検索戦略の検討やそのテーマで著名な研究者,掲載(投稿)誌などを調べたい
新型コロナウイルス感染症とも変わらずの戦い?共存??が続いている中,先日twitterでお見かけした"Flurona"に関する情報を探されるポスト。(私も少し反応してしまいました。
バタバタしていたのでクイックにUTDの参照できそうな箇所をご案内しましたが,こういうまだ聞き慣れない話題について調べたい時含め,
検索戦略の検討やそのテーマで著名な研究者,そのテーマがよく掲載されている雑誌などを調べるのにも便利なツールをご紹介します。
(と言ってもこのツールを使った場合,自分が指定したキーワードを使って分析した結果であることは念頭に置く必要があります。違うキーワードを使って同じテーマを調べるとまた違う結果が返ってきます)
PubMed Pub ReMiner PubMedの検索結果をテキストマイニグして分析した結果を表示してくれるツールです
ここに,"Flurona"と入力して,[Search with Manual Adjustment]をクリックします。
2022年10月15日時点ではまだ3件しかこのキーワードを含む文献はPubMedには索引されていません。
本当に3件なのでしょうか。
ここで私が使うとき注目するのは画面下の部分の中央付近"Word"やMeSHの列に表示された分析結果です。
"Flurona"しかキーワードにしていないので当然ですが,
Fluronaと言うキーワードで3回出現 (3件の文献)
COINFECT * 15回出現 (2件の文献)
COV,COVID,INFLUENZA,SAR * 6回出現(2件の文献)
VIRUS 3回出現(2件の文献)
とあります。(個人的にはこの出現回数はどうカウントされているか自信がありません。自分で数えた数と違うことが多いので。PubMedに索引されている情報がマイニングされたテキストデータの結果で評価しているのかもしれません。私見)
*は語尾変化を表します。(coinfect*はcoinfection, coinfected, coinfect ….など)
また,一度PubMed Pub ReMinerで検索した後,画面上の [Go to Pubmed with query] ボタンから入力したキーワードでそのままPubMedを検索することもできます。
ここに挙がった表現を検索で追加するキーワードの参考にして,検索を検討してみましょう。
それぞれの単語に設定されているリンクからも検索に追加することができます。[COINFECT *]のリンクの個所をクリックしてみると
クエリーボックス,FLURONA の後ろに"AND ((COINFECT OR COINFECTED OR COINFECTION))"が追加**されて再検索されました。
最初の3件から1件減ってしまいました。
また,同じWordの個所を見てみると8つの単語いずれを追加しても,検索結果は変わらないという表示になりました。ではここに挙げられているword(やMeSH)で検索戦略を考えてみます。
(#)の列が赤字になるとその行のキーワードを検索に追加しても,結果は変わらないということを意味します。
** この画面から追加する場合,論理演算子が1パターンでのみしか追加できないので,一度検索語を追加した後自分で調整する必要があります。
整理すると(これがベストではなく,一例です。他の考え方もまた正解だと思います)キーワード検索部分については
A: 新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスに関する文献集合("COV", "COVID", "SAR*"をORでつなぐ)
B: インフルエンザに関する文献集合
C: 同時感染に関する文献集合
をA AND B AND C (インフルエンザと新型コロナに同時感染)で作り,D:"FLURONA" (インフルエンザと新型コロナに同時感染した状況)の文献集合を ORでつなぐなどの考え方もできそうです。
これらのキーワードだけで再検索してみると297件に増えました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=(Flurona OR ((COINFECT*[TIAB] OR COINFECTED[TIAB] OR COINFECTION*[TIAB]) AND influenza[TIAB] AND (COVID*[TIAB] OR COV[TIAB] OR (SAR[TIAB] OR SARS*[TIAB]))))&sort=pubdate
MeSHも同様に集合を作って,再度検索してみるとまたよりピントの合った文献が見つかるかもしれません。
SRの検索に限らず,困ったときに試してみるとヒントになるかもしれません。
ここまでは検索に活かす使い方をまとめましたが,PubMed Pub ReMiner のほかの項目も参考にできるポイントがあります。
最初に書いたように,自分が指定したキーワードを使って分析した結果であることは念頭に置く必要がありますが(違うキーワードを使って同じテーマを調べるとまた違う結果が返ってきます),同じような論文を執筆し投稿先(候補)を検討する際,ここで上位にある雑誌を参考にするという使い方もあります。
ハンドサーチで調べる際にも,この掲載誌の上位が入手可能でしたら対象誌選定の参考にしてもよいかもしれません。
著者の分析結果から,このテーマで論文を書いている研究者の確認として参考にもできます。
substancesやpublication typeをみると,そのテーマでどのような物質の観点から研究がされているか,どのような論文種別で投稿されているかなどの動向を確認することができます。
もしご所属の機関でWeb of ScienceやJCR,SCOPUSなどの契約がなく利用できない場合にはこのような視点で参考として使ってみることもできるかもしれません。
くどいほど言いますが,Web of ScienceやJCR,SCOPUSとは分析の方法が異なりますので,あくまで活用事例としてご紹介しました。
最後まで言いますが,自分が指定したキーワードを使って分析した結果であることを心にとめてご活用ください。
なお,今回はデフォルト設定での使い方をご紹介したので,Helpを確認の上,いろいろ試してみることをお勧めします。
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