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プロムナードって何?

ちょっとした手続きで、管轄の区役所へ。
その前後で通りかかった看板に見つけた
「プロムナード」の文字。

「遊歩道」という意味だろうと、
看板から容易に推測することが可能だが、
正確にはどんな意味だっただろうか?
ということで、念のため調べる。

散歩。
散歩道。遊歩道。

デジタル大辞泉

散歩。散策。逍遙(しょうよう)。
そぞろ歩く道。散歩する所。遊歩場。

精選版 日本国語大辞典

という説明がある。
元々はフランス語である。

Wikipediaを見ると、この本来の語義から
発展して、
・短距離を気楽に乗るための自転車の形態
・野外の広場や庭園などで行われていた演奏会
・アメリカやカナダの高校で学年末に開かれる
 フォーマルなダンスパーティー
などの意味があることも分かる。

写真の看板に話を戻すと、
なぜわざわざ「プロムナード」などと
こじゃれた名前にしているのだろうか、
そんなことが気になった。

「遊歩道」でいいではないか。
「お散歩道」でもいいかもしれない。
「公園への小径」なども風情がある。

もちろん、カタカナの「和製外国語」を
使うのが全てダメだとは言わない。
日本には元来なかったものを表現する
には、外国語をそのまま使う必然性が
ある場合だって沢山あるだろう。

しかし、「プロムナード」には、
それにあたる日本語が既にある。
しかも、なぜかこれはフランス語で、
最もメジャーな外国語として使われて
いる英語ではない。

フランス語の「散歩道」には、何か
豊かな歴史的背景とか文脈があって、
あえてフランス語のこの単語を使う
必然性がある
のです!
という事情があるなら分かる。

しかし、ざっと調べた限りで、
そのような事情があるとも思えないのが
正直なところ。

外国人にも分かるようにするために
外国語を使っているのです!
という反論ができないのは、
看板を見てもらえれば一目瞭然。

それをしたければ、鉄道会社のように
駅名表示で英語を併記
すればよい。
近年では中国語とハングルまで併記して
いて、個人的には「やりすぎ」、過剰な
親切だと考えているが。

結局のところ、なぜ「プロムナード」
なのかの答えは分からない。
だが、このページを見て少しだけ
分かるような気がしてきた。

(冒頭略)車を気にせずに安全に歩けるというだけでなく、タイルできれいに舗装したり植栽を施したり、ベンチや街灯などおしゃれなストリートファニチャーを設置することによって、ただ単に歩くという目的以上の潤い豊かな散策空間となっていることが多い。大型複合商業施設や、高層ビルが立ち並ぶオフィス街などでも、積極的に取り入れられている。
大規模マンションにおいても、広い敷地内にプロムナードを設け、四季折々の草花や木々を植えたり小川をつくったりして季節感あふれる空間を創出しているものが少なくない。特に都心部に立地するマンションの場合、こうしたプロムナードが自然を身近に感じられるオアシス的な存在になる。景観的な美しさはもちろん、より快適なマンションライフを演出する付加価値のひとつとして、ぜひチェックしておきたい要素といえよう。

SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典より(太字は筆者)

住宅メーカーが「快適なマンションライフ」を
演出
するべく、語感の響きが良いこの単語を
実際にマンション内に使ってきたようだ。
こうした動きと軌を一にして、
何となくイメージが良いという理由で
「プロムナード」と命名したのだろう。

普段あまり意識していなかったが、
街中を探せば、「プロムナード」と命名
されている遊歩道が、思いの外たくさん
見つかるに違いない。
冒頭の看板は、私の個人的な違和感ゆえに
「悪目立ち」しただけなのかもしれない。

最後に、余興で一句。

蝉忙し プロムナードの 木陰かな 


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。