第63話『地下の大決戦』

怪盗イタッチ大作戦!!

著者:ピラフドリア

第63話
『地下の大決戦』

 巨大なボスネズミと向かい合うイタッチとダッチ。
 イタッチは折り紙で剣を作り、ダッチは刀を抜いた。

「ダッチ、左右から同時に行くぞ」

「ああ……」

 イタッチは左へ、ダッチは右からボスネズミへと向かう。
 ボスネズミは長い尻尾を振るとそれを鞭のように振るい、イタッチに攻撃してきた。

「イタッチ!!」

 かなりの威力でボスネズミの尻尾がぶつかると、辺りに土埃を巻き上げる。

 イタッチは折り紙で盾を作り、ボスネズミの尻尾を受け止めていた。

「問題ない。ダッチ、今だやれ!!」

 イタッチに攻撃をしたボスネズミはイタッチの方に意識を向けている。
 ダッチは飛び上がるとボスネズミを背後から切りつけた。

 だが、

「こいつもか!」

 ボスネズミの毛皮は鋼のように固く、ダッチの刀は弾かれる。
 攻撃されたボスネズミは叫び声を上げると、駒のように身体を回転させる。

「なんじゃそりゃ!?」

 切り付けて着地しようとしていたダッチを高速回転する鋼のモフモフが当たる。
 ダッチの身体は弾かれて、ドーム状の穴の端まで吹き飛んだ。

「ダッチ!?」

 イタッチは盾でガードしながらダッチの心配をする。ダッチは転がり、地面に倒れたが刀を拾い上げると、傷だらけの身体で立ち上がった。

「……問題ねぇ」

 ボスネズミは回転するのを止めると、大きくジャンプしてビルの高さ三階分ある天井まで飛び、逆さになると天井にしがみついた。

 凸凹している天井や壁に指を引っ掛けて縦横無尽に動き回る。

「ダッチ、一旦合流するぞ」

 イタッチとダッチは合流しようとお互いのいる場所に向かうが、二人の合流を阻むように天井からボスネズミが岩を落とす。
 尻尾で天井に穴を開け、それで岩を手に入れて落としている。

 このままじゃ、合流もできないし、ボスネズミに手を出すことが出来ない。
 そんな時、ダッチがある提案をした。

「イタッチ、俺があいつを落とす。トドメを任せて良いか?」

「ダッチ……」

「予想以上にさっきのダメージがでかい。持久戦じゃ負けちまう」

「……分かった」

 イタッチの返事を聞き、ダッチはニヤリと笑うと刀を横向きにした。

「さぁ、狩りの時間だ」

 ダッチは刀から音を出し、洞窟内に超音波を放つ。穴から顔を出し観戦していたネズミ達は苦しみだし、ボスネズミも音に耐えられず天井から落下してくる。

「いけ!! イタッチ!!」

 落下してくるボスネズミ。イタッチはそのネズミの落下地点に立つと、折り紙で作ったグライダーにロケットをつけ、ネズミに向かって飛び出した。

 剣を構え、空中でボスネズミにぶつかる。硬い毛皮を貫き、イタッチの剣はボスネズミを真っ二つに切断した。

 ロケットエンジンが止まり、天井にぶつかる前に失速すると、イタッチは折り紙で傘を作ってふわふわと落下する。

 そして倒したネズミの上に着地した。ボスネズミが倒されたことで、感染していたネズミ達は散り散りになって逃げていく。

「よくやった、相棒……」

 親指を立てるダッチ。イタッチは返事をするように親指を立てた。
 それを見たダッチは笑顔になった後、力を失ったように崩れ落ちる。

 イタッチは急いでボスネズミから降りると、ダッチを倒れる前に支えた。

「ああ、お前もナイスだった」

 イタッチはダッチを連れ、地下鉄から脱出した。

 地下鉄のネズミ達が騒ぎ声を聞きながら、ピッケルを持った男が、ホームのベンチでコーヒーを飲む。

「……あのネズミどもを…………。世界は広いな」

いいなと思ったら応援しよう!