『凌辱された女 リベンジパチンカー・アナザー』(2015)
脚本 友松直之
演出 奥渉
出演 東凛、徳元裕矢、佐藤良洋
https://www.allcinema.net/cinema/355753
いわゆるピンクVの1本である。きちんと劇場公開されたのかどうか。
正直、早送りでおいしい部分だけつまみ食いするつもりだったんだけど、ドラマ・パートも結構おもしろくて結局ほとんど全部観てしまった。戦う女の話は、男にとってもメソメソ女のウザい話よりずっと面白い。
ヒロインは悪徳パチンコ屋の一味に恋人を殺され、自分もレイプされて流産する。警察に訴えるが、証拠がないと門前払い。やむなく独力で復讐を始め、店先での嫌がらせから殺人へとエスカレートしていく。復讐が生き甲斐とうそぶくヒロインがカッコいい。
演じる東凛なる女優さん、特別うまくも美しくもないが、きちんと演技で勝負していて好感が持てる。Vシネマだからといって手抜きしていない。大詰めで大演説をやらかすのだが、その口跡が明晰で堂々としているのに感心した。この一見他愛ないエロVの根底にある真のメッセージを、彼女が正しく的確に理解していることがうかがえる。
真のメッセージとはとどのつまり、反権力であろう。警察という公権力が、ここでは徹底的に戯画化される。ヒロインの訴えを、カメラ目線でいちいち茶化す警察官。この道化じみたキャラを通じて、映画は屁理屈で逃げる官僚の卑怯さをこれでもかと暴き立てる。さらには、日本の法体系の矛盾までも明らかにする。
往年の日活ロマンポルノ同様に、恵まれない制作環境ながら発信意欲においては誰にも負けない現場の心意気を、ここに強く感じた。予算不足や早撮りの難点は至るところで指摘できるが、スタッフ一同の熱意が総てをカバーしている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?