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2019/12/27 カラヴァッジョ展@あべのハルカス美術館

昨日から始まったカラヴァッジョ展を観た。今回、カラヴァッジョによる作品は8点(推定されるものは、これとは別に2点)、彼の手法を用いて表現する追随者「カラヴァジェスキ」たちをはじめとする関連する画家たちの作品を合わせて43点が展示されている。見応え十分、とてもよかった。

展示の流れは、16世紀末から17世紀初頭、カラヴァッジョの生きた時代とその後との3部で構成されている。その中に、所縁のある画家たちの作品も組み込まれている。

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おもしろかったのは、カラヴァッジョ《リュート弾き》の絵のそばに、作中に描かれている楽譜の音を鳴らせる仕掛け(リュートが飾られているところにボタンがあり、押せば音楽がかかる)があったこと。楽譜が読める人は頭の中で音を奏でられるかもしれないが、そうでない者にとっては、作品を味わう手掛かりになる。

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カラヴァッジョ《歯を抜く人》は強烈だった。《聖セバスティアヌス》は美しさのほうに目がいくから気にならないけれど、《歯を抜く人》はもう観る側も痛い。周りがまじまじ見るから余計に痛い。しかもまさに抜かんとしている男の得意顔が腹立たしく、痛さを煽る。すごい作品です。思い出しても痛い。

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カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》は、気に入った作品。定番のモチーフを選びながら、少し外して描くところの絶妙さ。この洗礼者ヨハネは艶っぽくて好きだ。

久しぶりにたっぷりと西洋絵画を観た。描かれているモチーフの読み解きも楽しいし、単純に画家のうまさに舌を巻くのもいい。カラヴァッジョとその周辺の、それまでの中世の作品とは一線を画するドラマチックなのも素敵。写実的な虚構、虚構なのに生々しさがある。現実と虚構の狭間の絵画。「バロック」のおもしろさのように思う。観ていてうっとりする。

会場には、ヤマザキマリさんが描いたカラヴァッジョが登場する。かなりのイケオジぶりで、ついグッズを買ってしまった。こういうのも楽しい。このカラヴァッジョ展は会期中にもう一度観ようと思っている。
会期は2020年2月16日(日)まで。

《補記》貸出国のイタリアの都合で、リーフレット等で予告していたカラヴァッジョ作品2点《ホロフェルネスの首を斬るユディト》と《瞑想するアッシジの聖フランチェスコ》が展示できなくなったそうだ。ユディトは観たかったので、少し残念に思った。カラヴァジェスキのフィリッポ・ヴィターレの描いた同名の作品もよかったのだけれど、ユディトの生々しさはカラヴァッジョには及ばない。カラヴァッジョが描いた、あの嫌悪感たっぷりの生々しいユディトの表情をぜひ実物で観たかったなとは思う。


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