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【連載】韓国시티팝(シティ・ポップ)を味わう 〜第1回 目次〜

こんにちは、pireumです。

ノリと勢いと衝動で書いた初回noteが激伸び(当社比)している中、ようやくこのシリーズに着手できました。
私が大好きな音楽、シティ・ポップに関する連載を、ゆるりゆるりと書き始めようと思います。

初回は目次編として、この連載で書いていくテーマの概要をまとめつつ、
今後は本編記事のリンクを随時追加予定ですのでお楽しみに。


何はともあれ「韓国シティ・ポップ」を聴いてみよう

難しいこたぁどうでもいい!!韓国のシティ・ポップってなんじゃ!!という方は、とりあえずこちらを聴いていってください。

ユビン《淑女》
韓国シティ・ポップ、と言えば必ず名前の上がる一曲。

ユキカ《NEON》
元ニコモのユキカちゃん。今では韓国で「シティ・ポップの女王」の異名の持ち主に。

キム・アルム《Sign》
インディーズ系のアーティストで個人的に一番好きな歌手。歌詞も素敵なので、韓国語わかる方はぜひご注目を。



そもそも「シティ・ポップ」とは

音楽好きな方は耳にしたことがあるであろう「シティ・ポップ」なるジャンルですが、そもそもシティ・ポップとは何者なのでしょうか。

よく近年の日本のメディアで見かける表現は、
「七〇年代半ばから八〇年代にかけて流行した、都会的で洗練された雰囲気の和製ポップ・ミュージック群」(1)、
あるいは「都市生活者の価値観や感情を歌った新しい音楽」(2)といったもの。
とはいえ、例えば「◯◯ロック」(ハードロック、プログレッシブロック等)や「◯◯ハウス」(プログレッシブハウス、トロピカルハウス等)のように、
共通の音楽的特徴を持ったジャンルではありません。(3)

(1)クリス・ペプラー「春待ちながら、歩くスピードで」大谷隆之文、『東京人』第36巻第6号、p.36
(2)レコード・コレクターズ編集部『シティ・ポップ1973-2019』p.4
(3)とはいえ、これらの音楽的特徴による区分も、100%明確に決められているとは限りません。JIS規格みたいなのもないし。


シティ・ポップというのは、どちらかといえばマーケティング用語の一つと言え、
古今東西、音楽を売るときに便利なフレーズとして用いられてきました。

裏を返せば、かなり幅広い音楽を「シティ・ポップ」として解釈できるということ。
さらに、時代や地域(国)によって、その解釈が大きく異なるということでもあります。


そのため、本シリーズでは、「2022年現在の韓国におけるシティ・ポップ」とはどんな音楽と言えるかを探るべく、
以下3つの「シティ・ポップ」について詳しく見ていきます。

  1. 日本のシティ・ポップ

  2. アメリカのシティ・ポップ

  3. 韓国のシティ・ポップ



1.日本のシティ・ポップ

先ほど挙げたクリス・ペプラー氏の引用文にあるように、シティ・ポップは「和製」、つまり日本の音楽が全ての根本にあります。
とはいえ、その日本のシティ・ポップさえも、中身は多種多様です。

日本の様々な書籍・雑誌で「シティ・ポップの祖」とされているバンド・はっぴいえんどと、
海外でもバズった竹内まりやの「プラスティック・ラブ」、
あるいは「ネオシティ・ポップ」などと括られるSuchmosやAwesome City Clubなどは、とても一つのジャンルにまとめられない音楽的要素を持っています。

なぜ、これだけ幅広いジャンルの音楽が「シティ・ポップ」とまとめられているのか?
日本のシティ・ポップはどんな歴史をたどってきたか?を整理することで、
その後なぜシティ・ポップが日本国外で注目されることとなったかが整理されるはずです。


第一章にあたる「日本のシティ・ポップ編」では、駆け足で日本のシティ・ポップシーンを振り返り、私なりの解釈を交えながら分類を試みることで、
その後のシティ・ポップブームを紐解く糸口を見つけていく予定です。



2.アメリカのシティ・ポップ

シティ・ポップは、韓国で流行する少し前、欧米の一部の人たちの間で話題となっていました。

多くの研究や書籍、インターネットの記事でも指摘されているように、
ヴェイパー・ウェイヴと呼ばれるネット上のニッチなブームと、
いわゆる「和モノ」シーンをはじめとするクラブ/DJによるニッチなブームが、その主な震源地です。
中でもシティ・ポップが話題となる上で、アメリカ出身のデジタルネイティブ世代の存在は見逃せません。

さらに、韓国ポピュラーミュージック産業は、
アメリカを中心とした国外の音楽シーンの流行にどんどん乗っていく傾向があります。
そのため、韓国のシティ・ポップを検討する前に、アメリカのシティ・ポップをじっくり味わうことは、かなり参考になりそうです。

すでに柴崎祐二氏による書籍『シティ・ポップとは何か』でもかなり詳細に触れられていますが、
ここでも私なりの解釈を加えながら、アメリカを中心とした欧米圏でシティ・ポップが注目された理由を考察することで、
韓国のシティ・ポップを分析する足掛かりを作っていくつもりです。



3.韓国のシティ・ポップ

日本におけるシティ・ポップとは何者か、
またアメリカを中心とした日韓以外のシティ・ポップの特徴は何かを整理した上で、
ここからさらに、韓国のポピュラーミュージック産業の歴史を一度簡単におさらいします。

なぜなら、音楽シーンの変遷を振り返ることで、
韓国に生まれ育った人たちがどんな音楽を好んできて、今どんな音楽を求めているのかが見えてくるからです。

その上で、韓国のシティ・ポップはどんな特徴を持っていて、
なぜ2010年代後半以降、一定の人気を得るようになったのか分析していきます。



ということで、一体何回の連載になるかすら全く検討がつきませんが、
のんびり書いていければと思っています。

どうぞ、最後までお付き合いいただければ幸いです!




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