実家の庭の木々や草との苦闘
70歳を超えた両親が住む実家。
庭には木々があふれている。
父が定年し約10年前に新築した当初、木々などは1本も生えていなかった。
大手ハウスメーカーの薦めもあり、シンボルツリーや風よけや目隠しのためにと、ホームセンターの庭木売場から買ってきてせっせと木々を植えたそうだ。
植えた当初、腰高や膝下位だった木々は、年月を経て順調すぎるくらいにスクスクと成長し、今や屋根より高い鯉のぼり状態。木々に囲まれて年々、家の外観が見えにくくなっている。
実家に帰るたびに、夫がギコギコと伐採しているのだが、あまりにもスクスク育つため、「この間、ココの枝、切ったよね?」とデジャヴュを体験すること数知れず。
この日も夫は、駐車場にまで浸食している木々の枝を切ってくれという出動要請を受けた。
駐車場に以前、人感センサーのライトを取り付けたのだが、枝が邪魔してセンサーが反応しないと言う。
それ以前に、木々が浸食しすぎて駐車場に車が停められず、隣の空き地に置かせてもらっている状態...。
実家の敷地は広く、木々さえ無ければ5台位は余裕で停められるのに…。
作業着に防塵マスクとヘルメット、長靴というフル装備で、鋸を携えた夫がギコギコと、まずは、足元の松の枝に刃を入れた。
「あっ!その木じゃなくて、こっちの桜の木を切って頂戴!」
少し離れた所から見守る母(高齢)が指示を出す。
「イヤイヤーお義母さん、まずは足元の木を切らないと。。。こっちの桜の木を切るための脚立も置けないんですよ」
内心、ムカついているだろうが穏やかに返す夫。
「エェー、だってそれ松でしょ?松を切っちゃうのぉ~?ちょっと考えさせて」
この期に及んで躊躇する母(高齢)。
悩んでいる場合か!
これまで、ココに松が生えていることさえ意識していなかったクセに!
この松の枝を切らないと、切るための作業スペースを確保できない。
順序立てて切っていかなければいけないのだ。
しばらく悩んでいた(タイムロス!)が、「しょうがないわね~。あまり切りすぎないようにしてね」と、OKサインを出す母。
「あっ、この木はまだ切らないで!」「ココはもうちょっと生かしたい」など、終始このような横やりが飛んでくるので、この日は一番切りたかった屋根より高い桜の木が切れず仕舞い。
夫にとってはストレスのたまる作業となったようだ。
また次回、実家に行った時に、同じような禅問答を繰り返す夫と母のデジャヴュが体験できるのかもしれない。
それにしても蚊やアリが大発生している。
次回からは、養蜂家が付けているような頭からすっぽり被る面布が欲しいと嘆く夫。
父母の弁明によると、屋根より高い桜は植えてもないのにどこかからか種が飛んできて勝手に生えたらしい(本当か?)。
以前遺品を処分し、絶賛売り出し中の祖母の空き家。
同じく庭に立派な柿や梅の木がたくさん生えており、森のようになっていて外からは家の外観が見えず、隣地を浸食しそうな勢い。
空き家は築50年以上は軽く超えており、ボロボロで住めそうにないため、もしも買い手が現れれば「更地にして引き渡す」ということにしている。
でも、更地にする時に、あのしっかりと根付いた巨木たちを引っこ抜くのは難しいだろうなあ…。
さらに、夫の実家(戸建て)の庭でも草木の勢いが増している。
こちらでは、腐ったネギのような異臭を放つ、根や茎がとても頑丈で太い膝丈位のユリのような謎の植物が庭全体を埋め尽くす。植えたわけではなく、どこかからか種が飛んできたのか、勝手に生えてくるそうだ。
我が家でも、春から夏になると、庭にスギナがそこかしこから生える。
コンクリートの隙間や、土を固めて除草剤を撒いて防草シートと砂利を敷いた所からも、いやおうなしに出てきて、、植物の生命力って凄いなーと感じさせられる。
そんなことを考えていると、車で走るたびに、道路脇に生えている子供の背丈くらいに伸びきった雑草ばかりに目がいってしまう。
「オレ、定年したら草木の伐採を生業にしようかな…道具もそろったし」
我が家や隣地、双方の実家、親族の空き家...と相次ぐ草木の伐採要請に対応してきた夫は、高性能の草刈り機や電動ノコギリなど、必要な備品を一通り揃えてしまっていた。
そして今年は元旦から、2軒の双方の実家の木の伐採に勤しんだ。だんだん手際が良くなっていると自身で感じているらしい…。
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