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ビジョナリーサッカークラブのつくり方/鎌倉インターナショナルFC四方健太郎氏

ビジョナリーサッカークラブのつくり方
鎌倉インターナショナルFC
代表四方健太郎氏

第1章 鎌倉インテル誕生秘話

□オーナー四方さん
2008年独立
2010年W杯南アフリカ大会に出場する32か国全てを回る「世界一蹴の旅」を敢行した
当時は価値観の発信はメディアの専売特許だった
それでも四方はブログや掲示板、コネクションを駆使して、新しい価値を発信し続けた

より直接的に新しい価値観を形にする立場になる
そう考えてブラジルW杯直後から「アジアサッカー研究所」を開設
Jクラブのアジア戦略を支援する活動を始めた

□インターナショナルなクラブ本拠地
チーム名は「インターナショナルFC
国際化と言う何より大事な方針を、クラブ名にストレートに打ち出すことはすぐ決まった
ではどこでやるか?

神奈川出身の四方
横浜は飽和状態、マリノス、横浜FC、YSCCなどがひしめく
鎌倉はどうか?
海外の認知もされているし、歴史ある神社仏閣が並ぶ
大船モノレール深沢駅目の前の広大な土地が目についた

□キーマンとの出会い
鎌倉市議会議員の永田まりな氏を訪問
「鎌倉はひとつになり切れていない部分もあるんです
だからこそ、サッカーなどのスポーツクラブには期待したいんです
鎌倉の名前を冠にしたクラブがあって、他の地域のクラブと戦う。そうなれば、市はひとつにまとまれて“One Kamakura”にならるかもしれません」

深沢に長く住む和田さん
「ここらの地主さんとも良く話すんだよね、ここのお店もそうなんだけどさ、色んなバッググラウンドの人たちが集まり、そこで新しい価値を創り出し、そこからビジネスや人が飛び出していくような、そんな場所にしたいよね」

□人が集まるインターナショナルへ
四方はシンガポール在中
どこからクラブの舵取りをするか?
仲間からは「四方くんはシンガポールに居続けないと、君が海外にいないとインターナショナルじゃないでしょ」

鎌倉で目指すサッカースタジアムはシンガポールリーグの「タンピネス・ローバーズFC」のホームスタジアムで、巨大なショッピングモールとしか思えない空間

採算面だけでなく、常にクラブの施設に人が集まってこそ、クラブがその地域の象徴になれる
このタンピネス・ハブのように海外からきた人でも「おっ!」と思うようなホームスタジアムを持っていれば、クラブの国際的なブランディングにもつながる

第2章 オーナーによるクラブビジョンの解説

□サッカーはコミュニケーションツール
仕事であれ、プライベートであれ、そのなかでどう現地のコミュニティに溶け込んでいくか、が大切なポイントになっていきますが、そこで世界中で人気のサッカーというスポーツを話題にすることで話がポンポン進んでいく、みたいな経験をしてきました

Jリーグではアジア戦略という新しい取り組みがスタートしており、サッカー、Jリーグというプラットフォームを生かして、国際ビジネスや国際交流に寄与していこうという流れが生まれてきました

□チーム名の由来
「インターナショナル」というクラブ名はシンガポール1部の名前にインスパイアされたところがあります
よくよく考えてみると、イタリアには「インテル・ミラノ」、ブラジルにも「SCインテルナシオナル」という古豪クラブがある
日本にあってもいいじゃないか、思うようになった

□インターナショナルな本拠地
他クラブ・地域との差別化という意味でも、このインターナショナルという名前を冠するというの良いなと思ったんです
そんななかで「**(地域名)インターナショナルFC」という名前になるしたら、どこの都市がビジョンにしっかりくるんだろう?

仲間の1人が「四方さん、鎌倉というのはどうですか?」と提案してくれた
東京からのアクセスにも優れ、外国人観光客も多い、国内外に絶大な知名度を誇るこの都市は、直感的に面白いと思いました

鎌倉インターナショナルFCは、「鎌倉発、日本初、徹底徹尾国際化を意識したサッカークラブ」と謳った

鎌倉インターナショナルFCは、前述したようなJリーグアジア戦略で成し遂げたいような「国際的な付加価値の創造」をゴールに置いています

サッカーをツールにして、国際教育や国際ビジネス、国際交流などを実現しちゃおう

□Our Tampines Hab
シンガポールの各地域に小中規模の「ハブ」を作り、地域の人々が、老若男女問わず気軽に集まり楽しめる施設かま作られはじめています

その第一号となったのは、シンガポールの東部Tampines(タンピネス)地区にある「Our Tampines Hab(アワ・タンピネス・ハブ)
スポーツ、ライフスタイル、コミュニティをテーマに設計され、3年半かけて、2017年8月に竣工した
施設の中心には、サッカーをはじめ大きなイベントに使える人口芝のピッチがあり、5000人強の観客席も設置されています

施設はこのピッチを囲むように設置されていて、5階建ての建物には体育館やアリーナ、フットサル、テニスコート、ボーリング場などのスポーツ施設のみならず、図書館や保育園、介護施設、飲食店、地下にはスーパーマーケットもあり、駐車場も完備されており、とにかく人が集まるような施設が集約されています

興味深いのは、ファッションアパレルや高級レストラン、電化製品などの付加価値の高い製品・サービスの店舗などはここにはほとんどなく、あくまでもこの施設が地域のコミュニティを大切にする、豊かにするハブというテーマで作られている点です
その施設の中心にプロサッカーの試合も開催できるスタジアム(タウンスタジアムと呼ぶ)があります

タンピネスハブのメインとなっているスタジアムのグラウンドには人工芝が敷かれています
FIFAの認証を受けている品質の高い人工芝で、サッカーシンガポール1部リーグ試合でも利用されています
天然芝と大きく違うのは、養生がほとんどいらないので、ほぼ24時間365日稼働できることです
一般開放されており、大人から子供までが自由に使っているのが印象的です

□国際化するツールのサッカー
鎌倉インテルのビジョンを達成するために、なぜサッカークラブをベースにするのか?
全世界的にこれまでに多くの人たちに愛されているスポーツはほかにはありません

もう一つ、大きなポイントがあります
それは鎌倉インテルがまったくゼロからのスタートで、最初から国際化をコンセプトにおいた新しいクラブがある、という点です

□チームカラー
そこで鎌倉らしい色は何か?
ビジョンが体現できる色、オリジナリティ溢れる色を考えていたところ、現在の鎌倉インテルのチームカラーである「白」に落ち着きました
約830年前、鎌倉幕府を興した源頼朝公の源氏のカラーは白だったそうです

スポーツといえばオリンピックの優勝、金メダルに代表されるように、金色が良いのではないかと、近しい黄色で代用し、サブカラーとして鎌倉の海と空をイメージした青を採用することにしました

□鎌倉インテルのエンブレム
クラウドソーシングと呼ばれる方法で、見ず知らずのカナダ人が作成しました
鎌倉ということで、大仏や鳥居とはまったく違う、扇子をイメージしたロゴマークが目に入ってきました

鎌倉七口と呼ばれる7つの切り通しをイメージし、扇子の要にはサッカーボールを配置することで、世界中から鎌倉時代の御家人のように「いざ鎌倉」と称して、たくさんのファンが鎌倉に集まってきて、さらにはその逆に、扇の要から7つの切り通しを経由して、人材やビジネスが育ち、世界へと羽ばたいていく
このクラブのビジョン、想いが詰まったデザインがカナダから送られてきた

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