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【養殖シミュレーション】老舗塩辛メーカーでサクラマス飼育 データ計測でモデル精度向上

 北海道函館市のスタートアップ・AQSimと北大の高橋勇樹准教授らは、養殖シミュレーションの実証実験をするために、小田島水産食品(函館市弁天町20-7)に2個の水槽を設置しています。そして5月8日、2つの水槽内にいる100匹以上のサクラマスの体長と体重を手作業で計測し、シミュレーションモデルの整合性を調べました。


小田島水産食品に設置された大きな水槽

 
 イカの塩辛の製造・販売を手がける老舗・小田島水産食品に設置された、2個の500リットル水槽。中には多くのサクラマスが泳いでいます。特に水槽①の方の個体はよく人に慣れており、手を水面に近づけると寄ってきます。


水槽内のサクラマス

 「もともと熱帯魚が好きなので、北大から仕事をもらって魚を育てることができてうれしい」とAQSimの菊地優さんは笑います。小田島水産食品の店員からも「癒される」「ペットみたい」という声も聞かれ、非常に可愛がっている様子が伝わってきます。

月に1回の全個体計測 水槽①の群れ「シミュレーションより大きくなっていた」

 日々、水温や給餌量、飼育個体数を記録することに加え、1カ月に1度、水槽から全個体を取り出し、体重と体長を計測します。そして取材日の5月8日、この全個体計測が実施されました。

 水槽から網で数匹ずつ丁寧に取り出されたサクラマスたち。計測中に暴れないように麻酔で眠らせます。


計測の様子

 「10.92」「90.64」――。次から次へとテンポよく計測。測り終わった個体は水に戻され目覚めます。「麻酔で眠っている状態だと『死んだみたい』でびっくりするが、しっかり泳ぎだした」と菊地さん。眠らされた全個体が無事目覚め、元気そうに水槽内を泳いでいました。

 今回の計測した結果、平均体重が水槽①は10グラム、水槽②が150グラムでした。「水槽①の群れは、モデルの想定より大きく育っているようだ」と赤穗峻太朗さん(北大水産学部・特定専門職員)は振り返ります。計測結果はモデルの精度向上のために使われます。


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