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拝啓 十五のサッカー少女だった君へ

15歳の君へ

今、あんまりいい思いをしていないと思います。
20年以上経った私も、15歳の君のこと、実はよく覚えてません。

人数不足で部活としては成り立たないからと、地域のクラブチームに吸収されて、大好きなポジションに立つこともなくなった。

年齢は一番上なのに経験は下から数えた方が早い。

実はこれから、指の骨折をして運動制限がかかる。

その環境がしんどくて、楽しくなくなって、もういいかなあと練習にも試合にも足が向かなくなっているところだと思います。

嫌なもんは嫌って性格は昔も今も変わらなくて、しかも中学生の君はそれをコントロールする力がとにかく弱い。
だんだんフェードアウトしていきます。

そして、投げ出した自分を隠したくて、サッカーをやっていたことすらしばらく隠すようになります。

だけど、中学生の君には変えられない状況だった中、心を押し潰し続ける必要はなかったと思うよ。
中3って内申点とか心配する時期だけどさ。
そんな思いをしてまで背負わなくても、その後の人生、どうにでもなったし楽しかったから大丈夫。

サッカーの練習に行かなくなる代わりに、仲良しの友達から人数合わせで誘われて、文芸部にも顔を出すようになってるよね。
これから百人一首かるた取りが特技になるよ。

実はね、高校に行ったら百人一首大会で3年連続優勝するよ笑 
今でもそのことは話のネタになるから、君のその選択、わりとよかったと思う。


今、サッカーから気持ちが離れつつあるけれど、5月末から始まる日韓W杯。
最高におもしろいよ。もっとサッカー好きになるよ。

今まで観ることにはあんまり興味がなかったのに、毎日テレビにかじりつくようになるよ。

日本代表チームって凛々しくてキラキラしてて、本当に本当にかっこいい。
22年後の今、「推し活」って言葉が一般的になっているけれど、君の推し活人生は時代を先取りして、ここからスタートするよ笑

とにかくW杯にハマりすぎて、中3という時期もあって、選手以外のサッカーに関わる仕事は何か色々調べていくようになります。
そして、スポーツトレーナーに憧れるようになります。

ちょうど地元に国立のアスリート向けの施設ができて話題になっているよね。
進路のことを話したら父親に「お前、あそこで働けよ。」なんて言われるし、あまりに近いところにあるからますます夢見ちゃうよね。


だけど、熱しやすくて興味の幅は深く狭くの君。
これから夢はコロコロと変わります。

好きものは好き、嫌いなものは嫌い。

君はあと20年は感情の赴くまま、後先も考えずに動くからです。

そして、夢が変わるだけでなく、他人に迷惑をかけまくって、リセットボタンを押したくなるほどの後悔をたくさんします。
自分を好きじゃない自分に、どんどんとなっていきます。

でも大丈夫。
22年経った今、やっと自分を自分として受け入れられる人間としての成長期を迎えました。
ちょっと生きやすくなったよ。

長くてごめんね笑

でもそれは、後先考えずに行動して、人よりずっと多く人生に点を描いてきたくれた君と、この先の君のおかげ。

歳を重ねるごとに、たくさんの点だったものが線として結びついてきた。
後悔していたことにも、遠回りだと思っていたことにも、きちんと意味があったんだと分かって、過去を受け入れられるようになった。


詳しく書くと、君のこれからがつまらないから、ざっくりと書くね。

スペイン語勉強したり
バックパッカーになったり
カンボジアに住んだり
教師になったり
青年海外協力隊になったり
引きこもりになったり

ね、色々やってきたでしょ。

そして実は今、点と点がつながって、ぐるっと一周回って、十五の君が憧れているスポーツの世界にいます。

トレーナーではないし、サッカーでもない。
君も知らなければ、当時の世間でもまだ知られていない、パラスポーツという世界です。

そして、地元にありながらも遠い存在だったこの施設でも仕事をするようになったよ。

22年経った今、君の夢は叶ったんだよ。

遅いって?
違うよ、それまでの22年間の君の選択が1つでも違っていたら、ここには辿り着かないから。

そしてね、今、この仕事がすごく楽しい。
やっぱりスポーツが人に与えるパワーってすごいよ。

だから、これからの22年間、楽しんでね。
君の夢はちゃんと叶うから。

なんなら、この先で変わっていた夢もほとんど叶うから。
自分の突拍子もない行動力と直感を信じて。

今を生きていこう。

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