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続く値上げラッシュをどう乗り切るか

気候の急変などで、野菜の価格が急騰する
ことはこれまでも頻繁に経験してきた。

しかし、ここ最近の値上げラッシュは、
コロナ禍により世界的にサプライチェーンが
寸断
されたり、ウクライナ戦争等の影響で
石油価格が高騰したり、円安の急激な進行
あらゆる輸入物資の価格が値上がりしたり、
複数の要因が重なった末に起きている。

東京都区部の消費者物価指数は、30年ぶりの
高い数値として、2.8%の上昇を示したことが
発表されたが、実感ベースでは10%程度
上がっていてもおかしくないと感じている。

円安だけを考えても、ここ1年で20%以上
対ドルのレートが下がっており、
それだけ原材料調達価格が高騰している
わけだ。

消費者に転嫁しないのならば、
自分たちが利益を削るしかない。
しかし、安易に利益を削れば、株主ら
投資家に対して顔が立たないし、
従業員に対して不安を与えることにも
つながるだろう。

状況がまた急に逆に振れることも
考えられなくはないが、
より一層首を絞める方向に進むリスクも
また考えておかねばならない。
となると、しばらくは値上げラッシュが
続かざるを得ない
のではなかろうか。

昨日の日経で、社長100人アンケートの
抜粋からということで、値上げに対して
大企業の社長さんたちがどのように考えて
いるかをかいつまんで紹介していた。

この記事が、どこまで全体の傾向を代表して
いるのか、今一つ掴み切れなかったが、
概ね皆さん「値上げやむなし」という
ところではないかと感じ取った。

故・稲盛和夫さんの
「値決めは経営」
という名言がつい頭の中を駆け巡る。

安易に値上げをすれば、消費者にそっぽを
向かれる。
だからと言って、安売りに走れば、十分な
利益を確保できずに、安定した経営を継続
することが難しくなる。

消費者が喜んで買ってくれて、
それでいて十分な利益が確保できる、
ギリギリの一点を突く。

その一点を見定める苛烈なプロセスこそが
経営である、そのような趣旨を、
稲盛さんは著書で訴えている。

「マーケティングの4P」の一つが
「Price」即ち「値決め」であり、
これはマーケティング戦術のうちの一つ
位置づけられる。
それゆえ、値付けが経営そのものだとは、
いくら何でも大げさすぎるでしょう!
と稲盛さんに反論したくなる気持ちが
なくもない。

とはいえ、稲盛さんのポイントは、
先の「ギリギリの一点」を決めるに至る
プロセスの中で、消費者が持つニーズを
踏まえ、それによく応える
一方で、
自分たちも利益を最大化すべく血のにじむ
ような努力でコストを抑えて製造する

この両者を極限までおやりなさい
そういうところにありそうだ。

即ち、「値決め」という意思決定を成功
させるためには、経営における枢要な
ポイントを確実に押さえることが不可欠
なのだ。
詰まるところ、「4P」は相互に補完関係
あり、どれか一つだけ上手くやればいい
というものではなく、全てが一貫性を以て
統合されていなければならない
のである。

こういう時こそ、本当に経営活動に
ムダがないかを突き詰めて、
値上げをするにしても最小限にとどめる
努力をどこまでできたかが問われるので
あろう。
消費者は、価格に敏感だし、何より賢い。
「便乗値上げ」などと言われても、
自信を持って否定できるだけのことを
したいものだ。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。