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25. 誹謗中傷ってやつ。

「酷いじゃない!自分が悪いのになんで裁判なんてするのよ?」

恵美のヒステリックな声に驚き、私は電話口でのけぞってしまった。恵美  は、数年前に裕太の紹介で知り合った女友達だった。

酷い?

酷いことをされたのは私と可奈だけど・・。言い返す間もなく、恵美はまくしたてた。

「紗英がふたりを追い出したんでしょう?しかも虐待までして。可奈ちゃん、会いたいって言わないらしいじゃない!なのに何で裁判なんてするのよ!ちゃんと話し合いなよ!!」

恵美はまるで自分のことみたいに怒ってまくしたてた。そういえば、裕太が帰国直後に行ったイベントには恵美も来ていて、私の悪口を吹聴する裕太に便乗して、皆の前で根掘り葉掘り質問していたと友人から聞いていた。だけどまさか、調停する事まで知っているなんて。私は皆に悪者とされているのか?

恵美の言葉は、ただでさえ弱っている私の心にグサリと突き刺さった。

恵美は裕太の大学時代からの友人で、バーベキューやらキャンプやら、よく企画して遊んでいる仲間の1人だった。私と裕太が知り合ったのも、彼らが企画したイベントだった。私は恵美と仲良くなり、個人的に遊ぶことも多くなっていた。

私達が付き合い始めた時、恵美はとても喜んでくれたけど、結婚が決まったと知るとわざわざ電話をして、「結婚おめでとう!まさか二人が結婚するとはね。裕太、かなでと付き合っていた時は奥手だったのにな~。」なんて、祝ってるんだかなんなんだか、聞きたくもない話を聞かされた。その言葉はずっと引っかかっていたので、ハワイに行ってからは疎遠になっていた。だけど、こんな形でまた繋がることになるなんて。

「恵美に何がわかるの?私だって裁判なんてしたくないよ。」

「自分が悪いのに言い返すなんて、信じらんない!」

恵美は間髪入れずにそう言うと、電話を切った。直ぐにかけ直したけど、何度かけても出なかった。

・・そうか、裕太は私を社会的に制裁して、立ち直れなくさせたいんだ。そういう事か。

私は悟った。

これは、もはや精神的な殺人なのでは?子どもも友人関係も奪って、動けば動くほど、身動きが取れなくさせられている。調停を起こすしか手段はないのに、それすら攻撃材料にされてしまうなんて、どこまで非情なんだろう。

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