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2020/02/12 dreaming pupa/身軽に

蝶が幼虫から成虫に変わるとき、蛹の時期を経る。蛹の殻を破るとき、まるで全く別の生物に生まれ変わったかのように、姿をすっかり変えてしまう。子供の頃、人間もそんなふうに変われたらいいのにとよく思っていた。明日目が覚めたら、まったく違う自分になっている。そんな妄想をしながら、次の日も変わらない自分のまま生活をする。変わりたいと思いながら、その実、変わらなくてもいいとも思っていたのだと思う。勝手知ったる慣れたところにいるのは楽だから。

変わりたければ、変わればいいのに。

大人になってからも、たいして変わっていない。色々起きた変化は流された結果であることばかりだ。自分で意志を持って変わろうとしたことはほとんどないのかもしれない。

変わらずともそれなりにおだやかな暮らしを送ることができるのであれば、それはそれでよいのかもしれない。瑣事はともかく、今の暮らしに大きな不満もないし、それなりに恵まれた環境にあると思う。この日常を楽しむこともできる。

でも、時折、もっと身軽になって、新たな世界に踏み出したいと思うことがある。今「挑戦」に目が向くのも、そういう思いに起因しているのだろう。現状に変化がほしいのだ。

もう10年前の曲になったけれど、高橋幸宏さんの呼びかけで始まったエレクトロニカバンド「pupa」第2作のタイトル曲に《dreaming pupa~夢見る僕ら~》がある。この曲はこんな歌詞から始まる。

宝物は小さなポケットの中 ひとつだけいれて
口笛響かせ 道なき道ゆく 夢見る僕らは
――pupa《dreaming pupa~夢見る僕ら~》

久々にこの曲を聴いて、新たなことへ目を向けるならばもっと身軽であらねばと思った。これまでの色々をすべて抱えて走るのは難しい。これまでの色々は確かに今のわたしの一部になっている。だから、いつも手許に置いておかずとも大丈夫。手放せるものは手放して、フットワーク軽く、軽快に走ろう。



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