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「モデルノロジー」とは何か?

以前にもご紹介した通り、
毎朝5分の朗読を聴くことができる
「五十嵐いおりのオンラインサロン」
というサービスを利用しています。

一昨日、昨日と、
彼女が朗読してくれたのは、
黒澤明と共に日本を代表する映画監督
として名高い小津安二郎の書いた
エッセイ『車中も亦愉し』でした。

電車の中で、様々な考え事をしたり、
周囲の人間観察をしたり、
思考があちらこちらへと飛び、
目まぐるしく変化する様子を自らが
振り返っている内容
だったのですが、
突如として聞き慣れないフレーズ
私の興味を惹いたのです。

そのフレーズが、
「モデルノロジー」
でした。

文脈と、「モデル」という言葉から、
模倣を体系的に整理した学問のこと
でも指すのかしら?
などと思いましたが、兎にも角にも
初耳なので、まずはGoogle先生に
頼ってみます。

〘名〙 (洋語modernology) 現代の世相・風俗などを調査・分析・考察する学問。考現学。

出典:『精選版 日本国語大辞典』

「考古学」に対置される形で
「考現学」という名称があり、
その英訳という位置付けらしき
言葉だと分かりました。

「模倣」という推測は、残念ながら
完全にハズレでしたね。

それはさておき、
この「モデルノロジー」という
営みは、マーケティングを生業にする
人間が普段やっていることそのもの

ではないか、ということにイヤでも
気付かされます。

今という世相をじっくり観察して、
一体何が流行っているのか、
人々は何に関心を持っていて、
どんな気分で過ごしており、
何を提示すれば喜んでくれそうか、
そういったことを調べ、考えるのだと
いうのですから。

この「考現学」自体は、1920年代に
既に提唱されていた学問
だと考えると、
実はマーケティングの歴史とさほど
差がありません。

とはいえ、今や「モデルノロジー」や
「考現学」といった言葉は、
一般人にとっては耳なじみのない言葉
なってしまっており、すっかり人口に
膾炙した「マーケティング」とは
格が違う
のも事実でしょう。

そもそも、「モデルノロジー」が
カバーする「調査、分析、考察」だけが
「マーケティング」ではありません

もっと広範な意味を含む概念なので、
はなから勝負になっていないと
考えるべきかもしれませんね。

小津さんに話を戻すと、
彼は電車の中で、その手の
「モデルノロジー」的な営みを、
頻繁に、愉しみながらやっていた

ということのようです。

そういった人間に対する興味・関心、
鋭い観察と深い洞察
などが、
映画監督として名を成すに至った
要因の一つ
であったことは間違い
ないところでしょう。

電車の中やホームも良し、
自分がいつも歩く道も良し、
よくいくお店でも良し、
いわゆる「定点観測」的な営みは
必ずや役に立ってくれる
のに
違いありません。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。