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「戦略の階層」という考え方

昨日の続きというか、
昨日の前提というか、
とにかく今日も続けよう。

戦略も戦術も、どちらも重要だ。
どちらが欠けても、宜しくない。

戦略のない戦術は、糸の切れた凧。
効率が悪く、無駄に骨を折ることと
なり、現場はすぐに疲弊する。

戦術のない戦略は、絵に描いた餅。
聞こえは良いかもしれないが、
実践が伴わず、戦果があがらない。

それゆえ、
「戦略と戦術はセットで考えよ」
などと言われるのである。

この「戦略」周りの考え方を、
より丁寧に、深く掘り下げた結果、
「戦略には階層がある」
ということに気付き、理論化して
いったのが、ミアシャイマー、
グレイ、ルトワックといった
軍事戦略の研究をしている学者。
そして、グレイに師事し、日本で
現在活躍されている奥山真司さん
である。

この本は、そんな「戦略の階層」
戦争ではなく個人の生活に応用したら
どうなるか?
という視点で書かれている。

Amazonのレビューを見ると、
全体的な点数は高いものの、
賛否両論の「否」も結構根強くある
様子。
だが、自分の生活に「いいとこどり」
して応用する分には、非常に役立つ
本と言ってよいのではないか。

ピラミッド状の7階層の図が、
91ページに出て来る。
この図にある内容を、
以下に引用させてもらおう。

世界観(Vision)
政策(Policy)
大戦略(Grand Strategy)
軍事戦略(Miritary Strategy)
作戦(Operation)
戦術(Tactics)
技術(Technology)

この本は9年前の本であり、
その後著者が理論を深化させた
内容を伺う機会があった際に、
上の3つと下の4つとは質的に
異なる点があることを知った。

それは、上の3つが古代ギリシャで
「将軍の術」≒「戦略」
として捉えられてきた範囲、
下の3つが、同じく古代ギリシャで
「兵士の術」≒「戦術」
の範囲であるということだ。

そして、上の3つは「平時」に
考えておくべきもの

下の3つは「戦時」に実際に
行動に移すもの

という区分もできるのだ。

昨日の記事中、下記のような文を
書いた。

「戦略」の失敗を「戦術」で取り返す
ことはできない。

そんな言われ方をすることもある。
これは、よくよく肝に銘じておくべき
話である。
小手先の「戦術」でどれだけ上手に
立ち回れたとしても、
より抽象度の高い「戦略」レベルで
オセロがすべてひっくり返る

そんなことが実際に起こるのだ。

これを先の話に重ね合わせるなら、
「平時」に政策や大戦略レベルで
失敗したことは、
「戦時」つまり現場たる戦場で
どんなに頑張ってたところで、
取り返しがつかない
ということ。

どんなに腕っぷしが強い男がいても、
事前に銃を用意して、襲われる前に
撃ち抜く準備をしてきた相手には
まず敵わないだろう。

長期戦に持ち込むと決めたにも
かかわらず、食料補給の準備、
つまり兵站が十分ではなくて、
戦線の兵士を餓死させる。
そんな間抜けなことが戦場で
起こったならば、それはやはり
戦略の失敗であり、現場の作戦
レベルでどんなに頑張ったところ
で、二進も三進もいかないだろう。

日本人は、ともすると「現場重視」の
掛け声の下、「兵士の術」としての
「戦術」重視に偏りすぎるきらいが
あると思われる。
しかし、それではより上の階層で
戦いを仕掛けてくる国に対して
圧倒的に不利。

抽象度を上げて考える。
上げてから、また下に戻って
具体的な戦術を考える。
そのひと手間を惜しまない。


そんな意識を持つところから、
「戦略」に強くなれるはずだと
考えている。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。