築40年以上の空き家 売却を目指すも難航 まずは庭の草刈りから

築40年以上の父所有の空き家(木造4LDK一軒家)。
隣人さんから「庭の草を刈れ!」というクレームが出た。

デモ、ダイジョーブ。
我が家には夫という草刈り名人がいるのだ。

夫は、我が家とその隣地、双方の実家の草木を夏は毎週のようにローテーションを繰り返しながら伐採を続けている。高性能草刈り機や電動ノコギリ、防塵マスク、作業着など一式の装備を揃えており、自身も「だんだん手際よくなってきた。定年後は草刈りを生業にしようかな」と言っていたくらいなのだ。


早速、夫に頼んだところ、夫は面倒くさそうに言った。
「エェッーお義父さんの空き家の草刈り?!オレ、ヤダよ~。地元の草刈り業者に依頼したほうが手早いんじゃないの?」

即拒否!

現地へは車で約2時間かかる。
週末に刈った草を、空き家の庭にそのまま放っておくわけにも、現地のゴミ集積場に捨てていくわけにもいかないし、週末は現地の処分場も休みだし、全部車に積めて運べるのか?という問題もある。
草を持って帰るのも大変だ(膨大な草のゴミを車のトランクに入れるのも抵抗が…)。

そもそも、再建築不可疑いがあるくらいの極細旗竿地。車を停めてもドアが開かなくなるから、どこに車を停めればいいのか?(空き家の敷地に面した道路も車一台がやっと通れるくらいの細道路なので、路駐は無理)

さらに、時は真夏。夫は、ただでさえ、毎週のように色々な家をローテーションしながら草刈りしているのに、これ以上は無理、ということだろう。暑さと格闘しながら1人でやるには限界があるか…。

よし、草刈り業者にお願いしよう。

インターネットで調べ、空き家に近い草刈り業者に電話をした。
「ハイ、〇〇造園です」
「庭の草刈りをお願いしたいのですが…」
「ハイ、まず現地に行ってお見積もりをするのですが、今ですと、かなり立て込んでまして、お見積もりを出すのがだいたい1か月後になります」
「エェッ!じゃあ、そのお見積もりにOKをして、実際に草刈りをしていただけるのはいつ頃になりますか?」
「今ですと、2か月位先になりますね~」

草がどんどん伸びる真夏は、草刈り業者が書き入れ時のようだ。
2か月も先延ばしでは、お隣様は怒り頂点に達してしまう(もう達しているかもしれないが)…。

何軒か電話を続けると、ようやく見積もり1週間後、草刈り実施は2週間後に出来るという業者にたどり着いた。気持ち的には、もう見積もりをすっ飛ばして即刻頼んでしまいたい。

…1週間後、草刈り業者からメールで見積もりが届いた。
草を刈って処分する費用は35000円。
真夏は草を刈ってもすぐに伸びてしまうので、除草剤や防草シートを敷いてもらうのも重要。その除草剤散布代は20000円。防草シート施工代は250000円!(にじゅうごまんえん!)

除草剤散布と防草シートは夫がやることにして、草刈りのみお願いしたいと思った。

…そしてもちろん、この費用35000円は空き家の所有者である父に払ってもらいたい。
なので、父に見積もりを見せた。
「草刈りが3万もかかるの?それだったら頼まなくていいよ。オレが後で現地行って母さん(高齢母)と一緒にやるから、放っておいてよ」

…怒…

草刈りを甘く見ないでいただきたい。
70歳を超えた老夫婦が車で2時間かけて現地へ行って、草刈りをして、その草を処分できるとは到底思えない。

待っていたら進まない…。
空き家を売り出すためには、境界杭と接道幅が必要で、そのためには隣人さんの協力が必要で、そのためには隣人さんが怒っている草刈りの対応が必要で(今、ココ!)…
空き家を売るためのスタート地点にもまだ立てていないのだ。

数日後、父には草刈り費は「1万円にまけてもらった」と伝えた。
父は「1万円なら、OK」と即答。
本当は1万円にまけてもらってなんかいない。25000円は私の自腹だ。
こうしないと、いつまでたっても草が刈れない!

3週間ほど経って(見積もりへの返事が遅かったため実施が1週間ほど延びた)、ようやく草刈り業者が草を刈ってくれた。
その日の週末、夫が現地へ行き、除草剤と防草シート(これらも自腹)を敷いてくれた。

作業を終え、帰宅した夫は疲れた顔で言った。
「草は綺麗に刈られていたけど、土が腐っていたよ…長らく草を刈っていなかったから、枯れて腐った草の上に新たな草が生えてまたその草が枯れて腐って…分厚い腐った土の層になっていたよ…変な臭いもしていたし…アレきっと、腐った土の臭いじゃないかなぁ…あと、腐った毛布やパイプなんかがたくさん庭に置いてあった。アレらも何とかしないと隣人さんのクレームになるんじゃないかなぁ。腐った臭いと暑さの中、作業していたから凄く疲れて、それらを処分する気力もなくてそのままにしてきちゃったけどね…」

夫は何度も早口言葉のように「腐った」「草」というフレーズを繰り返したのだった。

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