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4月5月に観た映画・ドラマの話

先月末公開の作品を含め、ここ最近は興味のあった映画が連続していたので足繫く映画館へ通っておりました。シリーズものの過去作は配信で観ていますが、やはり劇場の環境で得られる体験とは比較にならないなと実感します。

本文は映画作品の感想noteですが、あまり楽しめなかったタイトルについては、自分の中で何が引っかかったのかを洗い出すためストーリーの根幹に言及する場合があります。あらかじめご承知おきください。


ナイトメア・アリー

「パシフィック・リム」「シェイプ・オブ・ウォーター」ギレルモ・デル・トロ監督によるスリラー。主人公を囲うように配置された3人の女性という構図が目を惹くデザイン。

あらすじは以下の通り。

ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる青年スタンがたどり着いたのは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。そこで読唇術の技を身につけたスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器にトップの興行師(ショーマン)となるが、その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。

(※公式サイトより引用)

今年公開された映画の中でも上位に入るほど個人的には好みの作品。やっぱりデル・トロ監督の画作りのセンス・こだわりようには惹き込まれますね。シンプルな主題でストーリーの導線を引いてくれるため、美術や衣装をはじめとする視覚から入る情報を堪能できました。
私は原作小説や過去に映画化されたバージョンは通っていませんが、今回の映画化はそのシンプルな主題(※欲に溺れた者の末路)を魅惑的に表現する監督の手腕が光った作品だと思います。

獣人に小人といったフリークスが見世物のサーカス団は監督が得意とする特殊メイクと相性ばっちりですし、その説得力のある映像からは、娯楽として消費することが憚られる興行を、我々も登場人物と同様に好奇の目で覗き見しているのだという背徳感も強く感じられました。

また主人公のスタンを演じるブラッドリー・クーパーのいかにも小悪党的な演技も良かったです。その場凌ぎの嘘を重ねることで成り上がっていく、ピカレスク的な緊迫感が破裂する瞬間を今か今かと期待する、そんなタイプの作品です。

奇妙なサーカス団というインパクトのある舞台やラストの展開を含め、個人的にですがダレン・シャンにも通ずるところがあるな感じました。そういったゴシック要素が好みであれば、間違いなく気に入ると思います。

イギリスの小説家ダレン・シャンによる同名のダークファンタジー小説。
2009年に映画化もされましたが…。



ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス

アベンジャーズで知られるMarvel Cinematic Universe最新作にしてドクターストレンジの2作目。
主演はベネディクト・カンバーバッチ。

あらすじは以下の通り。

危険すぎる禁断の呪文によって時空を歪ませてしまったストレンジは“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉を開いてしまう。何もかもが変わりつつある世界を元に戻すため、盟友の魔術師ウォン、そしてアベンジャーズ屈指の強大な力を誇るスカーレット・ウィッチことワンダにも助けを求めるが、もはや彼らの力だけではどうすることもできない恐るべき脅威が人類、そして全宇宙に迫っていた。その宇宙最大の脅威とは、、、なんとドクター・ストレンジと全く同じ姿の人物で「宇宙への最大の脅威はお前だ」と不敵な笑みを浮かべていた…。

(※YouTube概要欄より引用)

2022年を代表するエンタメ体験こと「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」から数か月、またもやAAAタイトルがスクリーンに登場。

副題の通り、今回のテーマは無限の可能性を秘めたマルチバース(いわゆる平行世界)。別作品で登場していたヒーローが全くの別人として現れたり、あるいは既に死んでいたり……あらゆる事が起こり得る世界が舞台となります。

本作の見どころは何といっても前作に負けず劣らずの圧倒的な映像美にあるでしょう。MCUシリーズとしては実に3年ぶりとなるIMAX 3D上映を実施するほどの力の入れようですし、私も久しぶりに3Dメガネを付けて堪能して参りました。

PVにもあるように様々な文化を形成する平行世界が登場し、またストレンジと同門の魔術師であるウォン、強大な超能力を操るワンダたちによる魔術戦はまさにスクリーンで観るべき映像体験です。

またアメコミファン的には、かつてスパイダーマン3部作で監督を務めたサム・ライミが再びアメコミ映画の監督をするということで期待も高かったと思いますが、ルーツをたどればホラー映画を多く手掛けてきた人物。劇中でもその手腕が遺憾なく発揮されていますので、ある程度の心構えをしておいた方が良いかもしれません。

注意点という意味では、本作のタイムラインはスパイダーマンNWHの直後であると同時に、ディズニー+で配信中のドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」を踏まえたうえでのストーリーになっています。
Twitterの反応を見るにワンダヴィジョンを見ずとも楽しめるという意見もあるようですが、本作のワンダへの見方がガラッと変わる可能性があるので、できれば視聴することをおすすめします。

また本作はドクター・ストレンジの物語としては文句なしに120点の出来だと思いますが、ワンダの扱いについては非常に残念と言わざるを得ませんでした。
これまで何作もMCUに関わったメインキャラクターですし、ワンダヴィジョンではついに主役に抜擢されておきながらこの描写だったので、あまりにも勿体ないというのが正直な感想です。色々な事情があるのかもしれませんが、あのドラマシリーズで描かれたワンダの苦悩と決断は何だったのか。

とはいえ若き新ヒーローのアメリカ・チャベスおよびそれを演じるソーチー・ゴメスはとても魅力的でしたし、スパイダーマンNWHでは見られなかったメンターとしてのストレンジとの掛け合いも素晴らしかったので、今後の活躍にも期待したいですね。


ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

「ハリー・ポッター」と世界設定を同じくするファンタスティック・ビーストシリーズの3作目。

あらすじは以下の通り。

魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、そしてなんとマグルと寄せ集めのデコボコチームを結成!  史上最悪の黒い魔法使い、グリンデルバルドに立ち向かう!  そして明かされる、ダンブルドアとその一族に隠された誰も知らない秘密とは——!?

(※YouTube概要欄より引用)

シリーズ通しての宿敵グリンデルバルドを演じてきたジョニー・デップが降板する騒動もありましたが、代役にマッツ・ミケルセンが抜擢され無事に公開された本作。
色々と思うところがあるファンも多いかもしれませんが、さすがに人気作品なだけあって映画としてはなかなかのクオリティだったのではないでしょうか。

こちらがマッツ・ミケルセンが演じるバージョン。
これまでジョニー・デップが演じてきたバージョン。

個人的には有無を言わさぬ威圧感のあったジョニデ版も好きですが、本作におけるダンブルドアとの確執の描かれ方からすれば、どこか陰りのある、セクシーさを感じられるマッツの演技がハマり役でした。
むしろ役者が交代になったからこそ、ジョニデ版の印象を踏襲せずにガラッと雰囲気を変えてきたことが良い方向に作用したのでしょう。
なにせ本作は冒頭からジュード・ロウ演じるダンブルドアとグリンデルバルドの濃厚な演技合戦が始まりますからね。

キャストの演技力はもちろんですが、魔法ワールドらしい独特の文化圏が垣間見えるロケーションやファンタビならではの魔法動物たちも素晴らしいCG技術で表現されていますので、映画館で観ることができて良かったなと思います。

ただ、ピンポイントで刺さる要素こそあれど、個人的には納得のいかない要素が多かった作品でもありました。

まずは主人公であるニュートおよび魔法動物の存在感の薄さです。本作はダンブルドアとグリンデルバルドの激化した対立構造がメインのため、正直な印象としてはニュートの主人公らしい活躍や成長が感じられなかったのです。
魔法動物学者としての知識が物語上の決定打になるようなことも無かったと思いますし、魔法動物たちの活躍が少なかったなと私は感じてしまいました。
これまで少なかった兄テセウスとのコンビ的な冒険や、擬態のために機転を利かせたダンスは好きなんですが、その一連のシークエンスが本筋に関わってこないんですよね…。

この2人が並んでるだけで好き。

その他にもわざわざ結成した魔法使いとマグル(非魔法使い)の混成チームを率いるダンブルドアの作戦も一つ一つが繋がりませんし、前作で敵に寝返ったクイニー関連のエピソードもかなり粗雑だったと思います。

かつては親友以上の関係でありながら今は敵対しているダンブルドアとグリンデルバルドや、輝かしいキャリアを持つエリートの兄テセウスと内気で人付き合いが苦手な弟のニュート、というようにキャラクターの関係性はどれもツボを押さえたものなだけに、キャラクター描写に粗があるとどうしても気になってしまいますね。

本シリーズは全5作を予定しているとのことなので、今後どうなっていくか楽しみではありますが、これ以上ストーリーの規模が大きくなってしまうとニュートや魔法動物たちが活躍する余地は無くなってしまうようにも思うので、過度に期待せず待とうと思います。


その他作品

以下、ザックリと紹介

アンビュランス

「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイ監督最新作。
上映時間の半分はカーチェイスをしているようなぶっ飛んだクライムアクション。
ジェイク・ギレンホールのヒステリックなキレ演技とベイ監督こだわりの火薬量は流石です。


モービウス

「ヴェノム」と同じくSONYが展開するSony's Spider-Man Universe最新作。主演のジャレッド・レトとヴィランを演じるマット・スミスの演技力に脱帽。
ただ期待は超えなかった印象。予告で色々と見せすぎですね。


ヒットマンズボディガード

ライアン・レイノルズサミュエル・L・ジャクソン主演のコメディ強めなアクション。共演にゲイリー・オールドマンサルマ・ハエックと豪華キャストが揃う。
「エクスペンダブルズ3」と同じ監督と知って納得のクオリティでした。


ヒットマンワイブズボディガード

上述の作品の続編。共演者にアントニオ・バンデラスモーガン・フリーマンを迎え更にパワーアップしたお下劣アクションは最高。


Free! the Final Stroke 後編

京都アニメーションが手掛ける人気シリーズの最終章。足掛け9年、お疲れ様でした。内容はTVシリーズの方が好みだったので本作の展開はあまりピンと来ませんでしたが、今回も桐嶋兄弟の絆がアツかったのでオッケーです。


男たちの挽歌 4Kリマスター版

初体験の香港映画。さすがに演出で古く感じる部分はあれど、極道に生きる男たちの罪と正義、欲望をこれでもかと詰め込んだあまりに濃密な90分に感動しました。
弟を養うために極道の道を選んだ兄と、そうと知らず警察の道を歩む弟がやがてぶつかり合う悲壮感たるや。


ワンダヴィジョン

MCUドラマシリーズの第1弾。死んだはずのヴィジョンとワンダが仲睦まじく夫婦生活を営む様子がシットコム風(シチュエーションコメディ)に描かれる。
新ヒーローや懐かしのサブキャラクターの登場もあり見応え抜群でした。


ロキ

MCUドラマシリーズ第3弾。かつてはアベンジャーズと敵対した人気ヴィランが、タイムトラベルをしながら様々な事件に巻き込まれていくというあらすじ。
こちらもマルチバースを舞台にしているので、「ドクター・ストレンジMoM」に負けず劣らず重要な位置づけの作品になっていると思います。
シーズン2の制作も決定しているので楽しみですね。


最後に

ストレンジ2の公開に間に合わせるべくいよいよディズニー+に入会してしまいましたが、相当な量のコンテンツが入ってくるのでやはり資本がある企業は違うな…と感じますね。2月に公開されたばかりの「ナイル殺人事件」がもうサブスク入りしていたのにもビックリです。
ディズニーが出資していたとしても、せっかくの映画作品は配信限定にせずに今後とも劇場公開してほしいですね。

6月以降はまだ観られていない「シン・ウルトラマン」「トップガン マーヴェリック」等を鑑賞する予定です。どちらも評判良いようで期待が膨らみますね。
それではまた次月に。

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