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映画桐島部活やめるってよ


最近よく家族でテレビ電話をしています。
お兄ちゃんが死ぬということに再び恐れを感じ始めたそうです。
どんな話の流れだったか忘れたけど

直子って悲しくて泣いたことあるん?

そう聞かれて少し戸惑いました。
わたしの涙は大抵悲しくて、というよりは憤怒から来ています。
喜怒哀楽のチャートが歪なのです。

でもあの時
5年前の梅雨入り
就職活動を終えた頃

お前の人生つまんねえな

就職先について答えたわたしに放ったお兄ちゃんの言葉から流れた涙は怒りからではありませんでした。
就職について上っ面だけ納得していたことを自覚し胸が張り裂けました。


桐島部活やめるってよ、は
暇を持て余した最後の夏休み
DVDを借り一人暮らしの部屋で観まくり
映画の世界に夢中になった
そんな時期に出会い直した1本です。


高校生の頃に一度、家族と観た時はよくわからずポカンとしていたあのシーン

かっこ良くて何でも卒なくこなせる東出さん演じるヒロキの涙
古いカメラを愛おしく持ち、これじゃないとだめなんだと話す神木くん演じる前田の光
前田へのヒロキの羨望

その全てが胸に沈み込み、声を出して泣きました。


その後監督である吉田大八さんが撮った映画を観れるだけ観ました。

クヒオ大佐、パーマネント野ばら、紙の月

どれも夢想的な主人公が現実から逃避している…

それに対して否定も肯定もない

明るくも暗くもない

少しだけ温かい

星空のような優しさに救われました。


どうしようもなく泣いていたあの頃、桐島に再会出来たことに感謝しかありません。
恩人のような特別に好きな映画です。


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