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「ただもの」ではないもやし

「深谷」と聞くと、真っ先に思い出すのは
「ねぎ」である。
埼玉県の北部、もう少しで群馬県という
深谷市は、2021年にNHKの大河ドラマで
取り上げられたばかりの渋沢栄一の故郷
としても有名な場所。

そんな深谷に、飯塚商店という興味深い
会社がある。
取り扱っているのは、もやし

大量生産された、ひとパック20~30円
買えるもやしは、エンゲル係数を低く
抑えたい家計のサポーター。

このもやしを、ひとパックなんと200円
という強気の値付け
をしながら、
市場でしぶとく生き残り、
ファンを獲得しているのである。

社長の飯塚雅俊さんの随想を『致知』
読んで初めてその存在を知ったのだが、
一時は本当に潰れそうだった様子。

価格競争に勝てず、機械を導入した際の
借入金で首が回らない。
父親が倒れて跡を継ぐも、販売量が激減
して最盛期の5分の1にまで落ち込んだ

というから、その惨状は想像するだけで
恐ろしい。

転機になったのが、地元の直売所で、
真剣に生産者としての思いを消費者に
直接ぶつけた結果、飛ぶように売れる
経験
をしたこと。

それまでは、大手小売のバイヤーしか
見えていなかった。
最終消費者であるお客様の声に耳を
傾けていなかった。

実はその消費者が「本当によい食材」
望んでいることに気付けたのだという。

20円、30円で売られている
「効率重視」のもやしに比べれば、
飯塚商店のもやしは確かに高い。
高すぎる。

それでも、その値段の背後には、
「本当によい食材」を作るために
払われた多くの犠牲や努力
が確実に
乗っているのだ。

そして、それだけの価値がある、
その価格に見合うベネフィット
確かに体現されている、そのように
感じるお客様がいる限り、分かって
くれる人はいる。
そんなことを実感して、飯塚さんは
肝が据わったようである。

その後、もやしづくりに精を出し続ける
傍ら、もやし本来のよさを伝える活動、
ひとことで言えば「情報発信」を開始
した飯塚さん。

もやしの絵本の制作。
「もやしカフェ」の実施。
「もやし収穫祭」の実施。
「もやし屋敷」(お化け屋敷?)の実施。
量り売りへの挑戦。
もやし栽培キットの販売。

アイデアを色々と出すだけでなく、
フットワーク軽くそれらにトライを
し続けた
結果、メディアがこれらの
取り組みを取り上げてくれるように
なったとのこと。

そして、それらの露出を通じて、なぜ
200円なのか、その背後にある物語を
熱く説き続けてきた。
PRのお手本のような事例である。

私は、『致知』の記事とネットで見つけた
記事を読んだだけだが、『闘うもやし』
なる著書も出されている様子。
チャレンジ精神旺盛な飯塚社長の物語、
間違いなくエキサイティング、
波瀾万丈で面白いはずだ。

そして、「ものは試し」。
是非とも一度、このもやしを実際に
食べてみたいものである。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。