ぜんじろうさんが談志師匠から学んだこと
立川談志師匠と言えば、
泣く子も黙る落語界の巨匠。
その談志師匠の下で、9年もの間
前座を務め、ようやく念願叶って
二ツ目に昇進した方がいる。
当初は、立川ワコールと名乗って
いらした、立川談慶師匠だ。
上記は1年ほど前の記事であるが、
談慶師匠の本を読んで、その感想を
つづったもの。
改めて談志師匠のプロとしての凄み、
矜持、魂、そういったものを感じる
内容だったことを今も覚えている。
本を読んだ直後は、興奮して、
YouTubeなどに上がっている
談志師匠の落語をちょくちょく
観させてもらったりもしたが、
なんだかんだでいつの間にか
ご無沙汰をしていた次第。
先週末の土曜日、私も出演した
「Z-1グランプリ」において、
スタンダップコメディアンの
ぜんじろうさんが最後に30分ほど
ワンマンショーを披露してくれた
のだが、その時のエピソードに、
何とまさかの談志師匠が登場。
私がお誘いして、見に来てくれた
友人のnoteにも、ごく簡単にその
内容が紹介されている。
運命的とでも言おうか、
たまたま新幹線の中でバッタリ
遭遇した談志師匠は、あちこち
管がつながっている状態。
相当病状が悪化していた時期で、
声を出すのも苦しそうだった
とのこと。
丁度アメリカから帰ってきて、
スタンダップコメディーを
やりたい、でも金にならない、
どうしよう・・・
悶々と悩みに悩んでいた時期で、
藁をもすがる気持ちで、
談志師匠に質問をしたそうだ。
「自分はどうしたらいいでしょうか?」
そこでかけられた言葉が、
「どうしたらいいか?じゃねーよ、
お前がどう生きたいかだろっ!」
というもの。
たとえ金が儲からなくても、
やりたいことをやれ。
自分が命をかけて学んできたことを
やるだけやってみろ。
ぜんじろうさんは、そんなメッセージを
受け取ったからこそ、今、がむしゃらに
スタンダップコメディーの普及に励んで
いらっしゃるのだろうと感じ入った。
実は、談志師匠は、スタンダップ
コメディーを、ぜんじろうさんよりも
一足先に日本で仕掛けたことがあった
のだという。
だが、残念ながら世間には受け入れ
られることはなかった。
俺ができなかったことを、
お前がチャレンジしているんだから、
ちゃんと成功させやがれ!
草葉の陰で、あの口調で、そんな風に
おっしゃっているのだろうなぁ。
ぜんじろうさんの圧巻のトークに
聴き入りながら、そして目頭にじんと
くるものを抑えながら、そんなことに
思いを馳せた。
ホンモノ同士は、
どこかで引き寄せ合い、響き合う。
談志師匠とぜんじろうさん。
談志師匠と談慶師匠。
いずれも、そんな素晴らしい関係。
本気で取り組むべき何かを見つけ、
そこに力を注ごう。
金になるかどうかではない。
命をかけるに値すると信じられるか
否か。
それが今回の学びだ。