文月

新宿の彩度が熱を帯びて増している。空気は宙に近づくほど澄んで、鮮やかな鯨の紺色が外郭に向かって暗くなっている。祭りの気配だ、走らなくっちゃ。だけど君が大事な話をしているから君の話をじっくり聞いた。先人達の過ごしてきた時を、街を映しながら君は未来を生きている。答え合わせは終いの時にね!きっとあっちゅう間。辿り着けなくても別にいいや。今日の月はラムネのビー玉。真っ直ぐに僕らを見つめて異質にそこに居た。祭りを知らせる白い光だ。まるでそれはUFOの様にこちらに近づいて何かを言っている。暑さにやられて何も言えなくなった僕らがそれとなく心を交わせているように、それが何を示しているか分かった気がした。熱にうなされて都合が良い夢を見るように、PASMOの残高のゾロ目で検索したエンジェルナンバーのように曖昧だけど私はいつだってそれを本気で信じている。改札通ったら残高変わっちゃうけど関係ない。さあ、みんな!夏が始まるよ、走ろう。

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