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「ご近所バース」と「環世界」という概念

「蜃気楼大学」という名前の、
2月18日だけ出現する学びの場が、
八王子の大学セミナーハウスなる
場所で昨日オープンしていた。

リアル参加したいのはやまやま
だったが、色々な都合で断念。
代わりにオンラインで一部だけ
受講させてもらった。

タイトルや、登壇する講師の名前を
聞いただけで、とにかくできるだけ
沢山聴きたい!
というラインナップ。
オンラインにしたので、後日録画を
観ることができるとのこと、今から
楽しみである。

唯一、リアルタイムで視聴できたのが、
「ご近所バース」というタイトルの
特別講義。
文字通り、昨今流行りの「メタバース」
に引っ掛けた名称で、バーチャル空間に
遊ぶより、まずは自分の「ご近所」、
つまり身近な世界を探検することで、
面白いことを発見できるよ!

大まかに言えばそんな内容である。

東工大の教授で、2年前に話題となった
『国道16号線―「日本」を創った道』
を書かれた柳瀬博一さんがメインの
スピーカー。

そこに、ハワイからオンライン参加で
元オールナイトニッポンの人気
パーソナリティー
、現在はクリエイター
としてご活躍の平野友康さんが絡む。

冒頭でいきなり、「環世界」なる言葉が
出て来て、面食らう。
初めて聞く言葉だ。
一体何だろう、それは。

話が進むにつれて、意味が分かって来た。
念のため、Wikipediaを確認すると、
以下のような説明が載っていた。

すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。

Wikipedia

ユクスキュルという生物学者の提唱
した概念だとのこと。
「環境世界」と呼んでも良い。
『生物から見た世界』は必読の名著、
とのコメントも出たので、即座に
ポチる。(Unlimitedなら無料)

「環世界」とは何か、もう少し
かみ砕いた説明が必要だろう。

生物は、それぞれ感覚器が違う。
人間には五感があるが、他の動物にも
必ず五つ揃っているとは限らない。

例として挙がっていたのが、ダニ
酪酸に反応する感覚器と、熱源に反応する
感覚器
の二つしかないそうだ。
つまりは、汗が臭う(酪酸)動物(熱)
さえ見分けることができれば、そこを
めがけて近付き、食事にありつける。
そのために、これら二つが発達した模様。

もう一つの例が、
嗅覚が人間の6万倍(!)あるという。
だから、我々が視覚で色鮮やかな世界を
認識しているような感覚を、
彼らは嗅覚を通じて実現している
可能性が高いというような話だった。

感覚器が違うだけで、認識可能な世界が
変わってくる。

これは、人間同士にも当てはまるのだと
柳瀬さんは指摘していた。

確かに、人によって感受性が大きく
異なる
というのは事実。
その人になり切ったつもりにはなれても、
他人の感覚器を実際に使いこなすことは
物理的に不可能
なのだから、その他人が
本当に感じているありのままの感じ方を
再現することはできないはず。

途中を大きく端折って、結論だけを言うと、
他人あるいは他の生き物の「環世界」を、
自分の中に取り入れてみよう!

ということ。

今でいう「ダイバーシティ(多様性)」の
実現
とでも言い換えられそうだ。
あるいは世阿弥の「離見の見」の実践

自分の、固定化した、凝り固まった視点
だけではなく、他の視点をいかにして
取り込んでいけるか。

それが、これからの時代、益々重要に
なるはずだ。

とここまで書いてきて、
柳瀬さんの語りの面白さをまるで表現
できていないことに愕然とする。
困った!
後日もう一度仕切り直しだ!

とにかく、柳瀬さんの語り口が見事で、
話の内容にワクワクが止まらず、
東工大の学生がメチャクチャ羨ましい

思うほど。

つまりは、昨日たった一回の講義で
すっかり魅了されてしまったのだ。
項を改めて、もう少し書いてみたい。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。