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日本人はなぜ先住民族と言われないのか。

こんにちは。オーストラリアで大学生してます。

オーストラリアに来てから、"indigenous people" (先住民族) について考えたり話したりする機会が多くなり、登録フォームなどで "Are you identified as indigenous people?" という質問を毎度のように聞かれるようになりました。


日本にいた頃は、日本の先住民族はアイヌや琉球の人々だと習う程度で、日々の会話で先住民族の話題が出たことや考える機会もありませんでした。

日本語で「先住民」という言葉を調べても、記事や活動している団体もそこまで多くなく、日本はなぜ先住民族への関心が低いのかと疑問に思っていました。


でも、ここで疑問が出てきます。
なぜ、日本の先住民族はアイヌ人と琉球人だけなのか?
なぜ、縄文人や弥生人を祖先に持つ私たちは先住民族と呼ばれないのか?


紀元前13000年からこの大陸にいた縄文人の血を引いている人達が、「先住民族」と言われないのは不思議じゃありませんか?

この疑問は、オーストラリアに住む先住民の方々に "Are you an indigenous Japanese?" と聞かれた時にも抱きました。

うーん、私は先祖もみんな日本人だし、いつから日本にいたかはわからないけど、縄文人か弥生人の血が入っている気がする。

でも、先住民族なんて言われたことないし、自分でも思ったこともない。


"Indigenous" という言葉は、「土着の、固有の」という元々その地にいる人を表すものだと思っていましたが、この機会に定義が気になって調べてみたら、Wikipediaの以下の説明がしっくりきました。

an experience of subjugation and discrimination under a dominant cultural model
(日本語訳: 支配的な文化モデルの下での征服と差別の経験)

Indigenous peoples | Wikipedia


つまり、"indigenous" という言葉は、元々その土地にいた人々を表す形容詞ではなく、「侵略者により元来住んでいた土地を征服され、彼らの文化規範を強要されて差別の対象となった人達」のことを表す固有名詞という捉え方が適切なのだろうと思いました。

彼らを、"indigenous people" として認識し、尊重するための言葉なのかなと。


「日本は被植民地経験がなく、そもそも "indigenous" という言葉の必要性がなかった」
というのが、「日本人はなぜ先住民族と言われないのか」というタイトルへの答えになりそうです。

主に現在の日本国を構成している民族は、和人(日本列島に元々住んでいた人々)とアイヌ人(北海道に住んでいた人々)と琉球人(沖縄に住んでいた人々)ですが、その中で "indigenous" と呼ばれるに値する経験の歴史を持つのは、アイヌ人と琉球人。
だから、教科書の「日本の先住民族」の欄ではアイヌと琉球しか紹介されていなかったのでしょう。


今度から、"indigenous" という言葉を聞いたら、何らかの差別の歴史を持っている方なのだろうと考えるんだろうな。

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