戦術本レビュー・「麻雀IQ220の選択/勝又健志」
Twitterにて戦術本レビューなるものを軽く頼まれたので初めてではあるが書いてみたいと思う。その本というのが、EX風林火山、勝又健志プロの「麻雀IQ220の選択」。
勝又プロは連盟のプロで、自由くん曰く「凡人が5分かけて考えることを5秒で考える人。考えすぎて七対子ばかりしている人。」だそう。
わせりんさん曰く「年収2000万あるのに毎日昼食を500円のうどんで済ませてるような打ち方」だそう。
私見では、所作がかなりふんわりしているのでそう見えないが、多分打牌自体は寿人くらい速い。さらにその能力は解説で本領を発揮し、ハイレベルな思考を瞬時に読み取り、分かりやすく伝えるのに長けている。
要するに“天才”である。
そんな“天才”の雀風は「門前守備型」といわれる。この「門前守備型」という雀風を我々は正しく理解できているだろうか。
おそらく、言葉の意味は誰でも分かるだろう。文字通り、「門前」寄りで「守備」を重視する打ち方だ。しかし、その実態は「なんかよく分からない字牌かき集めてすぐオリる、プロリーグでしか通用しない戦術」だと思っている人は少なくないはずだ。
それも当然で、なぜなら麻雀というゲームは初心者のうちは積極的な戦術を使う方が簡単に勝ちやすい、もっというと初心者が消極的で我慢を要する戦術を選択するのは効率が悪く、実になるまでに時間がかかる。
では、それはなぜなのだろうか。
それは極めて単純で、戦術の主体とするものが違うからだ。主に積極的で局参加率が高いプレイヤーは主に自分を主体とする。相手の手、山は見えないので、見えている手牌や点数状況に関する技術(牌効率をはじめとするリーチ判断、点数状況判断、鳴き判断など)を高めて勝率を上げようとする。
それに対して「門前守備型」に代表される消極的な戦術は相手を主体とする。つまり、「見えないものを仮定して、不確定情報を正確に確定させていく作業」を要する。これが、「読み」だ。
しかし赤あり麻雀というのは、積極的な戦術で、読みをあまり使わなくてもほぼ全てのフィールドにおいて勝てるというのが事実だ。これは同時に無理に間違った読みを使うと負けてしまうことを示している。
しかしこれは、「門前守備型」と呼ばれるプレイヤーが勝てない、というわけではない。
つまり、この戦術を用いて勝つためには正しい「読み」をする必要がある。その「読み」のプロセス、考え方を中心に書かれたのがこの本という訳である。
さて、読んでみた感想だが、中・上級者はかなり満足な内容になっているのではないだろうか。最近の戦術書は正しいが、簡単なものが多いので、それらと比べるとかなりレベルは高めだと思う。
本の形式は、実戦(Mリーグ)で捨て牌の状況と手牌を判断して、何を切ればいいのかを考えるというもので、牌効率が読みで変動する領域についてとても詳しく書かれている。さらに、どんな戦術にも使えるような場況の大原則、愚形のリーチなど、システム化が難しいところで考えるべきことが分かりやすく書いてある。
ただ、それが少しオーバーすぎる部分がある。平和ドラ1をダマにした局面や、チートイとメンツ手の判断とか流石にフリーや天鳳だとこっちの方が良くね?みたいなのはちょくちょくあったが、それでも思考は納得することができた。引き出しを増やしたいならかなりおすすめしたい。さらに、最近流行りのsuphxの牌譜を見る際のとっかかりにもなると思う。
ただ、初心者はやはり積極的な雀風から入るべきだなと改めて感じた。門前で守備寄りのバランスを体得するのには時間とセンスを必要とする。
てな感じで中、上級者で門前路線に興味がある方は買って損はないだろうと思いました!
レビューとして評価をつけておくなら☆3.5くらいでしょうか。一応マイナー戦術ではあるので低めにつけざるをえませんが、割と面白かったです^ ^
強いていうなら途中途中挟まる漫画が微妙なのとコラムがない(多分不倫絡みで無くなったと思われる)のが残念...あ、余計なことですね。すいません🙇♂️
というわけで今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。