どうか永遠に他人で双子のままで


イケメンとブサイクの化学反応に魅了される

わたしがよしもとの漫才コンビである「アインシュタイン」を知ったのは、たかだか数年前のこと。
「お笑い」の「お」の字も知らないので、バンドでいうSE的な「出囃子」の制度も、一張羅のスーツがあることも劇場に通う中で知った。
当時のわたしは「和牛の漫才、1回ぐらいみたいな」という、「1回ぐらいこのバンドのライブ見とこかな」的なノリで見に行ったお笑いライブにアインシュタインがいた。
そして、ある春の日。和牛見たさで見に行ったお笑いライブで見たアインシュタインのネタがクリーンヒットしたあの日から、アインシュタイン沼に落ちた。

死ぬほどお笑いライブを見た。アインシュタインという文字を見れば、後先考えずにチケットを取っていた。
ジャニオタであることが関係しているかは知らないけれど、好きな推しに関する情報をとにかく知りたくて、Twitterもネットもあさった。おもしろいほどに、アインシュタイン沼に転がり落ちるオタクを体現していた。

バイカラーのスーツ

初めてアインシュタインのバイカラーのスーツを見たのは、いつかの単独ライブのポスターだった気がする。
元々自分自身もバイカラーが好きで、「おっ」と軽く思っただけだった。その後も「いいな」「かわいいな」とジャニオタ根性よろしく、眺めているだけだった。

それぞれピンで見ても、かわいいなあ。
いいスーツやなあ。やっぱバイカラーしか勝たん。バイカラー最高。

しかしここで、ジャニオタゆえの(なのかは知らんけど)「推しを死ぬほど観察する」能力が発揮されてふと気づく。

あれ、これ、ただのバイカラースーツちゃうやん。

よく見ると、まったく同じバイカラーの入り方をしていない。
河井さんの右襟:黒(濃紺?)/左襟:グレー
稲田さんの右襟:グレー/左襟:黒(濃紺?)
それ以外の生地の部分、何から何まで正反対の配色に。

いろいろなコンビを見ているけれど、こんなデザインの舞台衣装のコンビはアインシュタインしか知らない。(おるんかも知れんけど)
大概のコンビは同じデザインで色違い、もしくはデザイン・雰囲気が統一されているけれどお揃いではない、という衣装だと思う。

きっと漫才をしてなかったら、一緒にいなかったであろう河井さんと稲田さん。性格も考え方も生い立ちも見た目もなにもかもが違いすぎる。
なのに「漫才」という仕事で、2人はどんな他人よりも強固な関係性を結んでいる。(と勝手に信じてる)(実際は知らんけど)

キャラも違う。性格も違う。見た目も違う。似た者同士でもなさそう。
だからバイカラーの入り方が違うのだろう。「赤の他人」だとスーツが主張している。
だけど他人同士の二人が横並びになった瞬間、視覚的に「ああ、ふたりでひとつなんだ」と痛感させられる。
河井さんと稲田さんのスーツの配色をぱたんと重ねたら、黒(濃紺?)同士が、グレー同士がきれいに重なり合う。
他人なのに、結局ふたり揃ったほうが美しく見えるんやん。

すべて、ジャニーズでいう「シンメ」文化の沼でおぼれ続けているオタクの思考回路ゆえなのは重々承知している。
それにすべてわたしの個人的解釈なので、本当の舞台衣装の作成経緯は知らないし、死ぬほど的外れかもしれない。河井さんのおしゃれセンスが存分に発揮されてるだけで深い意味なんてないかもしれない。

たかだか舞台衣装のスーツ1着で、こんなところまで思ってしまうのは、自分で自覚しているよりも「アインシュタイン」というコンビのことが好きだからかもしれない。
漫才の掴みで、自分たちを「双子」だと言う。笑いながらもわたしはどこかで願ってしまっている。

ああ、どうか死ぬまで「他人の双子」でいてほしい

と。

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