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タイBL流行から2年、実写BLとファンの今。

タイBLが日本で広く知られるようになり、様々な展開がされてきたこの2年。
私が怒りのnoteを更新してから2年。
あなたにとっては、どんな2年だったのだろうか。

★前回のnoteはこちら

タイBLの日本展開を振り返る

まずは、ここ2年で行われた、タイBLの日本展開を振り返っていく。

・日本語字幕配信
 
以前はファンが有志でつけていたが、大きな作品のほとんどは日本語字幕が公式で配信されるようになった。
 主な放送・配信場所はCS、U-NEXT楽天TVTELASA、など。
 これに伴い、各サイトで韓流・華流がメインだったアジア作品の紹介にタイ作品も加えられるようになった。

・専門誌の発行
 
BE a LIGHT」、「タイドラマガイド D」などタイBL、アジアBLを専門に取り扱う雑誌の刊行がスタート。
 更に、一般の週刊誌や女性誌に取り上げられることも増えた。

・原作、コミカライズの発行
 
翻訳や権利の問題からか、まだ作品数は少ないものの、ドラマの原作となった小説の日本語翻訳版やコミカライズも発売されている。
 専門レーベルである「KADOKAWAタイBL」、「ダリアシリーズユニ」なども立ち上げられた。

・観光庁からの発信
 ツイッターアカウント「タイBLに恋したい!@ThaiBLLovers」の始動、イベント開催など、エンタメを通してタイに関する情報発信や宣伝が増えている。

・業務提携
 テレビ朝日とGMMTVが提携(@tvasahi_thai)し、より日本での作品配信やイベント施行などに力が入れられた。

・展示会、グッズ販売
 上記業務提携に伴い、日本での展示会やそれに合わせたオリジナルグッズが展開されている。
 公式の他、ファン主催でのカフェコラボイベントなどが多数行われ、グッズ配布や現地へのサポートも盛んとなった。

・ファンミーティング
 渡航は難しい為、オンラインでの日本向けFMを行う俳優が続出。
 2022年以降はオフライン(=来日)での開催が徐々に増えていくであろうことが予測される。
 既に海外でのFMは解禁されつつあり、日本でもSingtoや
GMMTVがFMを開催。
 作品単位でも日本FM開催予定の噂はいくつかある。

・日本での活動
 Singtoが日本で公式ファンクラブ「Samoonjaopa JAPAN」を開設。
 この先日本向けの活動を始める俳優が増えるかもしれない。

他にも細かなものはあるかもしれないが、大まかに分類するとこのくらいだろう。
日本の色んな会社が本気を出せば、2年という短い間にこれだけ大きな展開が出来るということだ。
この先はどんな発展が待っているのだろうか?

有料配信の定着

私は正直もう慣れた。

実際、無料で見れるに越したことはないし、今でも日本で配信のない作品はYouTubeやその他海外の動画配信サービスで見ている。
現在は日本で配信がありながらもジオブロックがない作品も存在しているので、利用することもあった。

公式の翻訳がすべて正しいわけではないし、まだまだオタク側の方が詳しい事柄もたくさんあるだろう。
それでも、正式に日本語で見るには、こうするしか方法がない。

私は映像の業界を知らないので、どういった流れで買い付けが行われ、配信サイトが決まり、私たちへ届けられているのかわからない。
でも、日本もタイも、あくまで商売の為に作品は作られているのは確かだ。
日本の会社も、タイの製作会社も、そこにお金を生むには、こうするしかないんだと思う。

タイや中国のように、日本ではweb広告と引き換えにドラマを見てもらう文化は根付いていない。
いずれその流れがくる可能性もなくはないが、現状無料のwebドラマはかなり珍しい部類だ。

その状況を踏まえて、日本でタイドラマを届けるには、やはり配給会社が買い付け、CSやサイトでの配信というスタイルしかない。

サブスクだと無料じゃないから見て貰えない、でも、登録しているサブスクで配信されているからこそ、見てみようかな?と思ってくれる人がいるかもしれない。
そもそも前述したように、日本ではYouTubeでドラマを見る文化がないので、何かを見ようと思ったらまずは自身が登録している映像配信サービスを開くだろう。
そういった層に向けて、案外間口を広げてくれている可能性がある。

結局、今の私たちに出来るのは、ジオブロックの解除を求めるのではなく、日本公式の再生数を増やすしかないのだろう。

サブスク契約はどこですべき?

では様々ある動画配信サイト、一体どこを契約すべきなのか?
各サイトのタイBL配信における特徴や料金を交えて紹介しようと思う。

詳しい配信作品を調べる際には、BL networkというサイトがわかりやすくまとめられているのでおすすめ。

・U-NEXT
月額
:1,639円 / 2,189円
特徴:とにかく配信作品数が多く、独占配信のものも数多くある。
おすすめポイント:独占配信の多さが魅力。

・楽天TV
月額:レンタルor買い切り / 880円(アジアプレミアム)
特徴:独占先行配信が多く、タイ以外のBL作品の配信も多数。
おすすめポイント:買い切りなので契約期間に縛られず楽しめる。ポイント還元キャンペーンを上手く使えるとお得。
※アジアプレミアムはタイBLを見るという観点では契約するメリットは少ない

・TELASA
月額
:618円
特徴:テレ朝との連携があり、GMMTV作品に強い
おすすめポイント:GMM作品が多く、見放題解放も早い。auスマートパスの料金のみで見られる作品もある。

・Amazon Prime Video
月額:
500円
特徴:有名作品が何作か配信されている。
おすすめポイント:タイBLには弱いが、月額が安く、付随する特典の多さが魅力。

私が現在契約しているのは、U-NEXT、Amazon、Netflix、そしてスカパー。
タイBLを見るにあたって必須だと感じるのはやはりU-NEXTだ。
基本、U-NEXTと楽天TVさえあればほぼすべての作品をカバーできる。

ついでに、私は自身が契約しているモバイル会社の特典でU-NEXTが通常の半額だ。(→ mineo / mineo-U-NEXT )
更にそれを友人達と割り勘して、実質月250円ほどしか掛かっていないので、もはや有料だとも思っていない。
U-NEXTの月額たっか~!でもタイドラマが見たい、そして格安SIMに抵抗がない方にはおすすめかも。

日本の独占文化

先に言っておくが、ここで言う”独占”は、”日本独占”の話であって、各種サイトの”独占配信”ではない。
配信サイトの独占に関しては、向こうも商売なので仕方ないと思っている。

タイでドラマが配信される時、イベントが行われる時、国内独占はまずほとんどありえない。
最近はインターファンに優しくない配信形態がないわけではないが、それでもタイだけでしか見られない作品はゼロだと思う。
それこそ商売として成り立たないからだ。

逆に言えば、日本はエンタメが盛んで、海外に頼らずとも自給自足で回していける。

そう、そこが問題だ。

日本の会社にとって、日本で独占配信をすることにメリットがある。
日本国民に特別感を与え、視聴率を上げられるのだろう。
日本がお金を出して作ったのだから、独占するのは当たり前だと、そういうことなのかもしれない。

でも、タイBLに触れてきたファンは、国境は関係なく、皆ですべてのコンテンツをシェアして楽しみたいというスタンスが基本だ。
自分達が今こうして楽しめているのも、本国がどこでも見られるように作品を届けてくれて、イベントを配信してくれて、現地ファンを中心に、たくさんのモーメントや情報をシェアしてくれているおかげ。

タイのエンタメというのは、SNSを中心としながら世界中にファンを広げて、国境を越えて楽しまれている。

違う国の文化を取り入れるのは、日本の会社のビジネス形態では難しいのかもしれない。
でも、日本のファンだって、今まで本国が届けてきてくれた分、他のファンがシェアしてくれた分、日本で作られた番組やイベントをお返ししたいと思う気持ちは、そんなにおかしいのだろうか?

文化やビジネス形態が違う分、どうしてもすれ違いが出てしまうのは仕方ないのだと思う。
それでも、郷に入っては郷に従えではないが、タイの作品を扱うのであれば、現地にもファンにも文化にも、寄り添った展開をしていって欲しいというのが、いちファンの些細な願いだ。

世界的な実写BLブーム

ここから少し話は変わって、タイ以外の海外、そして日本における実写BLの展開について書いていこうと思う。

これは結構予想外だったのだが、現在は日本でも諸外国でも、BL(M/M)の実写作品がかなり増えていて、ブームとなっている。
タイBL、具体的に言うと「2gether」のヒットが一つの要因となっているのは確実だろう。

・日本の実写BL
これまでも、タクミくんシリーズを筆頭に、実写BL作品はたくさんあった。
(ちなみに、タクミくんの放映時点では、既に主演の”大まお”のタイファンがたくさんいた)

しかし、ほとんどが今で言う2.5次元俳優を使ったマイナー映画。
その流れが、今になって大きく変わってきている。

タイで「SOTUS」や「2moons」、中国で「双程」や「上瘾」などが流行していた2016~18年頃、その流れを(知ってか知らずか)いち早く汲み取り、日本で実写BLをヒットさせたのは間違いなく「おっさんずラブ」だ。
その後、2020年公開の映画「窮鼠はチーズの夢を見る」に繋がる。

この2作品はこれまでと違い、有名なキャストや監督を起用した大きな連続ドラマ、映画として公開されたのが特徴だ。
これらのヒットに伴い、2018~20年の間に各所が実写BLを企画し始めたのだろう。
そして2022年現在の日本では、実写BLが盛んに公開されることとなった。

現在は映画よりも連続ドラマの流れが強く、「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」や「美しい彼」、近々だと「オールドファッションカップケーキ」など、商業BL漫画・小説のヒット作からの実写化がメインとなっている。
おそらく、タイBLドラマのヒットに伴い、映画よりもリアルタイムで国外に出しやすく、流れに乗りやすい連続ドラマで製作されているのではないかと思う。

最近は日本の実写BL作品も海外での配信に力を入れるようになってきた。
簡単に海外へ行けない現状だけど、私たちにはインターネットがある。
日本の素敵な作品だって、世界中の人たちにたくさん見て欲しいし、その逆もしかりだ。

・タイ以外の実写BL
「2gether」のヒット以前から、アジア圏では特にwebドラマが多く作られている。
2020~21年頃は、流れに乗ろうとフィリピンやベトナムあたりの作品がありえない数公開されていたものの、再生数が分散してしまい、現在は逆にブームが落ち着いてきている印象だ。

安定してヒット作を出し続けているのは韓国や台湾。
韓国は2020年の「君の視線が止まる先に」、台湾は2017年から続くHIStoryシリーズが火付け役となったのだろう。
日本にも輸入される作品が多く、実写BLファンに定着している。

ヨーロッパに関しては、私も中々情報を取り入れられておらず、知識不足なのだが、このnoteでも取り上げた「SKAM」のヒットが大きく影響しているのは間違いない。
2017年にノルウェーで流行し、その後さまざまな国でリメイクが公開されている。
「SKAM」のように、ドラマの一部にBL要素を組み込んだ作品が多い印象だ。

近年は「ヤングロイヤルズ」、「HEARTSTOPPER ハートストッパー」など、M/Mカップルが主役のNetflixオリジナル作品がヒットし、いずれも続編が決定している。
この辺は今後、個別に取り上げて思う存分に語りたい。

アメリカでのヒットといえば、(合作ではあるが)やはり「君の名前で僕を呼んで」は外せない。
あの作品をBLと区分していいのかは微妙なものの、ティモシー・シャラメの出世作となり、今では引っ張りだこだ。

そして、今1番の注目ニュースは「赤と白とロイヤルブルー」の実写映画。
AmazonPrimeにて公開予定で、まさにこのnoteを書いている現在、リアルタイムで撮影中だ。
更に、ハリウッドの大手スタジオ・ユニバーサルで製作される、初のゲイを主役にしたラブコメ「BROS」も公開を控えている。

アメリカでは規模が大きい映画作品が主流となっているようだ。

これからの実写BLと日本

前回のnoteで、日本の実写BLは今後もクオリティの高い作品が出続けるとは思わない、と書いた。
しかし、2年前に感じていたホモフォビア的な空気感は、案外変わりつつあるのかも、と思えたのがここ最近だ。

それこそ前述したドラマに出演していた日本の俳優さんたちは、お互いや作品を尊重しながら、ファンに接してくれていると思う。
タイのCP売りのような極端なものはなくとも、BTSやインタビューで垣間見える発言などから、不自然に距離を取るのではなく、自然に仲良くやっているのがわかる。

ただ、世界は更に先へ進んでいる。

「ヤングロイヤルズ」に出演したオマール・ルドバリは「自分のセクシュアリティを断定したくない」と話し、「ハートストッパー」に出演したキット・コナーも「自分をカテゴライズする必要もないし、公の場で伝える必要もない」と語った。

これらの発言を見た時、私は日本の10代、20代の活動者の中で、同じような発言を出来る人は一体何人いるのだろうか?と感じた。

もちろん、活動者だけでなく一般人でも同じだ。
異性愛者前提で進めるのではなく、相手のセクシュアリティを勝手に決めつけず、コミュニケーションを図れるようになって欲しいな、と思う。

まずは、私たちファンが活動者に対して、ご本人に届く場所での発言を考えること。
役柄とご本人は別なので、BL作品に出演しているからと言ってむやみに活動者のセクシュアリティについて言及しないこと。

ファンも、制作側も、お互いがお互いを思いやり合って、もっとBL作品を楽しみやすい空気感が作れたらいいな。

さて、このnoteから更に2年後の実写BLは果たしてどうなっているのだろうか。

一過性のブームで終わることなく、今後も色んな作品が見られることを願って。
これからも暖かく見守っていこうと思うので、良ければあなたもお付き合いください。


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