に出征した。レマン・ラスがたずさえた武器は伝説に名高いムジャルナル、すなわちフェンリスの大海魔ゴルメンジャールの巨大な牙から削り出されたという大剣であった。ラスは常に陣頭に立って雄々しく戦い、そのそばには少年時代よりずっと共に過ごしてきた二頭のフェンリス狼、フレキとゲリがつきしたがっていた。やがて、その武勲を賞されたラスは、母星フェンリスに堅固なる〈牙城〉を、そして皇帝みずから鍛えたという〈ラスの槍〉、すなわち神槍グンギルを手に入れることになる。

 〈大征戦〉の時代、常に征伐に征伐を重ねていたレマン・ラスは次第に父たる皇帝に会うことは少なくなったが、そのかわりに〈帝国〉摂政であるマルカドールや、ウルトラマリーン総主長ロブート・グィリマンと親しくなっていった。特にグィリマンは、ローガル・ドルン、サングィニウス、フェルス・マヌスとならべてラスを〈不撓なる四者〉と賞賛し、その協力があればいかなる敵をも打ち砕けるだろうと信じていたといわれている。事実、レマン・ラスの忠誠心は総主長の間でも比類なく、マルカドールを通じて伝えられる勅命にしたがい、遂行することにかけて遅れをとることは決してなかった。

不和の予兆

 だが、その他の総主長とは必ずしもうまくいってはいなかった。

 惑星デュランの首長が〈帝国〉への屈服を拒んだとき、ラスは総主長ライオン・エル・ジョンソン率いる第一兵団ダークエンジェルと協同作戦を遂行していた。首長の侮辱に怒ったラスは、攻勢の中、その宮殿に単騎突入して首をあげようとしたが、すでにそのときライオンが首長を斬り倒していた。ラスは自身の名誉を守る機会を奪われたとライオンに挑戦した。この戦いは一週間以上にもおよんだが、ラスはこれが子供じみた怒りでしかないことをさとり、大笑いしはじめた。だがライオンはこれを侮辱ととり、ラスを打ち倒すとそのまま自分の兵団を率いて惑星を去ってしまった。これがスペースウルフとダークエンジェルとの間に以後もしこりとなって残ることになる。

 さらに抜き差しならぬ縁を結んだのが、総主長アングロンであった。アングロンは、自身の兵団のスペースマリーンに猛烈な力を与えるかわりにその正気を失わせる古代技術〈屠殺人の釘〉の使用をやめようとしなかった。業を煮やした皇帝は、ラスとスペース・ウルフたちをアングロンのもとへと派遣した。アングロンを地球に連れ戻して服従させるためである。しかしこれは凶暴きわまるワールドイーター兵団とスペースウルフ兵団との間の戦闘に発展してしまう。レマン・ラスとアングロンは一騎討ちとなり、アングロンが勝勢となったが、それはラスの策略だった。いつのまにか、単身のアングロンのまわりはスペースウルフたちで囲まれていたのである。この光景から、自身の武勇しか頼らないアングロンを諭そうとしたラスだったが、アングロンは忿怒を募らせるばかりだった。

 レマン・ラスはサイカーを妖術師と見なして嫌悪していた。そんな彼が協力なサイカーである“赤の”マグヌスを嫌ったのは無理からぬことだった。皇帝から禁止されかねないものまで、ありとあらゆる知識を集積しようとするマグヌスとラスは一度ならず対立し、特にアークリーチ・セクンドゥスの大図書館の処分をめぐっては、互いに殺しあう一歩手前までいってしまった。このときはローガーの仲介によって事なきを得たが、遺恨は残り、後に大きな悲劇を呼び起こすことになる。

〈狼王〉の目覚め

 〈大征戦〉末期、レマン・ラスは皇帝によってマグヌスのもとに派遣された。マグヌスは、ホルスの叛心を皇帝にしらせるべく、その頃には禁止されていたサイキックパワーを用いたために、皇帝の怒りをかっていたのだ。しかし、当のホルスはマグヌスを味方に引き入れるために、この展開を利用した。

 ラスが皇帝に命じられたのは、本来、マグヌスを地球に連れ帰ることだけだった。だが、ホルスはラスに、皇帝の勅命はマグヌスとサウザンドサン兵団の本拠地である惑星プロスペローを屈服させることであるという偽りを吹き込んだ。親交深いホルスの言を疑う理由もなく、また、“妖術師”への嫌悪もあって、ラスはスペースウルフ兵団とともにプロスペローへと進撃した。平和的解決を求めてサウザンドサン兵団に送った使節も、渾沌によって妨害され、戦いは避けられないものになった。

 かくして惑星プロスペローは炎上した。レマン・ラスとマグヌスは伝説にうたわれる壮絶な一騎討ちを戦った。すべてが業火に包まれ消えていくなか、マグヌスは総主長最強の戦士に立ち向かうために魔術を行使した。これに激怒したラスは、全力を集中するとマグヌスを頭上高く持ち上げ、その背骨を折り砕いた。瀕死のマグヌスはティーンチ神に嘆願し、巨大な〈歪み〉の穴が開いた。魔術師と生き残ったサウザンドサンはそこに呑み込まれ、現実世界からは消え失せた。あとに滅び去った知識の都の廃墟と〈大狼〉の眷属を残して。

 プロスペローでの激闘で消耗したスペースウルフ兵団はしかし、絶体絶命の危機に陥った。すでに叛旗をひるがえしていたホルスは、強敵であるラスとその一党を撃滅するために、アルファリウス率いる第二十兵団アルファレギオンを差し向けていたのである。策謀を弄するアルファリウスをラスは嫌悪しており、その遺恨からアルファレギオンは容赦なく狼たちを狩り立てた。大損害を受けたスペースウルフたちは、ラスの命令でアラクセス星雲へと向かった。ラスはホワイトスカー兵団のジャガタイ・カーンに救援要請を送ったが、この時点で誰が忠誠派で誰が大逆派なのかがわからなかったため、ジャガタイが助けに来ることはなかった。

 この窮地に、レマン・ラスは旗艦の自室に引きこもった。忠と武を尽くそうとした結果が破滅の運命だったことに〈狼王〉ですら耐えられなかったのだ。総主長の憂鬱が兵団を破滅においやろうとしていたこのとき、〈大狼〉をさとしたのはその頃はまだ若き戦士であった後の〈凶手〉、すなわち〈隻手〉ビヨルンであった。ビヨルンの諫言に意気を取り戻したラスは、これまでの自分が〈皇帝陛下の処刑人〉を自任するあまり、盲目的に皇帝にしたがったことがこの暗い運命を招いたのだと確信した。これからは自らの心に聞いて事にあたらねばならぬと。こうして総主長は再び兵団の指揮をとり、士気回復したスペースウルフはアルファレギオンの包囲をかろうじて突破することに成功する。

 だが、試練はまだ終わってはいなかった。追いすがるアルファレギオンは、最精鋭の親衛隊をラスの旗艦に送り込んだのだ。このとき、アルファリウスそのひとが親衛隊を偽装して、ラス本人と刃を交えたと言われている。この窮地を救ったのは、運命のいたずらか、遺恨あるダークエンジェル兵団の遠征隊だった。彼らは、何十年も前に遠方に出征していたために、この頃すでに本拠キャリバンを襲っていた忌まわしい事態を知らなかったが、〈ホルスの大逆〉が起こったことをラスに伝えた。

神槍の啓示

 地球へと帰還したレマン・ラスは、公然と皇帝の判断を批判し、プロスペロー壊滅をもたらした自分の不明を恥じた。そして、ホルス本人を処断するのは自分しかいないと決意した。ローガル・ドルンとサングィニウスは単身で大元帥に挑むのは無謀とこれに反対したが、ラスは聞き入れなかった。かわりに、二人とジャガタイ・カーンに地球の防衛を任せて、ホルス探索の旅に出たのである。

 騎士惑星モレクに隠された渾沌の領域への門を求めて、ホルスがこの星を大挙襲撃したとき、ラスはマルカドールとその同志である大逆兵団出身のマリーンたち、すなわち〈遍歴騎士団〉(ナイト・エランツ)とともに、ホルス軍総旗艦〈ヴェンジフル・スピリット〉の所在地を割り出した。忌むべき兄弟の居場所をつかんだラスは、決戦に挑む前に今一度、故郷フェンリスに戻って、大いなる幻視探索行の儀式を執り行った。

 大儀式によってフェンリス人が〈地界〉(アンダーバース)と呼ぶ〈歪み〉の領域に踏み込んだラスと歴戦の勇士たち(その中にはビヨルンも含まれていた)は、〈スルトルの門〉と呼ばれる火山洞穴を抜け、〈魔王〉(アールキング)の宮殿を訪れた。〈魔王〉とは、フェンリスの勇士が戦場に斃れたとき、その魂を集める不可思議な存在である。宮殿では狂戦士ウルフェンの大群に襲われたラスだが、〈魔王〉に助言を求めて叫んだ。かくして〈魔王〉の四つの試練が課された。

 ひとつは、呪われしものの魂の満たされた大杯を飲み干すこと。
 ひとつは、老婆の怪異と格闘して倒すこと。
 ひとつは、〈魔王〉が飼う眠れる巨狼を起こすこと。

 ラスはいずれの試練にも失敗したが、最後の試練「なぜ〈魔王〉はこのような試練を課したのか解題せよ」には次のように答えた。

 ひとつめは、フェンリスの季節の移り変わりを表し
 ふたつめは、避け得ざる老いを表し
 みっつめは、決して動くことの無い大地を表すと。

 すると、宮殿は轟音とともに揺るぎ、そして美しい装束に身を包んだレマン・ラスそっくりの人物が現れた。それは、赤子のときフェンリスに追放されなかったラスがなり得たもうひとつの未来の姿だった。さらにこの〈ラスの鏡像〉は、〈ラスの槍〉の真の力を明かした。それは刺したものの真実を明らかにするのだと。そして、鏡像のラスは本物のラスを神槍で突き刺した。槍は果たしてラスに総主長の真実を暴露した。その内容に絶望するラスに向かって、鏡像はいつの日か、その真実ゆえに汝はフェンリスを去るであろうと予言した。

 明かすべからざる真実を知ったラスはしかし、神槍こそがこの大戦の未来を変える力を持つことを知った。この魂の旅を生き残ったのは、総主長のほかには、〈凶手〉ビヨルンだけであった。そして〈魔王〉の宮殿で知った真実について、ラスはついにビヨルンにすら話すことはなかった。

ホルスとの決戦

 ラスは麾下の群狼長らを召集し、全艦隊でもってホルスの旗艦を目指した。〈遍歴騎士団〉が惑星モレクで得た誘導装置を使い、〈ヴェンジフル・スピリット〉への奇襲を成功させたのである。

 レマン・ラスは神槍をたずさえ、忌まわしい渾沌の魔将となりはてたホルスを討たんと襲いかかった。総主長最強の戦士の忿怒の前に、さしものホルスも劣勢となり、神槍の連撃が深い傷をうがって大元帥の命をついに奪うかに見えた。しかし、最後の瞬間、ラスの心に一瞬のためらいが生じた。その隙をついてホルスは神槍をはじき、致命傷を逃れた。槍の傷は、ホルスの魂から渾沌の汚染をいくばくか流出させ、その力を弱めた。後にこのわずかなひび割れを、皇帝の剣が貫くことになる。

 立ち直ったホルスによってラスは打ち倒された。絶体絶命の総主長を救うため、渾沌の大元帥とのあいだに多数のスペースウルフたちが立ちふさがった。そして、ビヨルンら親衛隊の手によって、意識を失ったレマン・ラスは退却するスペースウルフ艦隊へとかろうじて運び込まれたのである。

 復讐に燃えるホルスの副将アバドンが猛然と追撃をかけ、スペースウルフ艦隊は惑星ヤラントで包囲された。ラスはいまだ目を覚まさず、総主長コラックスが手勢を率いて救援にやってきたときに、いっとき目覚めて〈ラスの槍〉をビヨルンに託すと、再び眠りについた。彼らがこの包囲を破り、地球にたどるついたとき、全ては終わっていた。ホルスは死に、皇帝は〈黄金の玉座〉に封じられていた。

〈狼王〉の旅立ち

 怨敵を自ら討てず、皇帝を救うこともできなかったレマン・ラスは深い憂愁に沈んだ。皇帝なき〈帝国〉には叛徒と渾沌がいまだ猖獗していたため、新たに〈帝国〉の舵取りを担ったロブート・グィリマンは、大胆な改革を実行した。スペースマリーン兵団を戦団に分割する〈第二期創設〉である。スペースウルフもまた、この対象となったが、ラスはこの考えに激しく抵抗した。

 さらに、〈第二期創設〉としてラスの遺伝種子から新たに創設されたウルフブラザー戦団は、どういうわけか極度の変異に見舞われて、異端審問庁から解散を命じられることになる。かくして、スペースウルフ兵団は事実上、戦団として分割されなかった。残存する12個の群狼団はそれぞれ何百人ものスペースマリーンを擁する大軍勢を維持した。そして、グィリマンの著した〈戦いの聖典〉をスペースウルフはほとんど無視した。彼らは伝統的な野蛮だが効果的な戦法を用い続けたのである。

 211.M31。皇帝が斃れてからおよそ二百年、その運命の日、惑星フェンリスでは全ての群狼長たちが集まり、盛大な饗宴が開かれた。そのとき〈大狼〉レマン・ラスは、何かを告げようと場を静まらせると、空の一点を見つめて何かを幻視した。周囲は恐怖の叫びをあげた。ラスがくずおれて膝立ちになったからである。そして総主長は、最も年若いビヨルン以外の親衛隊を自分の周りに呼び集めた。彼らを連れ、レマン・ラスはフェンリスの館をあとにした。行き先も告げず、目的も語らず。この恐るべき場の様子は、その後一万年にわたり、〈凶手〉ビヨルンによって何度も語られ、スペースウルフたちの間に語り継がれることになる。

 レマン・ラスは二度と戻ってこなかった。付き従った者たちもただひとりとして再び姿を見せることはなかった。一年が経ち、二年が経ち、十年が経ち、百年、二百年が経った。スペースウルフたちは毎年、ラスが旅立った同じ日に、同じ饗宴を開いて王の帰還を待った。今でも待ち続けている。

 こうして、王を探し続ける〈大いなる狩り〉は始まった。ラスの最後の言葉が、その手がかりであった。以来一万年、フェンリスの狼戦士たちは、ラスの偉業を受け継ぐため、不断で容赦なく、そして誇り高い戦いに挑んでいるのである。

(了)





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