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コンパで従業員の気持ちを一つにする

稲盛和夫さんの著書や、雑誌あるいは
Web記事の特集などを通じて、彼の
経営力のエッセンスを日々学んでいる。

日曜日の朝、読書勉強会で著書を輪読
していることもその一つだ。
現在は、「稲盛和夫とその門下生たち」
なる副題がついていて、ご本人だけで
なくその門下生のエピソードが後半に
紹介されている『経営者とは』という
本を読み進めている。

先日、この本に出て来たブックオフの
創業者・坂本孝さんのエピソード
紹介させてもらった。

この後に出て来る他のエピソードも、
非常に興味深いものばかり。
より自分の頭の中に沁み込ませる、
浸透させる目的
にはなるが、
ここで簡単に紹介させてもらい、
読んでくださった方にも何らかの
刺激になればと思う。

鳥取県米子市で車のガラス販売を
手掛ける株式会社ダックスを経営する
大畑憲氏は、自他ともに認める熱烈な
稲盛さんの「追っかけ」
だった。

旧本社の社屋に「稲盛和夫の部屋」
作り、全著書、全映像作品を揃え、
由緒ある品々を飾り、パネル写真が
壁一面に飾られているという。

そんな「追っかけ」に至った契機と
なったのが、知人に借りた稲盛さんの
講話を収めたテープだった。

事業は割と順調に伸びていたものの、
人の問題でずっと苦労し通し。
思うような人材が採用できず、
定着率も悪い。

そんな折に、稲盛さんが講話の中で
事業の目的を「従業員の物心両面の
幸福の追求」
だと述べていたことに
ガツンとやられた。

以来、稲盛さんが言っていることは、
有無を言わさずまずやってみた。
「受け売り」と揶揄されつつも、
開き直って社員を巻き込んだ。

中でも、「稲盛流コンパ」の実施が、
一つの大きな役割を果たした様子。

「コンパ」と聞くと、「合コン」などと
いう懐かしい言葉を思い出す。
元々の語源は、英語で「仲間」「連れ」
などを意味する「Companion」だと
思い込んでいたが、ググってみると
「Company」が語源とあった。
つまりは「会社」と同じ単語で、同時に
「会合」とか「交友」という意味がある
ので、そちらの意味合いで使われている
ということになる。

少々話が逸れたが、社内でコンパを催し、
酒の力、場の力を借りつつ、社員同士が
ホンネで語り合う場
を作った大畑氏。
やがて、あほらしいと批判して去る者も
出た
が、残った人間はみるみるうちに
成長するようになった
のだという。

ただバカ騒ぎするのでなく、きちんと
テーマを設定して、大真面目に議論する。
ホンネでぶつかることで、信頼関係が
グッと深まる。

確かに、この手のやり方に違和感を感じて
去る者が出て来るというのは分からなくも
ない。
「昭和」的な、今どきでは決してない、
何とも古臭いやり方だと考える向きも
あるだろう。

しかし、社員同士の結束力を高め、
一丸となって良い仕事をするために、
このコンパが「リトマス試験紙」のような
役割を果たした
と言えるのではなかろうか。

もちろん、酒などなくても信頼関係は築ける
だろうし、コンパでなくてもお互い気持ちを
通い合わせる方法はある。
たまたま、大畑氏の会社では稲盛流が
ハマったというに過ぎないのかもしれない。
それでも、これは一つのやり方として、
確かに機能した。

最も重要なことは、社員が思いを一つに
して、良い仕事に邁進すること。
社長が旗を振って「こっちへ行くぞ!」
と言っているときに、素直にその方向へ
一緒に歩みを進める人が集まり、
みんなでその方向へと向かうことが、
何より大切なのだ。

以上、「門下生」の事例その2の
簡単な紹介を終わる。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。