第273話 【BLACK EDGE 其の273 大会へ】

 BLACK EDGE

 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria

 第273話
 【BLACK EDGE 其の273 大会へ】

 王女様との一件も終わり、数日が経った頃。
 ついに大会の当日になった。

 ブラッドは装備を整えると、出発の準備をする。

「ブラッドさーん!! まーだでーすかー!!」

 廊下ではスカイがウキウキしながら待っている。

 マルグリットで開かれる闘技大会。マルグリットだけでなく、周辺国からも猛者達が集まり、腕試しを行う。

 特定の重量未満ならば武器の使用も許可されており、闘技場から落ちる、または戦闘不能になることで勝敗が決まる。

 今回は例年よりも多く予選の参加者は300人。その予選は8ブロックに分けられて、そこから勝ち残れるのは一名ずつだ。そしてその勝ち残った8名でトーナメントを行う。

 予選は40人が同時に舞台に登り、そこで最後の一人になるまで戦う。

 準備を終えたブラッドが廊下に出る。

「待たせたな」

「あ、久しぶりだね。その格好」

 ブラッドの姿を見たフェアがそう言った。

 屋敷で過ごしている間、適当は私服を着ていたが今回は戦闘がある。
 そのため旅の時に来ていた赤いコートを着た。

 このコートは特別なものでそう簡単に破れることはない。そのため龍の力を使うこともできる。

「待ちくたびれましたよ」

 壁に寄っかかって座り、剣を磨いていたスカイは立ち上がる。

「では行きますよ。屋敷の外でお爺さま達が待ってます」

 スカイとブラッドは大会に参加する。フェアとケイス、セイラは観客席で二人を見守ることになった。

 外に出ると、ケイスとセイラが待っていた。

「全く遅いですよ」

 セイラが腹を立てる。黒いドレスに黒い日傘を差している。

「今回はキースが不在だなんて。残念ですわ」

 セイラがそう言うとスカイが

「任せてよ。ママ。私がパパの代わりに優勝するから!!」

 セイラは日傘を放り投げてセイラに抱きつく。ケイスはセイラが投げた日傘をうまくキャッチした。

「まぁぁぁぁ、なんてできた娘なの!! 大好きよ!! スカイ!!」

 セイラはスカイに顔をすりすりする。スカイはちょっと嫌そうだが抵抗する様子はない。
 しばらくセイラはスカイにすりすりした後、今度は抱きしめた。

「ママ……?」

 少し様子の違うセイラにスカイが違和感を感じる。

「でも、優勝なんてしなく良いのよ。…………怪我だけはしないでね」

 セイラは優しい声でスカイに言う。それを聞いたスカイもセイラを抱きしめる。

「うん、安心して。ママを悲しませたくはないもん」

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