【短編小説】闇鍋事件(殺し屋シリーズ)
偉い男がいた。そしてこの偉い男は、他の偉い人たちに負けず劣らずの悪人、である。
「ふぅーん。で、何? その面白い遊びってのは?」
訳がわからない位に寝かせて、値段が跳ね上がったワインでほっぺたを紅く染めた偉い男が、わざと目を薄く開き、満足げに唇は歪め、ますます下品な表情で、取り巻きの下衆に聞く。
「はい、これがとても面白いんですよ。菅さん」
菅とは、この、偉い男のことだ。
「おい、もったいぶらずに早く言え!」
そう言いながら、取り巻きの下衆の肩を乱暴に掴み、大きく揺